会議メモ: 化学・材料・バイオ分野における実験自動化の現状や課題


(以下、きちんと作文する時間をとれなかったので、メモ書きをClaude 3でまとめたものです。 変な箇所が多々あるかもしれませんが、ご了承ください。meetingにお集まり頂いた方々、誠にありがとうございました)

はじめに

近年、人工知能(AI)、ロボット工学、化学、材料科学、ライフサイエンスなどの分野において、研究や実験の自動化が急速に進められています。先日、これらの分野の専門家が集まり、自動実験の現状と将来について意見交換を行う内部会議がありました。本稿では、その際に交わされた一般論と筆者の感想を備忘録としてまとめます。

自動化の進捗状況

各分野における自動化の進み具合について、「隣の芝は青い」という視点を交えながら議論が行われました。

バイオ系分野

バイオ系分野では、特定のロボットアームシステムを活用することで、かなりの程度までclosed-loopレベルの実験自動化が実現可能であるとの報告がありました。バイオ系の実験では、基本的な操作がピペッティングであるため、自動化への対応がしやすい(?)という利点があります。一方で、最適な結果を得るための実験プログラムの作り込みや、装置を稼働させ続けるためのスケジューリングなどが技術的な課題として挙げられました。

しかしながら、バイオ系分野での自動化には、いくつかの障壁も存在します。専用装置の高額な価格設定は、研究者がsandboxで自由に実験を行うための障壁となっています。また、現状では、細胞などの状態を観察しながら適宜プロセスを変更するような、熟練研究者の経験に基づく作業は自動化が難しく、画一的な作業に限定されているのが実情のようです。

有機合成分野の自動化

有機合成分野においても、自動化の取り組みが進められています。専用のシステムを活用することで、合成から精製、評価までの一連の工程をかなりの程度自動化できるようです。固液分離のような煩雑な操作も自動化の対象に含まれています。さらに、粉体の秤量についても、専用の装置を用いることで自動化が可能であるとの報告がありました。

しかしながら、有機合成の自動化には、いくつかの課題が存在します。まず、専用のシステムが高額であることが大きな障壁となっています。研究者が気軽に自動化システムを導入し、実験を行うことが難しい現状があります。また、沈殿の析出やネバネバする系の反応など、特殊な条件下での自動化は技術的に困難を伴います。加えて、熟練研究者が反応の様子を観察しながら適宜操作を変更するような、柔軟な対応を自動化することは現時点では困難であると考えられます。

所感としては、有機合成の基本操作が液体のハンドリングであることから、意外と自動化が進めやすい分野なのではないかと感じました。実際、一部の製薬企業では、合成プロセスの自動化が積極的に導入されているようです。自動化によって、実験の再現性や効率が向上し、研究者の時間を創造的な活動に充てられるようになることが期待されます。

ただし、自動化の恩恵を最大限に享受するためには、専用システムの価格を下げ、研究者が気軽に導入できる環境を整備することが不可欠です。また、AIを活用した反応モニタリングや制御技術の開発により、特殊な条件下での自動化や、柔軟な対応が可能になることが望まれます。

材料合成分野の自動化

材料合成分野においても、自動化の取り組みが進められていますが、有機合成分野とは異なる課題が存在します。専用の特注装置を組むことで、合成や計測のclosed loopを回せる場合があるようですが、そのための障壁は高いのが現状です。

材料合成の自動化における最大の課題は、固体のハンドリングの難しさです。粉末、ベタベタした物質、フィルム、デバイス化など、材料の形態が多岐にわたるため、それぞれに適した自動化技術の開発が必要となります。液体を扱う有機合成と比べると、材料合成の自動化は技術的に難易度が高いと言えるでしょう。

また、材料合成の用途が多彩であることも自動化を難しくしている要因の一つです。有機合成では、用途に特化した自動化システムが市販されているのに対し、材料合成では汎用的な自動化システムが存在しないのが現状です。そのため、研究者は特注の装置を購入、または自ら構築する必要があり、高額な費用がかかってしまいます。

筆者の専門領域である材料合成においては、自動化に向けた課題が山積みであると感じています。固体ハンドリングの難しさや、用途の多様性など、克服すべき技術的障壁が多く存在します。また、自動化システムの導入コストの高さも、研究者にとって大きな負担となっています。

誰がシステムを作るのか問題

自動実験システムの開発において、「誰がシステムを作るのか」という問題は非常に重要です。目的ベースでシステムを作ろうとすると、要素技術の開発が必要になりますが、それを行える人材は限られています。AI・ロボット研究者の興味とユーザーの求める技術がマッチしないことが多く、結局はSIerに頼ることになるというのは、非常に示唆に富む指摘だと思います。

この問題を解決するためには、研究者自身がシステムを作る必要があるのではないでしょうか。自動実験システムは、研究の文脈に深く根ざしたものであり、研究者自身が主体的に関与することで、より効果的なシステムを作ることができると考えます。

研究者自身がシステムを作るためには、いくつかの障壁を乗り越える必要があります。まず、研究者がシステム開発のスキルを身につける必要があります。プログラミングやロボット工学などの知識は、自動実験システムを作る上で不可欠です。また、システム開発に割く時間と労力を確保することも重要です。研究とシステム開発のバランスをどう取るかは、難しい問題ですが、長期的な視点で取り組む必要があるでしょう。

AI・ロボット研究者の立場からの課題

ユーザー(化学・材料・バイオ・…)側が求める要素技術とAI・ロボット研究者の興味がマッチしにくいという指摘は、非常に重要な観点だと思います。AI・ロボット研究者は便利屋ではなく、学術的な新規性を追求する必要があります。ユーザーが求める精度や信頼性までエンジニアリングで作り込む研究は、アカデミック的には新規性を出すのが難しいという点は、AI・ロボット研究者の立場からは切実な問題でしょう。

また、"マニアックな領域"で研究を行うモチベーションが低いという点も、示唆に富んでいます。研究者にとって、自分の研究が広く認知され、社会的なインパクトを持つことは重要なモチベーションの源泉です。「なんだかよくわからない試薬を粉砕するロボット」よりも、「調理ロボット」の方が、ロボット界隈や一般ウケが良いというのは、研究者の心理を如実に表していると言えます。

自動実験コンペやベンチマークの作成は、AI・ロボット研究者のモチベーションを高める上で有効な手段だと考えられます。しかし、意外とコンペに参加する研究者は少ないという指摘は、コンペの設計や運営方法に課題があることを示唆しています。コンペが研究者にとって魅力的なものであり、学術的な新規性を追求できる場となるよう、工夫が必要でしょう。

これらの課題を解決するためには、ユーザー側とAI・ロボット研究者の間で、密接なコミュニケーションが必要不可欠です。ユーザー側は、自動実験システムに求める要件を明確に伝え、AI・ロボット研究者の立場を理解する必要があります。

分野間の壁を越えたコミュニケーションの重要性

「ろ紙についた粉末」を回収する作業のような、ある分野では当たり前の作業が、他分野の研究者にとっては理解が難しいという指摘は、非常に重要な観点だと思います。材料系の研究者にとっては日常的な作業であっても、ロボット・AI研究者にとっては、その作業の実態や難しさを理解することは容易ではありません。

この問題を解決するためには、分野間の壁を越えたコミュニケーションが不可欠です。口頭での説明だけでは、作業の実態や難しさを十分に伝えることは難しいでしょう。実験装置の実物を見てもらいながら相談をしたケースで、ディスカッションが盛り上がったという経験は、実物を通したコミュニケーションの重要性を示唆しています。

実験装置を実際に見てもらうことは、物理的な制約から、常に可能とは限りません。そこで、作業の様子を録画し、共有することが有効な手段となります。当たり前すぎて記録する気が起きないような作業こそ、専門外の人には理解が難しいものです。作業の様子をきちんと録画し、ロボット・AI研究者と共有することで、より深い理解と協力関係が生まれることが期待されます。

今後の展望

今後の自動実験システムの研究展開について、いくつかの可能性が考えられます。ユーザー側(バイオ・化学・材料・…)と提供側(AI・ロボット)の両方の視点から、展開を検討する必要があるでしょう。

目的ベースで研究を行うというアプローチは、特定の研究目的に特化した自動実験システムを開発するものです。主に技術者やSIerに要素技術の開発を依頼するスタイルになります。このアプローチの利点は、研究目的に最適化されたシステムを開発できる点です。一方で、研究者と技術者・SIerが一緒に開発を進めても、お互いにhappyになれるケースは多くないという指摘は重要です。研究者と技術者・SIerの間で、目的や価値観のずれが生じやすく、コミュニケーションの難しさがあるのでしょう。また、技術者・SIerへの依頼にはコストがかかるという問題もあります。

お互いの研究室に人材を派遣するというアプローチは、ユーザー側と提供側の研究者の交流を深める上で有効な方法だと思います。ユーザー側の研究室にロボット工学の研究者を派遣したり、提供側の研究室に化学系の研究者を派遣したりすることで、互いの専門性や研究環境を直接体験できます。これにより、より深い相互理解が得られ、効果的な協力関係の構築が期待できるでしょう。

ただし、専門がタコツボ化していることが、人材派遣の障壁となる可能性があります。特に、「ロボット研究室に送り込める化学系の学生」を確保することは難しい課題だと思います。化学系の学生にとって、ロボット工学は馴染みのない分野であり、興味を持つことが難しいかもしれません。また、化学系の研究室にとっても、学生をロボット研究室に派遣することは、研究リソースの損失につながりかねません。

基盤モデル+ロボットのような新しい展開も考えられます。これは、自動実験システムの基盤となるソフトウェアモデルを構築し、それをロボットに実装するアプローチです。基盤モデルを共通化することで、個々の研究目的に応じたカスタマイズが容易になります。また、ロボットを活用することで、柔軟な実験の自動化が可能になるでしょう。このアプローチの利点は、自動実験システムの開発を効率化できる点です。一方で、基盤モデルの構築には、ユーザー側と提供側の密接な協力が欠かせません。また、ロボットの導入にはコストがかかるという問題もあります。

これらのアプローチは、互いに排他的ではなく、組み合わせることも可能だと考えます。例えば、基盤モデルを構築しつつ、人を交流させることで、より効果的な自動実験システムの開発が期待できるでしょう。また、目的ベースのアプローチと、基盤モデルのアプローチを併用することで、短期的な研究目的と長期的な研究基盤の両方を満たすことができるかもしれません。

自動実験システムの研究展開には、多様な可能性があります。ユーザー側と提供側の両方の視点を考慮し、それぞれのアプローチの利点と課題を踏まえた上で、最適な展開を探ることが重要だと感じました。また、アプローチを組み合わせることで、より効果的な自動実験システムの開発が期待できるでしょう。自動実験システムの研究展開によって、科学技術のさらなる進歩が加速されることを期待しています。


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