GoogleAnalytics の「モバイル端末の情報」が「Acer A1-850 Iconia」になる不具合
GoogleAnalytics にて、Android の一部の端末のアクセスが、別の端末のとして誤って計測される不具合が発生していました。その不具合の詳細について、Google 公式サポートからの回答も含めてまとめました。
不具合を確認した手順
GoogleAnalytics にてカスタムレポートを以下のように作成しました。
期間:2018/10/18-2018/10/24
比較:2018/10/11-2018/10/17
※数値に異常がみられたのが 10/18 以降のため、前週と比較する
指標: セッション
ディメンション: モバイル端末の情報
フィルタ: 一致, モバイル端末の情報, 完全一致, Acer A1-850 Iconia
すると、下の画像のようなレポートが表示されました。
複数のサイトでも検証しましたが、同じように「Acer A1-850 Iconia」からのアクセスが増加していました。
影響の範囲
2018年10月18日 〜 2019年2月27日 の期間、一部の Android 端末において、GoogleAnalytics で記録される以下のディメンションが、コロン右側の値になっていました。
・モバイル端末の情報: Acer A1-850 Iconia
・モバイル端末ブランド: Acer
・モバイル端末モデル: A1-850
・モバイル端末のマーケティング名: Iconia
・デバイス カテゴリ: tablet
BigQuery スキーマのフィールド名も記載しておきます。
・device.mobileDeviceInfo: Acer A1-850 Iconia
・device.mobileDeviceBranding: Acer
・device.mobileDeviceModel: A1-850
・device.mobileDeviceMarketingName: Iconia
・device.deviceCategory: tablet
Android 用 Chrome 70 のリリースと同時期
この急増した「Acer A1-850 Iconia」からのアクセスは
オペレーティングシステム: Android
ブラウザ: Chrome
ブラウザのバージョン: 70.0.3538.64
と計測されていました。
この Chrome の バージョン 70.0.3538.64 は 2018年10月17日 にリリースされています。
https://chromereleases.googleblog.com/2018/10/chrome-for-android-update.html
これが、上記事象の発生日とタイミングが重なります。
そもそも User-Agent の端末名と一致しない
こちらは、Google Tag Manager 経由で User-Agent をカスタムディメンションに格納後、 BigQuery にて device.mobileDeviceInfo = "Acer A1-850 Iconia" という条件で出力したアクセスデータです。
赤字にしている User-Agent 内の端末名を見れば分かるように、本来の正しい端末名と一致していません。
例えば1行目では、端末名は「SH-04H」なので、mobileDeviceInfo は「Sharp SH-04H Aquos Zeta」と計測されなければいけないはずですが、「Acer A1-850 Iconia」となっており、deviceCategoryも「tablet」となってしまっています。
2018/11/02 不具合について Google に連絡
Chrome 70.0.3538.64 のリリース後、Android ユーザーの端末情報が GoogleAnalytics 側に誤って「Acer A1-850 Iconia」として記録されるようになったのではないか、Google に問い合わせを行いました。
2018/11/21 Google サポートから連絡
上記内容について、Google サポートから下記の回答がありました。
指摘の通り、GoogleChrome のブラウザが更新されたタイミングで「Acer A1-850 Iconia」のアクセスが増加していました。なお、この現象は現状日本のみで報告されています。また、このデバイスが日本で販売されたかどうかは確認できていません(おそらく日本では販売されていない可能性が高いです)。
デバイスの情報はブラウザのユーザーエージェントから取得していますが、必要な情報が不足している場合は『最も近い』デバイスタイプの一致を使用します。このため、アルファベット順で最も最初にリストされる「Acer A1-850 Iconia」が便宜上表示されている可能性があります。
今回のようなブラウザの User-Agent 情報と、システムで保持するデバイスライブラリとの不一致の場合、GoogleAnalytics 開発部門だけではコントロールできないため、ブラウザ開発やその他の部門に変更を依頼して修正してもらう必要があるとのことでした。
2018/12/19 Google サポートから連絡
Google サポートから2度目の回答がありました。今回はエンジニアの方の調査報告でした。
GoogleAnalytics では、ブラウザの User-Agent の情報を参照し、Google社で定義されているデバイスの情報と照合することにより、特定のデバイスであることがレポートされる仕組みとなっています。可能な限り正確性と一貫性を保つため、この仕組みは GoogleAnalytics をはじめ、他の Google プロダクトにおけるデバイスの認識にも使用されています。
ただし、サーバーに届く User-Agent の情報が一部の情報しかない、あるいは意図的にその情報の一部が隠されている、変更されているといったケースでは、該当デバイスとの照合ができないため、最も近いと考えられるデバイスと判断されることがあります。調査の結果、今回のケースは User-Agent 文字列に通常存在するデバイストークン情報がなく、最も近いと考えられるデバイスが Acer Iconia と判断された、ということでした。
また、参照する User-Agent は、クライアントサイド(エンドユーザーのデバイス)の情報に依存するため、Google プロダクト側で上記のような状況を防いだり、過去データを修正することができません。現状できる限りの対応として、担当部署にはデバイス情報の改善リクエストをあげておきました。
ユーザーのデバイス情報と Google 側で定義されたデバイス情報との照合が修正されない限りは、今後も「Acer A1-850 Iconia」の表記のままとなるようです。
また、すでに記録されている過去データについては、Google 側では修正することができないということでした。
2019/03/05 不具合が解消される
Google 広告主コミュニティ にて、この問題が解決されたと報告がありました。
日本時間の(2019年)2月27日20時ごろから、28日0時にかけて、Google Analytics のモバイル端末判別のロジックがアップデートされたようで、今回問題になっていた NTT ドコモや Disney モバイルの Android スマホの Chrome 70 以降の端末が「Acer A1-850 Iconia」とご判別されてしまう問題が解消されたようです。
当方も GoogleAnalytics のカスタムレポートで確認したところ、2月28日からは「Acer-A1-850-Iconia」のアクセスが無くなっていました。
問題は解消されましたが、レポートに記録されたデータは元には戻りませんので注意が必要です。
特に、デバイスカテゴリのレポートでは「tablet」数値が異常な増減を記録しているはずなので、Web 担当者は戸惑わないようにしましょう。
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