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おばあちゃんの茶筒には、女の子が住んでいる。 見せてもらったのは一度だけだったけれど…
その顔を見た途端、私は唐突に思い出した。 運命の女だ。 勢いよく地面を蹴って駆け出…
いらんと言ったのに母に持たされたのだと仏頂面でフルーツ籠を差し出してきた吉岡真帆を前に…
恋人が死んだ。ちょうど一年前の、夏の日だった。 格子の向こうでは一周忌の法要が始まっ…
いつも店でばかり食べていたパッタイが思いのほか楽に作れることに驚いた。なにせフライパン…
発車ぎりぎりに飛び込んだ電車は、一時間近くもその揺れに身を任せていれば多くの乗客をそれ…
指を差し込んで勢いをつけて跳ねのけ、間髪いれずに逆の手を差し込みまた掻く。左右交互に、リズムをつけて。砂浜にできたささやかなくぼみは、ある程度深さができると壁面が耐え切れず落ちてくる。また最初から掻き出し始める。より深いところまで掘れたと思ったら、崩落する。また掻く。 焦燥感。しかし奇妙に安心する。 焦りは、私に近しいものだった。 縦に深くしていくべきか、それとも横か。海水を少し入れたら補強されるのだろうけれど海の水が鳴る音は手が届くほどには近くない。顔を上げる気すら