銀座の夜の黄色い薔薇
数ヶ月前、ある週末の昼下がり、真空管アンプでもの凄く好い音でレコードを聴かせてくれる名古屋のJAZZ喫茶のカウンターで、昼間からメイカーズ・マークのソーダ割りを飲んでいた。今かかっているレコードが誰の演奏か知りたくてレコードジャケットが飾られているカウンターの隅を見ると、ジャケットの隣に黄色い薔薇が生けてあることに気がついた。その黄色い薔薇を見て、ずっと忘れていたことを思い出した。
「マスター、この黄色い花、薔薇ですよね?」
「そうですよ」
「もう随分前の事だけど、私の父が