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新しいことが理解できなくなる

気づかれない
革新性や創造性を称賛する風潮がありながら、
新しい事柄が示されたときの一般の反応は真逆である。
ほとんどの場合は、新規性に気づかれず無反応である。
まれに積極的に情報探索を行っている人が関心を持つくらいで、
話題にはならないまま、大量の情報の中に埋没していく。

新規性への感度
特定の分野の事情を把握している人が、専門的知識を用いて新規性を
認定して、「新しい物事」として価値が確定するような特許審査の過程と同じように捉えると、日常的な「気づき」に価値を与えることが難しくなる。

新規性に気づいて指摘することは、すべての人が持っている基本的な能力なので、各々の判断基準で情報を選別して価値を与えることが望ましい。

インターネットは、新しい価値と新たな発見を提供してくれるものだったが、SNSの発展によってインフルエンサーを介して情報が流れるピラミッド型に変わってしまった。その弊害として、インフルエンサーが文脈を書き換えて新規性を覆い隠してしまう状況がある。
SNSでは、新規性よりも話題性が重視されている。

主従関係が逆転する
元々は、新しい情報の探索をしていたつもりが、いつの間にか同じパターンの話ばかりを追うようになる状況をフィルターバブルという。
好奇心や問題解決を動機として情報探索を行っていても、いつの間にか、自分の信念が正しいと確認できる情報ばかり入手するようになる。

フィルターバブルの罠に陥る過程
1.情報探索
ユーザーは特定の関心事や問題に対する答えを求めて情報を探索し始める。

2.効率化
効率よく情報が得られるオススメ機能を利用し始め、従うようになる。

3. 思い込み
ユーザーは、既に持っている信念や意見を裏付ける情報に触れることで、安心感と自己肯定感を得る。オススメ機能が視聴者の過去の行動に基づいて類似した情報を提供し続けることで、確証バイアスが強化される。

依存が始まる瞬間
インフルエンサーへの依存関係が出来る上がることで、フォロワーは、
自分自身で情報を精査したり、新たな探索行為を放棄する。
効率よく情報を入手し、満足することは問題ではないが、
問題なのは、価値判断をインフルエンサーに委ねることだ。

いつから価値判断を委ねるようになるのか。
意見を代弁してくれていると感じた。
思考を代替してくれていると感じた。
行動を代理してくれていると感じた。
感情を表現してくれていると感じた。

インフルエンサーに依存しているうちに大切なものを失っている。

自分の意見
自分の考え
自分の活動
自分の感情

フィルターバブルに固定される過程
1.情報の選択

情報の過剰供給を軽減するために、ユーザーは信頼できるインフルエンサーに依存するようになる。信頼を置くきっかけは発信内容ではなく、
インフルエンサーのフォロワー数や高評価を証拠と見なす。

2.情報を鵜呑みにする
インフルエンサーに、情報の精査や新たな探索行為をゆだねることで
自分で情報を整理したり理解することを放棄する。

3.フィルターバブルへの固定
最終的に、フォロワーはインフルエンサーへの依存が固定化し、
他の視点や情報に触れる機会を意識的に避けるようになる。

一貫した情報源からの情報を摂取することで、フォロワーは安心感と安定感を得る。そして、コミュニティに参加することで、一体感や所属感を得る。
その結果、インフルエンサーの発信内容と矛盾する情報や意見に触れることは、心理的な安定が崩れるため、不快感を抱くようになる。

フィルターバブルの中に閉じこもり、インフルエンサーの発信内容に、
一致する情報だけを受け入れるようになる。

切り取りと煽り
インフルエンサーは投稿する時、話題性がある部分を切り取って、
フォロワーが理解しやすいパターンに変換する。
この要約が行われる過程で、一次情報の新規性が失われている。
→投稿の元となった情報を確認する。

インフルエンサーへの第三者の評価
インフルエンサーに対する批判的な意見を、冷静に確認する。
以下の様な評価を見かけたら、即刻フォロワーを離脱した方がよい。
・情報の信ぴょう性が疑われる。
・いやがらせ、迷惑行為などを行っている。
・モラルを逸脱している。
フォローしていることで、知らないうちに加害行為に加担する場合がある。

まとめ
インフルエンサーに同調することで、新しい情報への接触を避けるようになると、情報から自分で物事の関係性を理解する能力が低下する。
インフルエンサーとは、別のテーマで自分から情報発信を行うことも
フィルターバブルから抜け出す方法だと考えられる。

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