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性経験の世代差と国際比較

最初に全体のまとめ


日本の世代差

  • 今はここ40年で最も若者の童貞が多い。

  • 男性より女性の方が性経験を体験している。

    • 今40-60代の日本人が若者の頃は男の方が体験していた。

    • この世代差に注意しないと的外れになるかもしれない。

ほかの国との比較

  • 日本は英米豪と比べて性経験が超少ない社会。

    • こんだけ社会が違うと、少子化対策とか参考にならないんじゃないか?

出典はこれ。

https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20190408.pdf


日本の世代差

「魅力的な人」の系統は変わっても割合は変わらないから、なんとなく同じ日本なら恋愛事情も似ているような気がしてしまうけど、実はかなり世代間でギャップがある。

以下は先の資料から抜き出した、世代別の性経験が一度もない人の割合。

女性

1987年の18-19歳の女性の割合: 80.7%
1987年の20-24歳の女性の割合: 55.5%

2002年の18-19歳の女性の割合: 65.1%

2005年の20-24歳の女性の割合: 36.0%(最低割合)

2015年の18-19歳の女性の割合: 77.5%
2015年の20-24歳の女性の割合: 44.4%

男性

1987年の18-19歳の割合: 74.9%
1987年の20-24歳の割合: 41.9%

2002年の18-19歳の割合: 66.1%
2002年の20-24歳の割合: 34.2%

2015年の18-19歳の割合: 75.1%
2015年の20-24歳の割合: 46.6%


おもしろい点

1.
2002年に20代前半だった世代=今の40代前半くらいの世代が一番性的に活発だった。
だいたい1/3が20前に卒業して、次の1/3が24までに卒業するペースだ。今の世代は、1/4が20前に卒業、残ったうちの4割くらいが24までに卒業して、全体の半分弱が24すぎても未経験のまま。

もしかしたらコロナでついに24超え未経験が半分を超えるなんてことも全然あり得るくらいの数字になっている。


2.
今は、前例のない「男性の方が女性より性経験に乏しい時代」である。今の50後半の世代も、今の40前半の世代でも男性の方が経験があったが、今はそれが逆転している。

現実でのマッチングが上手くいかなくなる&マッチングアプリとかSNSの普及で一部の人気男子以外があぶれている、とかなのかもしれない。
けど2015年じゃまだtinderとかそんなに盛んだったような記憶もないから、もっと別の要因があるのかも。


3.
今の男性は1987年の男性(今の50後半~60歳くらい)よりも未経験率が高い。
社会は豊かになったけど、昔に比べて性生活はぜいたく品になっている。


このあたりの世代間のずれを意識しないと、お互いに話の前提がかみ合わなくてすれ違ってしまう。

今はここ40年で一番若者の童貞が多いし、昔と違って女性の方がセックスしている時代。

例えば「女性が性について語ることがタブー視されてきた」みたいなのは、40代の教師にとっては実感のある話かもしれないけど、若者からしたら的外れに見えてるかもしれない。「いや、タブーも何も女性の方がセックスしてるじゃん」みたいな。


ほかの国との比較

同じ日本の中でも世代間に大きく差があったけど、世界に目を向けるとさらに大きな違いがある。
欧米はなんとなく「お盛ん」なイメージがあるけど、実際のところどうなのか、実際に見ていこう。

以下は同じ資料の中から抜き出した、英米豪での生涯で性経験がない人の割合を調べた調査のまとめだ。別個の調査なので、年代とか調べている対象に差があることには注意。


イギリス

Natsal-3研究(2010–2012年)による、生涯を通じて異性の性交渉パートナーがいないと答えた人の割合

女性
日本は20-24歳: 44.4%(2015)
16-24歳:19.8%
25-34歳:2.6%
35-44歳:0.5%

男性
日本は20-24歳: 46.6%(2015)
16-24歳:19.8%
25-34歳:5.2%
35-44歳:1.5%


アメリカ

2006-2008年の間に行われたNational Survey of Family Growthによる、18歳以降に異性の性交渉パートナーがいないと答えた人の割合

女性
日本は20-24歳: 44.4%(2015)
20-24歳:12.6%
25-29歳:3.4%
30-34歳:1.9%
35-39歳:0.9%

男性
日本は20-24歳: 46.6%(2015)
20-24歳:14.4%
25-29歳:3.8%
30-34歳:3.1%
35-39歳:1.4%


オーストラリア

全国代表性のある研究結果(2012–2013 年)による、膣性交渉の経験が無いと回答した人の割合
なんの調査なのかはよくわからないので教えてください。

女性
日本は20-24歳: 44.4%(2015)
16-19歳:40.0%
20-29歳:10.9%
30-39歳:1.2%

男性
日本は20-24歳: 46.6%(2015)
16-19歳:35.0%
20-29歳:9.6%
30-39歳:1.8%

感想

1.
全体的に日本よりかなり未経験率が低い。

特にオーストラリア。日本の20-24歳より、オーストラリアのティーンの方が性経験がある。

日本も性の低年齢化なんて話が言われていたが、はっきりいってレベルが違う。
ティーンエイジャーのうちに2/3がセックスするような社会なら、ポルノやらの扱いに慎重になるのも、確かにまあ気持ちはわかる。


2.
「若者の半数弱が童貞・処女」の日本と、「1/5~1/6だけが童貞・処女」の英米。たとえ両方少子化していても、これだけ性経験に差がある社会だと、共通点は少ないんじゃないか。

性経験率が高いということはカップルのマッチングがそれだけ成立しているということになる。日本みたいにそもそもマッチングに失敗している社会とは全然違う。

英米みたいなマッチングは成立している社会だったら経済的な困難さえ除けば少子化は止まるのかもしれない。
反対に日本のようなマッチング失敗社会は、まず恋愛マッチングを増やすことから考えた方がいいんじゃないか。

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