手製写真集《THE SUMMER OF ITAKURA IN 1995》
30~40代の8年間、群馬県のミニコミ紙を発行する新聞社に在籍していた。1995年7月、甲子園を目指す高校球児たちが熱闘の汗と土にまみれる全国高校野球選手権・群馬大会を高崎城南球場で取材した。
部員数わずか10人、後輩の入部者不在の板倉高校野球部は、この大会を最後に休部となると聞き、同僚と二人で密着することに。記事は掲載に至ったかどうか、記憶が曖昧。多分、掲載が見送られたからではなかったか、せめて記念に写真集を制作しようと思い立った。当時、写真はすべて自分のカメラで撮影し、白黒フィルムの現像から印画紙への手焼きまで、社の暗室で自分たちで行っていた。デジカメ時代の今からは考えられない手間だったが、すごく楽しかった。白い印画紙の上に像が現れてくる瞬間のゾワっとする感動は忘れがたい。
B5よりやや大きめの画用紙に手焼きのモノクロ写真を貼り、左右の上下中央に穴をあけ、「板倉高校野球部」の記録だからと安易な発想で木の板の表紙を作り、左右の穴に通した黒い綴り紐を結んだだけの簡素な写真集。2部制作し、1部は一緒に取材した同僚にプレゼントしたはずだ。
今年も先日から、全国高校野球選手権・群馬大会で、高校球児たちが猛暑の中、熱闘を繰り広げているが、出場校に「板倉高校」の名前はない。高校のホームページを覗いてみたが、部活動の紹介の中に、野球部の記事は見つからない。
もう29年も前の、板倉高校野球部の球児たちはいま、どうしているだろうか。
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