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ニューイヤー演劇 日出企画'23を終えて

月に開催しました演劇公演、光景その1「る?」についての振り返り記事を執筆中なのですが、順番前後し、明けて2023年最初の企画であるニューイヤー演劇について先に振り返ります。


ューイヤー演劇 日出企画'23「出た!!!」が終了いたしました。

お知らせのとおり、参加者内に体調不良者が出たため、5回の公演のうち3回を実施中止としました。
ご迷惑をおかけした皆さまに、改めまして心よりお詫び申し上げます。

該当の者は引き続き療養中、その他の参加者については健康と把握しております。

コロナ以降、20近くの公演に携わってきましたが、このように会期中に中止の事態に直面したのは初めてで、主催者としてたいへん動揺しました。備えと危機意識の足りなさを痛感いたしました。
判断にあたり、座組の皆さんに助けていただきました。

延期開催や上演映像(撮影できておりません)の公開は予定しておりませんが、別途何らかのかたちで作品の雰囲気を味わっていただくことはできまいか、と策を検討しております。


美和台北公園にて

作は、福岡市東区三苫(から美和台)のまちの一部、具体的には駅から海までを中心として、距離にして1.数kmの道のり(長い)を出演者と歩きながら、そしてリアルタイムで音の流れるラジオを各自装着しながらご覧いただく作品となりました。

主人公目線での超ざっくりの大まかなストーリーとしては、
ルームメイトが東京に行ってしまう。その引っ越し作業の日(公園)
ウミガメを見つける(公園)
ウミガメを海に返そうと歩き始める(市街地)
カメ人間と接触したり、カメの声が聞こえるようになったり(市街地〜松林)
儀式を経てウミガメもカメ人間となり、実体化する(カメ公園)
人間v.s.カメ人間の騎馬戦勝負を申し込む(海辺)
旅立つルームメイトに向けてエールを送る(海辺)
といった流れでした。

「移動しながら観ていただくことになりそうだね」ということは、なんとなく秋からの事前クリエイション中に見えていたことではありましたが、ストーリーの流れや、内容的にカメがモチーフになること、配役なんかもすべて合宿のうちに決まっていったことです。

それぞれ意見を出し合い、それを構成・演出の山口大器(劇団言魂)が舵取りしまとめ、実際に街でリハーサルを何度もし、作品にしていきました。
途中、まぁそれは真反対に近いような演劇的嗜好(主義・趣味?)がぶつかり合うこともあり、とても、”みんなで作り上げている”感のある創作でした(加茂個人の感想)

大晦日の31日は、通し→場当たり稽古→ゲネプロと3周回して、三苫をぐるぐるぐるぐる、みんな2万歩歩いてました。本番の日はふくらはぎが筋肉痛でした。”つくってるなぁ”をものすごい感じました(加茂個人の、頭のわるい感想)

ラジオからは、音楽と、カメのモノローグや会話が流れました。
そのテキストは菅本千尋(演劇空間ロッカクナット)が書きました。
チラシ時点では「照明」とクレジットされていましたが、全編日中の屋外での上演ということで、照明は太陽に任せて、新たな任務を負うこととなりました。

本番当日はしっかりと晴れて、7:50の回は初日の出を無事に、(家と家の間から、という風情のない日の出ではあったけれど)お客さまと出演者みんなで拝むことができました。街に暴走族みたいなうるさいバイクが通って、モロ影響を受けました。
13:00の回は雲ひとつない快晴で、海のそばには初詣に訪れた人がたくさん居て(すぐそばに綿津見神社という神社があります)、海の中にはサーファーがたくさん居ました。


カメを譲ってくれと頼まれる

宿にあたって最も重要な宿舎(稽古場兼宿泊場所)については、大相撲春日野部屋さまの宿舎をお貸しいただきました。

今回の合宿は、夏の時点で会場候補の下見に回った加茂と山口が三苫の海に一目惚れしたせいで、何よりも先に公演の会場が決まっていました。
その際に相談にうかがった三苫公民館の深野さまにオーナー様とのご縁をつないでいただいて、お貸しいただけることとなりました。

部活とかでもないし、劇団とかでもありません。
マルレーベルには実績もない。
得体のしれない若者たちの、怪しい合宿です。
しかし宿舎なくしては、合宿が成立しません。

三苫にお住まいの、そして三苫を大切に思っていらっしゃる皆さまの、深い深い情と信じられないほどの温かさによって叶った企画でした。
心より感謝いたしております。


カメ人間たちによる儀式

ューイヤー演劇 日出企画は、来年以降も続ける予定です。
実は今年、加茂があまりにも心理的に制作業務を頑張れなくて、実現が危ぶまれました。参加者の皆さんには心配をおかけしました。

大変拙い運営でボロボロでしたが、それでも、来年以降もやりたいな、と思ってしまっているので、迷惑をかけてはいけないところへおかけしないように、締めるところをしっかり締めて、(そして来年以降は出演せず運営にしっかり徹して)(宿を何よりも先に決めて)続けていきたいと今のところ思っています。

日出企画は、
●正月に公演をする
にとどまらず、
●年末からの合宿である
●屋外での上演である
●無料で鑑賞できる(どうして無料にしたんだろう)
という、特色(とハードルが)てんこ盛りの企画です。

意義をとても感じているので、毎年開催場所を変えながら、観ていただけるお客さまを増やしながら、やがては福岡のひとつの観光資源となることを目指しながら、「うちでやってよ」と場所の方からお声がけいただけることを目指したりしながら、10年くらいは続けたいなと思っています。

来年からはいよいよ、参加者を公募にしたりしたいです。
会場の候補地はありません。
おすすめがありましたらこっそり教えてほしいです。


1/1(日) 7:50公演の終盤シーンの様子

だしとしては決して順調とはいかない年となりましたが、マルレーベルでは今年も演劇公演の開催等、活動をさまざま予定しております。

ぜひそちらでまた、お目にかかれましたら嬉しく思います。



ューイヤー演劇 日出企画'23「出た!!!」
構成・演出/山口大器(劇団言魂)
テキスト/山口大器、菅本千尋(演劇空間ロッカクナット)
出演/田中凜、左京ふうか(劇団おやすみのじぎく)、戸塚有輝、大石華愛、田中琴子(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)、松永檀、野村法可(有門正太郎プレゼンツ)、加茂慶太郎、菅本千尋、山口大器
音響/吉田めぐみ
企画・制作/加茂慶太郎
主催/マルレーベル


ペシャルサンクス
古賀駿作さま、堺徳昭さま、春日野部屋さま、三苫公民館さま、深野雅子さま、みのり不動産さま、片山桃子さま、沢見さわさま、原良輔さま

記事内に掲載の公演写真の一部は、ご観劇のお客さまから頂戴いたしました。あわせてこちらでお礼申し上げます。