プレッシング

フットサルにおける守備の基本概念 番外編(プレッシング)

今回はあくまで基本的なことであり、定義付けの話になるので、有料noteではなく、無料noteにします。
(なお、記事の最後に投げ銭という形にしておくので、もし内容が面白かった、有益なものとなったと感じていただけたら投げ銭をしていただけると、今後のモチベーションアップにつながるので、よろしくお願いします。)

では、プレッシングとは何かというところからスタートさせます。

プレッシングの語源

前にこちらの記事で「プレスとは何か」ということに少し触れています。

そこで述べていることを引用すると


プレス(Press)を和訳すると「押す、圧する」という意味になります。
いわゆる「プレスをかける」というのは「Pressing」だったり「To press」という動詞になりますが、意味合いとしては「Pressure (圧力、圧縮)」に近いのではないでしょうか。


となります。

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そのため、自分は「プレッシング」とは相手に対して「圧力がかかっている状態」と定義付けしています。
ただ、ここで難しいのが、選手によっては圧力がかかっていると感じる距離が違う、ということです。

プレスがかかる距離とは

あくまで一般論から定義すると、「プレッシングがかかっている(攻撃側のプレーに影響している)」状態とは、ボールを持っている選手から1.5mくらいの距離としているところが多いです。


ただ、1.5mという距離がどのくらいの距離なのか選手に伝わりにくいと思うので、自分は「手が届くか届かないかの距離」と伝えています。

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それでも、特に経験を積んでいる相手とマッチアップした時には、手が届くか届かないかの距離でも特にプレッシャーを感じずにプレーすることが出来ている選手もいることは事実です。


そのため、試合前のトレーニングの時から次節対戦する相手の映像分析を行なってはいるものの、実際にマッチアップしなければ実体験することが出来ず、対応することもできないため、試合開始直後に相手選手の特徴をピッチ上だけでなく、ベンチにいる選手も含めて分析し、気づきをコミュニケーションすることを常々言うようにしています。


なぜなら、試合中にプレーを決断するのは監督やコーチではなく、選手自身だからです。

自分がどの年代でも指導する中で大きなテーマとしているのは「適応力の向上」です。
試合中、刻々と変わる状況に自分(自分達)を適応させることが出来なければ、より相手にとって脅威的な存在となることが出来ないと考えているからです。
(もちろん、適応力が高くないことがかえって相手に脅威となることもありますが)


そのため、試合開始直後、5分程度で相手選手の特徴(攻撃システム、守備システム、攻守のゲームモデル、キープレイヤー等々)を把握することが重要となるのです。

ちなみにサッカーでは、そもそもの距離感が違う(ピッチサイズが大きく、スペースや時間に余裕を持ちやすい)ので、1.5mはフットサルにおける守備の距離感となります。

ただ、この概念が理解出来ていれば、どうやってパスコースを消すのか、スペースの管理をするのかということが実行しやすくなると思うので、分かっておいて損はない概念だと思っています。

プレスがかかっている状態とは

スペインの有名な指導者で日本にも講習会に来たことのある、ヘスス・カンデラス氏によると、「プレスがかかっている状態」とは、攻撃側の選手が「顔を上げて前を向いてプレーすることが出来ない状態」と定義しています。


ヘッドアップが出来ていない状態というのは、どちらかというと、ボールコントロールすることに必死になっていると言えるからです。

プレスがかかっている状態とは 、ボールを持つ選手がボールをキープすることだけに精一杯で 、顔が下を向いていたり 、相手に背中を向けていたり 、クリアぐらいしかできない状態を指す 。

ただ、これは選手のレベル(1.5mくらいのプレッシング距離でもプレスを感じていない選手も実際にはいる)や経験によってカバーされてしまう(視線や体の向きをフェイクに使う選手もいる)こともあるのですが、一般的にはヘッドアップ出来ていない状態は「プレスがかかっている」と考えていいです。

プレスをかける意味は

では、なぜプレスをかけるのか、というところを深掘りしていきたいと思います。
もし、意図的にトランジションを起こすことが出来ていないチームは、この概念を理解するだけでもプレッシング強度は上げることが出来ます。
誰がプレスをかけるのかが明確になっていないチームが多いことは事実です。

そこを改善させていくためにも、手段が目的にならないよう、「その行為を行うことによる目的とは何か」を理解している必要があります。

プレスをかけることによって、「何を奪う」のか

プレッシングとはボールを奪うことだけではありません。
どちらかというと、複数の選手がプレッシングを行なった結果としてボールを奪うことが出来ると考えています。

そのため、まずボールプレスに対しての定義として、
1、相手の考える時間を奪う(ヘッドアップさせない)
2、相手の使いたいスペース(ドリブル・パスライン)を奪う
3、相手の保持しているボールを奪う

と私は解釈しています。

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ボールを奪うのは優先順位としてはあまり高くないところが本音です。

相手の考える時間を奪った結果、相手が使いたいスペースを奪えることになるし、相手の使いたいスペースを奪った結果、ボールの出口を見つけられなくなることで、ボールを奪える。というもの。

もちろん相手の状況によってはすぐにボールを奪いに行くことが出来ますが、相手の状況を見ずにデフォルトでボールを奪いに行くことを考えている選手のプレーは、どちらかというと、イチかバチかのプレーが多くなり、再現性の高くないプレーとなります。
なぜなら、どんなに自分達からアクションを起こしてイニシアティブを取ろうとしても、ボールが相手の元にある以上、相手の状況に左右されてしまうのが「守備」だからです。

複数人で行なうプレッシングとは

前項であげたボールプレスの定義に加えて、フットサルではGK含む5人で守備組織を構築させます。
まずは、この記事でも扱った「組織としての守備トライアングル」についてですが、私は3人の関係+αとして考えています。

・ボールプレス
・パスラインの牽制
・スペース管理

ここに4人目の選手がカバーリング(もしくはペルムタ)を行なうこととしています。
なお、GKは最終的に出来ているオープンスペースの管理を行なうことで、ピッチ上のパスラインやスペースをカバー出来ると考えています。

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プレスをかけることで起きる守備側のメリットとは

もちろん、一番はボールを自分達のものにすることで攻撃へ転じ、ゴールを奪うことです。
そして、ボールが自分達の元にある以上、失点する機会はほぼなくなるからです。

プレスラインの設定にもよるのですが、ピッチのどの位置でプレス強度を高めてボールを奪いに行くのかが明確になることから、プレス強度を高めることで、相手にとって自分や味方を脅威的な存在とすることが出来ます。

ここを理解せずにプレッシングすることは出来ないので、あえて一度整理して選手達に話してみるのも手です。
意外とピッチのゾーンによっては守備の狙いも変わってくることを理解せずにプレーしている選手も実際にはいるでしょうし。

まとめ

自分達のプレースピードを上げるためには、攻撃時のオフザボールの動き直しを速くすることにあるのですが、守備時のプレッシングスピードを上げることでも自分達のプレースピードを上げることが出来ます。

そのためにもプレッシングの意味を理解しておいた方が、より明確にプレーすることが出来るようになることを理解した上で、守備組織を構築させると、また違った特色のあるチームを作ることが出来ると私は考えています。

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