空港

空港が大好き!特に往路の時の、日本の空港が好きだという話がしたい。

まずあの高い天井に徹底してシャープなつくり!とってつけたような「welcome」「have a nice trip!」の文字!否応なしにわくわくしてしまう。
空港はテーマパークなどと違ってあまりに無駄がないので、逆に自分が感情的になっているのが際立つ気がする。スイカに塩、みたいな仕組みで。(私はこの例えを多用するけれど毎回合っているかどうかは微妙だと思っている。スイカも食べないしね)

学生の頃は本当によく海外を旅行した。
セブ島、バリ島、オーストラリア、ニューヨーク、ニュージーランド、ベトナム、ロンドン、台湾……
どこも仲の良い友人か恋人と行ったので気楽で楽しい旅だった。
きっちり予定を立て、アクティビティの予約をしてプラン通りに旅をしたいタイプの友人が多かったので、かなり現地の見どころを余すところなく堪能したと思う。

何泊かの旅行では友人たちの知らない側面が見え、それも楽しい。
てっきり人見知りだと思っていた友人があっという間に通行人を捕まえて道を聞いてきたり、普段慎重な友人が浮かれてよその旅行者グループに手を振っていたり、「朝準備するときはいつもこれ使ってるの」と家を出るまでの分数をカウントダウンしてくれるアプリを披露してくれたり。(しかも英語だった。「30minutes left」と急に厳しい男の人の声が響いたので驚いた)
旅は現地を楽しむのと同じくらい、友人の再発見と経験の共有に重きを置いている。


話は戻って、かつての旅行の空気を思い出すとき、真っ先に脳裏に浮かぶのは行きの空港だ。
行きの空港が一番楽しいと言っても過言ではない。(過言)
行きの空港は早朝でも夜中でも、羽田でも成田でも大好き。

変な時間に旅程を確認しながら食べるマクドナルドの味、友人たちの移動用の楽ちんコーデ(デニムレギンスみたいなのも似合うんだね)、普段は見ることのないスーツケース(意外とステッカーとか貼るタイプなんだ〜)、時間が余ってなんとなく覗く免税店……思い出すだけで楽しくて、腰のあたりがソワソワする。

旅行では行きの空港が一番友人を近しく感じられる気がする。多分、旅行中は外部からの刺激が多すぎて意識が分散するんだと思う。
行きの空港はまだ国内なので、ハレとケが混ざり合った感じでハイになってしまうのだ。

合流時、お互いが楽しみと少しの不安がないまぜになった顔をしているのを見てちょっと照れ笑いみたいになる瞬間は何度経験しても愛おしい。
友人たちが家族や彼氏に行ってくるよ、の旨の連絡をしているのを眺めるのも好きだし、
皆が持ってきたスーツケースの中に、この子らの何日か分の必需品が全て入っていると思うと愉快な気分になる。(私は大体古いぬいぐるみを入れていくので友人にギョッとされる)
はしゃいだ面々で「なに持ってきた〜?」「あ、アイロン忘れた!持ってる人?」「アイロンないけどインスタント味噌汁めっちゃ持ってきたよ!!」「なんで??」みたいな会話をしていつもより笑いのツボが浅くなる時などは、同行者へのラブが爆発しそうになるのをいつもグッと堪えている。

では1人の時はどうか。
私は何度か1人で旅行もしているし、友人と現地で待ち合わせの時も何度かあるので1人の空港もそこそこ経験してきた。

結論から言うと私は空港に人といる時より1人でいる時の方が興奮状態にある。
なんでもできる、みたいな全能感があるのだ。私は概ね不注意なポンコツなので、1人でなんでもこなせる、という意味ではもちろんない。 
自分だけなら何をしても良いしどんなアクシデントに陥っても大丈夫、という自由さが嬉しいのだと思う。
人と空港で一緒にはしゃいでいる時とは違う、「ワーー!!」と叫びだしたいような、血が炭酸水みたいにシュワシュワ泡立つような、気分になる。(余談ではあるけれど私は炭酸飲料がのめない。のに興奮すると血が炭酸になってしまう)

さすがひとりっ子とでも言うべきか、私は基本個人行動が向いている。
家族がかなり過干渉で自己決定の機会が少なかったので、昔は1人でご飯を食べるだけでかなりウキウキしていた。それがひとり旅!!
大層な出世である。

幸福感に満ちたハイテンションで臨む人との空港も、興奮を肌にビリビリ感じる1人の空港もどちらも大好き。これらができるだけ多く私の人生に訪れることを願うばかりである。
(直近だと前者が来月に控えている。楽しいといいな)

ハリーポッターの最終章で、生死を彷徨うハリーの精神世界的なところが真っ白なキングスクロス駅として描かれている。私にももしその機会があるとしたらそれは羽田か成田の、空港になるに違いない。

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