かもとき ゆうと

読み物を書いています。

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マガジン

  • 異世界自己啓発ラジオ

    異世界ファンタジー×自己啓発。 みなみは騙されて異世界に連れてこられた。 監禁された上になぜかラジオの人生相談番組のパーソナリティを担当させられる。 元の世界で取得していた自己啓発の知識を利用して、異世界人の悩みに必死に答えていくうちに、人気ラジオパーソナリティーになっていくみなみ。 日々の放送をこなしながら、なんとか元の世界に戻る方法を模索していくのだが……

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幸せに働ける仕事とは 前編~異世界自己啓発ラジオ【第1話】

「ラジオの前の皆さーん!こんばんは!みなみでーす。今日も始まりました『人生攻略相談室』。この番組では、毎回異世界から届いたお悩みをバッサバッサと解決していきます」  コンクリート打ちっぱなしの壁に囲まれた殺風景なラジオブースで、今日も番組が始まる。  がらんとした部屋に唯一置いてあるテーブルの前に座り、卓上のマイクで異世界に向けて喋っている。  もう何回目の放送になるのか、数えるのはとっくに止めた。  この2年間毎日23時から生放送を続けている。 「早速、今日の相談にいっ

    • 国民を動かすキングのスピーチ 後編~異世界自己啓発ラジオ【第8話】

      「二世さんのスピーチには致命的な欠陥があるの。なんだか知りたい?」 「もちろん。教えてくれたまえ」 「それはね、何をするかは話しているけど、なぜするのかを話していないこと」 「え、どういうことだ?」 「今回で言えば宣戦布告をすることは話しているけど、なぜ戦争するかについて話していない」 「なるほど、で、なんでそれがダメなのだ。」 「人はね、なぜそうするのかが分からないまま、なにをするのかを伝えられても動かないの」 「そうなのか?しっかりとした指示があれば良いのではないか」 「

      • 国民を動かすキングのスピーチ 前編~異世界自己啓発ラジオ【第7話】

        「今日の相談者はなんと王様ですよ!」  ローゼンちゃんが目を輝かせて鼻息荒く教えてくれる。  心なしか耳の毛が逆立っているように見える。 「スゴイね! ついにキング登場だ」 「タルカス帝国のブラッフォード二世さんです。タルカス帝国は三千年の歴史を持つ大国で、狼をモチーフにした王家の紋章がすごくカッコイイんですよ。」 「お、おう」  ローゼンちゃんのテンションがおかしい。  人には意外な性癖があるんだな…… 「王冠がまた素敵なんです! 巨大なダイアモンドから削り出された

        • 自己肯定感が低い時には 後編~異世界自己啓発ラジオ【第6話】

          「あとさ、自己肯定感を簡単に上げる方法があるんだけど……」 「何ですか?」  ミカエルの声から前のめり感が伝わる。 「“イイネ日記”を付けること」 「“イイネ日記”?」 「そう、毎日その日の自分に“イイネ”と思ったことを3つ日記に書き出すの」 「“イイネ”って、例えばどういうことですか?」 「何でも良いのよ、今日は早く起きられたとか、仕事がいつもより早く終わったとか、便通が良かったとか」 「便通って、大ですか?小ですか?」  そこひっかかるとこかな…… 「要は自分で自

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        幸せに働ける仕事とは 前編~異世界自己啓発ラジオ【第1話】

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        • 異世界自己啓発ラジオ
          8本

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          自己肯定感が低い時には 前編~異世界自己啓発ラジオ【第5話】

          「今日の相談者は男性です。ステーション78のミカエルさんです。」  今日も元気はつらつなローゼンちゃん。 「ステーション78?」 「宇宙ステーションです。ミカエルさんがいる世界は科学がすごーく発展していて、惑星だけじゃなくて、宇宙空間にもたくさんの居住地があります」 「今回はSFか!」 「ただ宇宙にどんどんと進出していくうちに世界の分断が進み、共和国と民主連合の二つの勢力に分かれて戦争が続いています。」 「あらあら」 「ステーション78は民主連合に属しています」  どこ

          自己肯定感が低い時には 前編~異世界自己啓発ラジオ【第5話】

          新しいチームにすぐ馴染むには 後編~異世界自己啓発ラジオ【第4話】

          「そうだ!あと、短期間でチームに馴染むコツがもう1つあるけど知りたい?」 「もちろんだ、教えてくれたまえ」  いちいち偉そうなんだよなコイツ…… 「すごくシンプルだけど、仕事で結果を出すこと」 「結果?」 「目に見えて分かりやすい成果を出しなさい」 「手柄を上げろってことか」 「そう」 「新参者がいきなり活躍するのはどうかと」 「そこは遠慮するんだ……もしかして取れる手柄を譲ったりしてない?」 「とどめを刺すのはリーダーの役目だ!新入りはまずは露払いに徹するべき。ましてや

          新しいチームにすぐ馴染むには 後編~異世界自己啓発ラジオ【第4話】

          新しいチームにすぐ馴染むには 前編~異世界自己啓発ラジオ【第3話】

          「ローゼンちゃん、今日の相談者は?」 「男性の方です。ジャスティスシティのミストマンさんです」 「また、個性的な名前だ……」 「ジャスティスシテイはスーパーヒーローと悪の組織がサスティナブルにバトルしている世界です」 「いつもさらっとすごいこと言うよね……アメコミみたいな感じってこと?」 「はい、そんなもんです」 「ザックリしてんなあ……ローゼンちゃんのそういうとこ嫌いじゃないよ」 「私もみなみさん大好きです」 「今日も電話が繋がっているので、早速話してみましょう、ミストマン

          新しいチームにすぐ馴染むには 前編~異世界自己啓発ラジオ【第3話】

          幸せに働ける仕事とは 後編~異世界自己啓発ラジオ【第2話】

          「分かりました、私……やっぱり白魔導士になります!」 「え!そっち?」  思わずズッコケる。 「はい!みなみさんと話して気持ちがスッキリしました」 「叶わない夢かもしれないよ」 「そうかもしれません」 「失敗したら一文無しになるかも」 「これが私の生きる道です」  PUFFYかよ……  でもその声にはしっかりとした決意が感じられた。 「もう決めたんだね」 「はい!」 「もったいないけどなあ……でも、あんたの人生だ。好きにしたまえ」 「はい!ありがとうございました!」

          幸せに働ける仕事とは 後編~異世界自己啓発ラジオ【第2話】