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「鶺鴒一冊」00-01

『干/潟へ』所収の「鶺鴒一冊」と「欄/干」は、Power Mac 7500に入れたQuarkXPressで書き、レイアウトしていた。Power Macはまだ動くはずだが、もうずいぶん前に押入れの中。テキストデータも開きようがないので、この機会に、テキストエディットで書き直そうと思う。ルビは後ろに( )で示そう。

『干/潟へ』をある書家の方に謹呈すると、「ページごとに額装して飾りたくなるようなアート作品だと思う」という感想をいただいた。別の方には「現代音楽の楽譜のようだ」との感想も。手元に残っている『干/潟へ』を《note》で販売しはじめたことを機に、ページごとにスキャンしたデータとテキストデータを「試し読み」風に少しずつアップしていこう。まずは「鶺鴒一冊」から。


「鶺鴒一冊」表紙


「鶺鴒一冊」00

00
行く水の目にとどまらぬ青水沫/
                                          /鶺鴒の尾は触れにたりけり

                       北原白秋


「鶺鴒一冊」01

01
初めての川/
     /朝靄の/川瀬に/
             /母と数/
             /母と数が/刺繍されてあった

(簡潔な科繆の砂嘴は 綴字水準に 鶺鴒の形声を穿鑿する)

川藻の/繊維に/類似する/
            /牆/
              /牆は/擦(す)り抜けやすく 稀薄だった

(淺く川瀬に差(たが)う)灌漑への箋注は すべて(ここから)埒外へ 分蘖する鶺鴒の濫喩)

鶺鴒の婚姻はすでにして/
           /稀薄な牆に/
                 /破綻していた

(離接的な鶺鴒の字彙の避妊(con-tra-ception))     


「鶺鴒一冊」を書きはじめた頃のノート


清書したものをB-6の水色のフォルダに入れている。


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