深酒した次の日の答え合わせが一番怖い[流月]

先日、璃月としこたまお酒を飲んだ。
結果から言うとアホみたいに酔っ払った訳だけど、私と璃月は2人で飲むと碌なことが無い。
幾つか例を挙げようかと思ったものの、多過ぎる。本当に、多過ぎるのだ。

理由を考えてみると明確なものが幾つかあって、
お互いにお酒が好きなこと
そこそこお酒に強いこと
お互いを信頼し切ってしまっていること
などでは無いだろうか。
最後の「お互いを信頼し切ってしまっていること」はもう重症で、
嫌な話(汚い話?)、道端で駄々をこねて迷惑をかけても、服のまま棒のように眠ってしまっても、支離滅裂に泣き喚いても、吐いているところを見られても、構わない、と思ってしまう(だからって吐きたくは無いのだけどね)。

前回のお酒を飲み交わす会の話では璃月がド派手にやらかした話を書いていたけれど、今回は、私。
家に帰った記憶はある。下着姿で毛布に包まっていて、ズキズキする頭を抱えて時計を見たら深夜の2時。シャワーを浴びてメイクを落とす。どうやって帰ってきたっけ、なんて考えながら胃薬を飲んでまた眠りについた。
翌日、朝。胃薬を飲んで眠ったおかげでムカムカも頭痛も無く、スッキリと目覚めたわけだけど、ひょんなタイミングでお財布を開けると、お金が、無い。
「え?!」思わず声を上げて璃月とお酒を飲んだ居酒屋でのお会計を思い出す、あの時点では、お財布に確かにお金はまだあった。
何度も頭の中で算盤を叩いて、「ええ…」と絶望していたら、お財布の中の青い割引券が目に入った。引っ張り出すと、「天ぷら1つプレゼント!」。
続いてシワシワのレシートが目に入る。それも引っ張り出すと璃月と駅で分かれてからの時刻の明記されている某うどん屋のレシート。しかも、
「うどん大盛りと…ええ……天ぷら4つも食べてるじゃあん……」。

怖い怖い。私記憶も無くうどんと天ぷら4つも平らげてるの?怖いんですが…?!
少し思い出すと、下着姿で毛布に包まる前、摂食障害でご飯を割と高い頻度で吐いてしまう私は癖のようにトイレで吐いていた。そう言えば、うどん、あった。

璃月からの「二日酔い」のLINEで堪らず電話をする。ことの顛末を話すと璃月はケラケラと笑って「こっちもなかなか大変だったみたいよ」と話してくれた。

元恋人とよく会っている最近、「璃月ちゃんと飲むと大体めちゃ酔うからほんと気をつけなよ」とほとんど呆れたように笑われた。
その元恋人の前でもなかなかな醜態を晒してはいたが、感情のまま、お酒を飲みながら泣いて、しっちゃかめっちゃかになってしまう友人は今のところ、璃月ただ1人なのだ。

電話で昨日の答え合わせをする。
「最後の日本酒がぶ飲みが効いたね」
「ね!日本酒ってちびちび飲むものじゃん、あんなサワーみたいに飲むものじゃ無いよね」
「ほんと!水みたいに飲んでた!ねえしかもさ、」
「ん?」
「お会計前私たち大号泣しながら手繋いでたよね」
「そうだわ(笑)」
「めちゃ泣いてた(笑)」
「ほんとだあ(笑)」

お酒を飲むと普段その人が本当はどうしたいのかが出ると言う。
怒る人は本当は怒っていて、愚痴を言う人は普段も愚痴を溜めていて、
泣く人は普段本当は泣いてしまいたいのだ。
私は本当はいつも泣いてしまいたい。
苦しい時に泣くことで終わらせてしまいたい。
璃月が辛いなら本当は私も一緒に泣いてしまいたい。
苦しみに変われない代わりに共に泣き疲れてしまいたい。

取り急ぎ、後から記憶の答え合わせを行った今回の飲み会、璃月でなければ私は謝り倒して居ると思う。記憶は無いが、何かやらかして居るのでは無いかと気が気でない。
が、ケラケラ笑いながら記憶の答え合わせをする。
二日酔いの頭を抱えながら、それでもまた馬鹿の一つ覚えみたいに同じように、舌の根も乾かぬうちに、お酒を飲む。
「アホだなあ」なんて思いながらそんな友人がいることを誇りに、幸せに思ったりもするんだよ。

苦しいことがたくさんな今日日!本当は泣いてしまいたい毎日、だけれどこんな「アホだなあ」な日が、だからこそ際立って温かいね。

楽しかったよ!またね!

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