【遊戯王 Advent Calendar day17 side:B】~遊戯王はどこへ向かっているのか~【考察記事】
みなさん、こんにちは。
かもめ先生です。
今回は刺身さんが主催する「遊戯王Advent Calendar」の記事です。
こちらはBパートこと、アドカレダークサイドの方となります。
こちらのBパートは、構築論・デッキへの価値観・啓発記事など議論系の記事、もしくは内容がセンシティブになりそうな記事となっています。
ですので今回の記事をお読みいただく際は、くれぐれもお気をつけくださいませ。
企画の詳細についてはこちらの記事をご参照ください。
それではどうぞ、よろしくお願いします.
昨日のアドカレ記事の紹介
本題に入る前に、昨日のアドカレ記事の2つを紹介しておきましょう。
このネガティブな記事のBパートで紹介するにはあまりにもまぶしい記事ですが、どちらも素晴らしい記事ですので是非またこちらもお読みくださいね。
はじめに
まあいわゆる予防線ってやつです。
世知辛い世の中ですからね。
今回の記事は先日発表されたリミットレギュレーションを受けて、いちプレイヤーとしての遊戯王の今後について考察した記事になります。
ちょっとした読み物として楽しんでいただければ幸いです。
いろいろとネガティブなことを言ってはいますが、しょせんは「お気持ち表明」程度の内容ですので、そこまで本気になさらないようお願いいたします。
なんやかんやで、わたしは今の遊戯王も楽しいと思ってますので。
あと、けっこう勢いで書いたので殴り書きになってるのは見逃してください。ごめんなさいね。
それでは以下より、本編の方をどうぞ。
リミットレギュレーションのお話
さて。
今から数日前、2023年1月からのリミットレギュレーションが発表されましたね。
今年最後の改定ということもあってか、今回はかなり大掛かりなものとなっていました。
今回の改定では、禁止から制限に解除となったカードが4枚。(エラッタ含む)
そして11枚のカードが規制の対象となりました。
とくに環境の上位で活躍していた【ティアラメンツ】や、出張パーツとして多くのデッキで使用されていた【クシャトリラ】を中心に、かなり切り込んだ形での規制が行われました。
なかでも規制が厳しかったのが【ティアラメンツ】で、主要なパーツだった《ティアラメンツ・キトカロス》が禁止カード、《ティアラメンツ・シェイレーン》・《ティアラメンツ・レイノハート》が制限カードとなってしまったことで、テーマとしてのデッキ構築そのものが危ぶまれる事態となってしまいました。
(もちろんテーマとしてはもともと強力なので、他テーマとの混成によっては活躍する余地もあるかもですが)
また規制の対象となった11枚のカードのうち、7枚が2022年に登場したカードとなっていました。
ちなみに言うと、前回の改定(2022年10月)では13枚のカードが規制対象となっていました。
今回のものと併せればこの半年で24枚ものカードが規制されてしまった訳ですね。
そしてこれらのカードの中で2022年に登場したカードは10月規制で6枚、1月規制で7枚が禁止などの制限を受けているのです。
10月規制(2022年登場カード)
・《古衛兵アギド》
・《宿神像ケルドウ》
・《スプライト・ジェット》
・《壱世壊=ペルレイノ》
・《スプライト・スターター》
・《ティアラメンツ・ハゥフニス》
1月規制(2022年登場カード)
・《ティアラメンツ・キトカロス》
・《クシャトリラ・フェンリル》
・《クシャトリラ・ユニコーン》
・《ティアラメンツ・シェイレーン》
・《ティアラメンツ・レイノハート》
・《深淵の獣マグナムート》
・《六世壊=パライゾス》
つまり、「この1年内のカードが13枚規制にかかっている」ということですね。
記事の発端
実は私自身は今回の改定、そこまで気にも留めていませんでした。
【ティアラメンツ】はずっと環境で活躍していたテーマだったし、【クシャトリラ】は「まあ規制されるだろうというパワーラインのカード」だったので。
そもそも過去にさんざん暴れていた《ダイナレスラー・パンクラトプス》が制限カードなのに、なんなら上位互換のような《クシャトリラ・フェンリル》が無制限という状態がまあ異常でしたからね。
むしろ《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》や《星守の騎士 プトレマイオス》が帰ってきてうれしーくらいのものでした。
界隈のいろんな反応を見ていても、そちらの方はけっこう評判だったみたいですしね。
とまあ、このことからも分かってもらえるかもしれませんが、私自身いわゆる環境デッキからはすこし距離を置いているというような状況でした。(くわしくは後半以降で)
そんな自分が、なぜ今回のような記事を書くに至ったのか。
つい先日、いつものショップに顔を出した際に友人から「今回の改定はあんまりじゃないか」と話が出てきました。
そこで今回のリミットレギュレーションの話になったのですが、聞けば聞くほどいろいろと考えることも出てきてしまいました。
ちなみにその友人は遊戯王のプレイヤーではなく、今はデュエマやワンピースなどを中心にプレイしている方です。
つまり、今回の発端は遊戯王でないプレイヤーの発信にあったわけですね。
彼は遊戯王プレイヤーではないと言いましたが、実は過去に【鉄獣戦線(もといLL鉄獣)】や【ドライトロン】を使っていた元遊戯王プレイヤーでした。
もともと主としているのはデュエマの方でしたが、遊戯王にも真剣に取り組んでいて、大会などにもよく顔を出してくれていました。
私自身もつい今年の頭くらいまでは、彼といっしょに遊戯王で遊んだりしていました。
その彼が今回のリミットレギュレーションを見た時、真っ先に目に入ってきたのが《烈風の結界像》の禁止入りでした。
それを受けて彼がこぼした言葉が「ちょっと遊戯王に戻ろうと思っても、いま持っているデッキでは戦えない」というものでした。
もちろん、この言葉を聞いて「そんなことはないだろう」と感じる人も多くいることでしょう。
多少の規制を受けたところで「使いたいデッキをチューニングして戦えば良いじゃないか」といえばその通りだと思います。
ですが、「それまで主力で使っていたギミックを禁止にされて、それを封じられてまでそのデッキを使うのか」と言われれば、それもまた違うというのも理解できる話ではあります。
こうした考えは、とくに大会でのプレイを重視する人であればなおさらなことでしょう。(彼自身、遊戯王でもデュエマでも大会の意識が強いプレイヤーでした)
もちろん大会などの環境で戦うのであれば、デッキ選択もまたひとつの要素ではありますし、別にデッキを使えばよいという話なのかも知れません。
でも「今からわざわざカードを集めるような気にならない」と彼はつづけました。
別のデッキを組んだとしても、今回のように1年も経たず(短ければ半年)に使えなくなってしまうようであれば、集めても仕方ないだろうと。
実際のところ【ティアラメンツ】なんかは1年を経たずして、構築不能状態にまでなっているわけですからね。
そういう意味での、「今回の改定はあんまりじゃないか」という話だったのでした。
露骨なパワーカードの乱発
もともと遊戯王は、インフレが顕著なカードゲームです。
ですが最近、やたら露骨なデザインのパワーカードが増えているように感じませんか。
これは今年に入ってからのカードやテーマ、とくに【スプライト】や【イシズ(正確には天使族・地属性)】あたりからとくに目立っていました。(【スケアクロー】の初期なんかは、かなり平和なテーマデッキでしたからね)
直近では《マクロコスモス》を内蔵した《クシャトリラ・アライズハート》、ランク4エクシーズから重ねてアドを取りまくる《ギガンティック“チャンピオン”サルガス》、無効とバウンスに加え自己再生も持つ《撃鉄竜リンドブルム》などが、それにあたるでしょうか。
なかでも《クシャトリラ・アライズハート》がやりすぎなのは当然として、個人的には《ギガンティック“チャンピオン”サルガス》なんかもけっこうやらかしてる系のカードだと思っています。(カジュアルでこれの想定とか考えると、けっこうああ……ってなります)
これらの「1枚のカードから、一気にアドバンテージを稼ぐ」カードは、その他の新弾のカードと比較しても目立ったパワーが設定されてますよね。
ただ先に言っておきますと、こうしたパワーカードの存在自体は別に悪いものではありません。
もっと言えばむしろこうしたカードがあった方が、初心者をはじめとしたいろんなプレイヤーが勝ちやすい環境になるので(※)、ある程度はあった方がいいとさえ考えています。
※カードゲームの特性上、上からたたきつけるだけで勝ちに行ける雑な強さのカードは、「初心者でも上振れの引きで勝てる」「多少のプレイングの粗さを引きで帳消しにできる」という特性がある(持論)
ただ、前項で言っていた「まあ規制されるだろうというパワーラインのカード」なんていうのは、本来あってはならないものだとも思うのです。
言い換えるならそれは、「規制によって使えなくなるかもしれない商品を買わなければならない」ということでもありますからね。
そして先ほど紹介したような「1枚のカードから、一気にアドバンテージを稼ぐ」カードは、同時に「まあ規制されるだろうというパワーラインのカード」という見方もできてしまうわけです。
こうした考えや感覚が常態化してしまうと、デッキ構築そのものが「のちのち規制を前提とする」ものとなってしまいます。(実際ハリファイバーショック以来、私のデッキはその傾向が強く出てきています)
そうなるとやはり、既存プレイヤーの信用にかかわってきてしまうことでしょう。
そしてこの波は既存ユーザーの信用が落ちてしまうだけにとどまらず、これから始めようとしている新規ユーザーにとって優しくない状況に陥ってしまうのではないでしょうか。
最近の収録カードの傾向をながめていると、どうしてもこういう考えが頭をよぎってしまうんですね。
ただ運営の視点からみると、こうしたパワーカードは「いざというときに規制をかけやすい」ようにするためにあるのかなあと思います。
【クシャトリラ】であれば《クシャトリラ・シャングリラ》や《クシャトリラ・アライズハート》などを規制してしまえば、一気にテーマを弱体化させることができるでしょうし。(テーマのカードの多くが、《クシャトリラ・シャングリラ》を指定しているため)
そういう意味では【ティアラメンツ】なんかは《ティアラメンツ・キトカロス》禁止だけでも良かったように思いますが……、かなり徹底的な規制になってしまいましたけども。
こういうカードは運営から見れば環境をコントロールして管理しやすいメリットがあるのかなと考えています。
ただそうしたメリットを鑑みたとしても、先ほどの通り「ユーザーからの信用」という点も考慮した上で刷って欲しいものですけどね。
この辺りのバランスを考えたとき、今期はあまりよくなかったかなあというのが、正直な感想でした。
さまざまなカードゲームの台頭
また昨今は、さまざまなカードゲームの台頭も目立っています。
この一年だけで見ても、変わらず続くポケカ人気やシャドウバースやワンピースなどの新規タイトルの登場、しかも2023年にはさまざまな版権タイトルを扱うバンダイのカードゲーム『UNION ARENA』の発売が予定されていたりと、目まぐるしい動きが出ています。
とくにワンピースの勢いは外からみていてもすごいもので、ここしばらくは無双状態が続くのだろうとすら感じられます。
これらに加えて、既存のカードゲームでもデュエマやヴァイスなどのタイトルも変わりなく売り上げを出しているという状況です。
もちろん遊戯王もかなり強力なカードゲームブランドなので、この厳しい情勢の中でもしっかり売り上げを伸ばしていますけどね。
マスターデュエルの方も好調なようで、それ自体は本当にすごいことだなあと素直に感心しています。
しかしながら、これだけ群雄割拠なカードゲームの世界。
ひとりのカードゲーマーとして考えたとき、「遊戯王以外にも面白いタイトルはいくつも存在する」というのが現実なのです。
遊戯王がつまらなくなってきたのであれば、他のカードゲームに乗り換えてしまうことが容易な時代となっているわけですね。
そういった意味でも、これからの時代はプレイヤーからの信用がとても重要なのではないかと私は思うわけです。
とくにカードゲームなんてものは「自分の周りの人間がどれだけ遊んでいるか」が、モチベーションを維持する上でとても重要な要因となりますし。
自分がどれだけ遊戯王で遊びたいと考えていても、周りがデュエマやポケカ、ワンピースで盛り上がっているような環境では、そうもいかないですからね。
ちなみに私が遊戯王の環境デッキから離れてしまっているのも、これが理由です。
近しい友人らのほとんどは、もう今の遊戯王に触れてません。
遊ぶにしても、まあカジュアルかな……ってくらいです。
また今の遊戯王で稼働しているのは、現行のものではそれこそマスターデュエルくらいしかありません。(ラッシュデュエルもありますが、ここでは違うカードゲームとして考えます。あちらはあちらでとても面白いのですが)
アニメの放送も行われていない今、ワンピースなどの強力な人気タイトルを抱えるカードゲームが登場する中で「新規ユーザーを獲得するためのとっかかり」はあまり多くないのも現状です。
そうなってくると、あとは「純粋なカードゲームとしての魅力のみ」で戦っていくしかないのですが……。
その点でいうなら、どのゲームにも面白いところはありますからねえ。
遊戯王だけがずばぬけて面白いかと言われれば、そうわけでもないですよね。
プレイヤーと運営の視点の違い
まずはここまでのお話をまとめます。
・「この1年内のカードが13枚規制にかかっている」事実
・「ユーザーからの信用」をどれだけ維持できるか
・「純粋なカードゲームとしての魅力のみ」でどこまで戦えるのか
このようなところでしょうか。
これらの言説から私は、今の遊戯王は「運営とユーザーの感覚がすこし離れているのではないか」という問題を提起いたします。
まあそうは言っても、別に運営が遊戯王というコンテンツを軽視しているとはとても思っていません。
むしろさまざまな形で寄り添おうとしているのは、改訂の内容(とくに復帰カード)や近年のテキストやQ&Aまわりからも見て取れます。
ただカードの売り方や目指している環境の方向性などで、食い違いがあるのではないかという感じですね。
もちろん、こんな話は今に始まったものではありません。
これを言うなら《水晶機巧-ハリファイバー》や《ユニオン・キャリアー》の禁止、そもそもとしてリンク召喚ルールの適用などなど。
問いただしたいところなんていくつもあります。
ただそれらの不満点とはすこし違い、ここでは「求められるカードゲームとしての方向性」として離れてしまっている部分なのかなと私は考えています。
とくに環境という視点から見れば、プレイヤーは「プレイヤーによる環境の構築」を求めているのに対し、運営は「運営によってコントロールしやすい環境の構築」を目指している、という意味での食い違いです。
これまでの環境は「プレイヤーが試行錯誤した結果、壊れカードや壊れテーマが登場していた」のに対し、ここ近年は「意図的に刷られた壊れカードやテーマが中心に活躍している」のではないか。
近年のリミットレギュレーションでは、こうした傾向がとても強いように感じます。
もちろん、このようなこと(インフレ)は過去にもいくらかありました。
目立ったところでは、悪魔の環境と呼ばれた9期環境などがそれにあたるでしょう。
たしかにあの頃はぶっ壊れカードやテーマだらけでしたが、文句を言いながらも多くのプレイヤーがそれに立ち向かうように遊戯王に取り組んでいました。(もちろんこれには反対意見もたくさんあるでしょうけど)
9期はたしかに【EMEm】が流行ったり《真竜剣皇マスターP》や《十二獣ドランシア》が流行したりとめちゃくちゃな環境でした。
ですが他のさまざまなテーマも多くがインフレの影響で強化されたこともあり、全体を通してみればさまざまなデッキが活躍している時代でもあったと、私は思うわけです。
めちゃくちゃな環境にありながらも楽しかったのは、プレイヤーの試行錯誤によってさまざまなアーキタイプのデッキが作り出されていたからでしょう。
【EMEm】の《Emヒグルミ》なんかは(恐らくですけど)運営が想定していない使い方がなされたカードだったような感じですし。
これのせいで、今のカードでは当たり前となった名称指定のターン1が重要視されるようになりましたからね。(諸説あり)
遊戯王はどこへ向かっているのか
ここでタイトル回収。
とまあ、そうはいえども。
ここまでの過程はどうあれ、遊戯王というコンテンツそのものは成長の一途をたどっています。
売り上げ自体は好調なわけですし、営利企業として見ればそれが第一目的なのですから、当然と言えば当然なわけです。
各弾で露骨なパワーカードを収録して射幸心をあおり、限定パックで高レアリティのカードや特別イラストのカードを収録したり、プレミアがつくような限定ボックスを発売してみたり。
そうした企業努力の上で今の遊戯王は成り立っていると言っても、過言ではないのです。
もちろんいろんなプレイヤーたちが生み出した記事や動画コンテンツの発達による環境分析の高速化も、今の状況の一因と言えるでしょう。
わたしもブロガー・ライターのひとりとして、これに与しているのも事実ですからね。
今回のリミットレギュレーションだって、もちろん環境の固定化をきらったという点もあるでしょうが、2023年から登場する新弾のカードやテーマを売りたいからというのが本音のところでしょう。(完全に邪推ではありますが)
こういった乱暴な売り方ができるのも、ひとえに遊戯王というブランドがあまりに強大だからこそと思います。
ですがここまで繰り返してきたように、あくまでこういった商品の根本は「ユーザーの信用」から成り立っているものです。
強大なブランドだからこそこういった売り方ができる訳ですが、それは同時にコンテンツの信用を消費しているのではないかと私は考えています。
遊戯王は、20年以上つづいてきたカードゲームです。
ですが、ここから10年後、あるいは20年後。
遊戯王が今のように続いていると思えますか?
今のような売り方であれば、確信を持って「続いている」とは言い切れないのが、私の正直な思いです。
いくら遊戯王といえども、今期のような方向性で続けていけば、いずれはサービスの維持が困難になってしまうやもしれません。
そうはいかないまでも、市場規模の縮小くらいは覚悟しなければならない事態になることでしょう。
「すべての人に受け入れられるようなカードゲーム」であって欲しいとまでは言いませんが、せめて「既存のプレイヤー(ファン)を大切にする」カードゲームであって欲しいと願うばかりです。
周りの友人らが遊戯王から離れていくのは、やっぱり寂しいものなので……。
まとまりのない文章でしたが、今回の記事はここまでとなります。
ご精読、ありがとうございました。
ぼくはMtGで遊んできます。
あ、Aパートの方も公開されてますので、まだお読みでない方はそちらもぜひ。
こっちは平和なライトサイドなので、オリジナルデッキ紹介の記事になってます。
明日のアドカレ記事の紹介
また明日はこちらの方々の記事が投稿されるそうです。
私の記事はきらいになっても、彼らの記事はぜひとも読んでくださいね。
よろしくお願いいたします。
18日Aパート もすくわさん
18日Bパート 大津さん