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映画 『ミッドサマー (MIDSOMMAR)』私的感想

アリ・アスター監督の『ミッドサマー・ミッドソマー(Midsommar)』という、激ヤバ鬱映画があると知ったのは…2019年7月頃だったと思う。

たしかこちらのツイート見て知った覚えがある。

明るいグロ・精神ダメージ系・不快・オカルト・鬱になる…と強烈なパワーワードが並んでいて、ホラーやオカルトはあまり好きじゃないものの…気になって仕方なかった。

2019年夏時点では、日本公開が決まっていなかったので…色々な映画レビューサイトや、日本語訳された解説などを読み漁っていた。結構色々読んだので話の大筋は事前理解。
誰がどこで死ぬかまで、ネタバレを読んだ状態で映画館へ挑んだ。

ちなみに、パラサイト(半地下の家族)の予告でミッドサマーが流れて…これは映画館行かねば!と思ったひとは多いと思う。私もそう。

素晴らしい考察・解説・レビュー記事がたくさんあるので、考察というより…感想・気になった所を残しておきたいと思う。

※ストーリーの核心を突くネタバレなし
※個人の感想であり根拠ナシ


ダニーにとってはハッピーエンド

本作の主人公はダニーであり、家族を失い救いのない彼女にとって…ホルガ村に出会えたこと、メイクイーンになれたことは幸せなのではないかと思えた。
ダニーは彼のクリスチャンに依存し続けて、依存してしまう自分にも嫌気がさし…クリスチャンの気持ちが離れているのも感じている。

ダニーの居場所はクリスチャンではなく、ホルガ村となった。
最後のダニーの笑顔は…過去から解き放れたように見えた。彼女は自由を手に入れたのではないか。

ペレにとってはハッピーエンド

狂気の祭典に招いたペレ
みんなを連れてきた時点で、死人が出ることは予想できたはず。それどころか、ダニーがメイクイーンになることも予想済だったのではないか。
ペレがダニーの誕生日にプレゼントした絵は、花冠をしたダニーの姿。ホルガ村にとっての花冠は完全にメイクイーン候補を意味している。

ペレは両親を失くした者同士、ダニーを救いたい・助けたいと思っている描写がある。ペレがダニーをホルガ村に誘ったわけではないが、彼女が来ること自体を喜んでいたようにみえた。

そこで不思議だったのが、友人が死ぬ可能性がある場所に誘うのか?という点。

ペレにとって、たとえ死ぬ可能性があってもホルガ村の思想に従うことは喜びであると仮定すると…ホルガ村に行くこと=幸せになれると思っていたのではないか。

スウェーデンの死に対する考え方

ミッドサマーを見ている中で、北欧では安楽死が認められている国もあるのを思い出した。実際、スウェーデンでは安楽死は認められていないが…日本人とは少し死に対する考え方が違う、文化的背景があるのかと少し思った。

ちょい調べてみると、スウェーデンは平均寿命は長いが寝たきり老人が少ないと出てきた。何より本人の意志が尊重される国。日本とは違い無理な延命治療もしないのが特徴らしい。
少なくとも日本よりは、死に対して自由があると思った。

ホルガ村の住人は『死』を認めて志願するように描かれつつ、目には涙がうかび…火の中に入れば恐怖で叫ぶような『死へ恐怖』も一緒に描かれている。

自由と恐怖がどちらも見えた気がした。

フィクションだし、実際の団体や場所は関係ないのは分かってはいるんだけど…もし日本が舞台だったら、また見せ方違うだろうし、こうはならないと。

熊ってなんなのか

なんで熊なのか分からなくて、見終わった後に色々調べた。
どうやら、熊崇拝・熊送りなる熊を神々の世界に送り返す祭式儀礼があるらしい。古代宗教の特有の痕跡とwikiに書いてあった。
ただ、フィンランドの文化らしいけど…スウェーデンも北欧だから近い文化があったのか。

劇中でリアル熊の登場時、熊に誰も触れないという衝撃
サイモンだけが唯一『熊いるけど…!?』と触れるが、特に熊がいることに説明もない。アメリカ人のクリスチャンにとっては、熊は気にもとめない存在ってことなのか。

公式グッズで檻に入った熊フィギュア(花冠付き)というキチガイっぷりには驚いた。本編見る前に、グッズが出ていることを知っていたので…もっと熊について説明があったりするのかと思ってたよ。


見終わってみて

つらつらと感想を書いたけど、胸くそ悪いしグロいし怖かったけど…美しい映画だと思った。最後にダニーの笑顔がみれたからかもしれないけど、予想以上にスッキリ感があった。

演出の細かさ、空の美しさ、植物の美しさが怖さを超えた印象。
ただ、意味分かんないとか怖いとかレビューを悪く書くひとがいるのは納得できる。万人受けする作品でないのは間違いない。
ただ、『胸くそ悪い』の一言でまとめるにはもったいないくらい…色々考える(考察しがいがある)ポイントがあると思った。

二時間半…飽きることなくハラハラしながら楽しみました。


ただ、もう…わたしは二度と見たくはないけど!
悪の教典とかと同じ。

面白かったけど、もう二度と見ない!

オススメです。

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