「物を書く」ということ
私にとって「物を書く」ということは「思考の整理」と「自分自身との対話」そして最近気がついた「癒し」
子供の頃から創作はしてました。
気が向いたらテープに録音したり、広告の裏に書き殴ったり、漫画にしたり。
子供の頃は頭に浮かんだエピソード(物語と言えない細切れ)を思いついたら絵に描く。
それを繰り返してましたが、小学四年生の頃にこれまた広告の裏にようやく24ページのストーリー漫画を描きました
タイトルは「双子のソング」話もオチも覚えてませんが初めて仕上げた作品です。
自分ではそこそこいける。と思っていたけど、一つ下のいとこの描く絵の方がいつも褒められていたので絵に自信が持てず、コソコソと広告裏漫画を何作か続けました。
けれど右向きの顔を描くことと、同じ絵を描き続けること、柄や背景を描くことがうまくできなくて嫌になって、それでも絵は描きたいからイラストを描くようになりました。
この頃には落書き帳やノートに絵を描くことを覚え、そして学校でも答案用紙やプリントの裏にオリジナルイラストを描きまくり、教科書の上の隅角には棒人間のパラパラ漫画と、一通り漫画アニメ好きのやるべきことをやりました。
そして小学校6年性の時、文芸部ができたと知って文芸部に入り、そこでに作品ほど物語を描きました。
一つ目は自分の生い立ちをストーリー調にした物、もう一つは3匹の子豚のパロディだったような。
作文もストーリー的に描くようになってたような……
そして中学に行ったら隠したノートにせっせと創作。
この頃は河森正治さんの某アニメに影響されてSF書いてました。
そして主人公をここですでに両性具有の新人類にしてたことを思い出しました。
けれど、この頃…創作ノートの方ではなく、小さなノートにつけていた3行日記を母にみられて
「お前の駄文なんてその辺の広告にも劣る!こんな物時間と金保無駄や!物を書くことなんてやめてしまえ!」
とノートを床に叩きつけて叱られました。
母の言葉は私に絶対で、バレたからには二度はない。次見つかったら殺される…と心の底から思っていたので、この頃から物を書くことをやめました。
母をはじめとする家族の話はまた別のところで……
けれど小説家になりたいという気持ちはこの頃には芽生えていて、そのためにはどうするかを自分なりに考えていました。
そして大学院生の頃バイト先で出会った同じ趣味を持った友達に出会い、再び書くことを始めました。
しかし、その頃にはすでに精神を病み始めていて私は大学院修了とほぼ同時に酷い鬱状態になり、創作も研究の世界からも離れてしまいました。
それでも話は溢れてきて、ノートにネタは書き留めるをしていましたが、鬱はひどくて一つの物語にはできませんでした。
それから十数年……
視力障害を患い、
「本当にもう、私みたいな人間の底辺にいる才能も運もない、人間として生きていく知識も行動力もない人間に創作なんて無理」
と思い込んでた私を突き動かす事象が起こりました。
それは、このコロナ禍で大きなムーブメントを起こした
「鬼滅の刃」
との出会いでした。
アニメ見て、コミック読んで、鬼滅の友達(同じく鬼滅の刃を愛でる友達)に叫びました。
「胡蝶しのぶを冨岡義勇のお嫁さんにしてあげたい!」
すると友達は答えました。
「書いたらけーやん。おはぎ描けるやん」
彼女はことも投げに言い放ちました。
「えーでもさ〜…うち、目ぇ悪いから誤字脱字、変換ミスそのまんまやし〜」
と尻込みすると、彼女な平然とした表情で口を開きました。
「そんなん、私がチェックしたるやん。読みたいもん。君が書くぎゆしの(冨岡義勇と胡蝶しのぶのカップリングを指す言葉)の話」
「私の書いた物、読みたいって言ってくれる人いた!」
その一言で私の心は救われた。
そして2年前の秋、久しぶりにプロット立てて、ストーリー練って、描きながら修正加えて……
iPadで作品を一月ほどで六万三千文字の作品を書き上げました。
でこれを書いている間に鬼滅の二次創作界隈をネットでうろうろしているうちに「やっぱりやおいの方が面白いな」と思って自分でも鬼滅のBL二次創作をすることにしてみました。
この時はストーリーを書く楽しさを思い出して何かを続けて描きたい気持ちが強く「物書きリハビリ」のつもりで始めたのです。
それで私の好みで「ガチムキばえ」を考慮して宇髄天元、煉獄杏寿郎で書き始めたのです。
この宇髄と煉獄でも私自身にどうしても譲れないこだわりがありました。
「周りが二人を生暖かく見守り応援するストーリーにしたい」
そこで他のキャラも登場させて書いていたのですが、ここで鬼滅の友達に言われたのです。
「あんたの書く女の子ってほんま可愛げないねん!読んでてムカつく!あんた女嫌いやろ?」
この一言が私の世界が変わる鍵になりました。
作品を描くのと並行し、自分の中の「女性への嫌悪顔」と向き合いました。
そこには私の身近にいた女性、「母」や「姉」に見た女性の嫌悪する部分が、私の女性に対する偏見と思い込みを作り上げていることに気がつきました。
女性嫌悪は、これを認識し受容したことで結構あっさり解消しました。
だけどここでもう一つ自分の中で新たな疑問が湧いてきたのです。
「でも自分が女性であるとは思えないから、そこ受け入れるのが……」
モニョモニョする思いを抱えつつ、二次創作では自分の描きたいものに限界が来た頃。
投稿サイトの企画をきっかけにオリジナルBLを描くことに決めました。
短編で終わるつもりが、その主人公の精神的自立まで描きたくなって連載にしました。
それを書きながら次の作品の構想を練っていた中で、私の人生を変えるキャラクターが生まれました。
ストーリーと共にキャラクターを練り上げていく中で、この子をどうするか?を考えていく中で、「女性的な嗜好を持つが男性の体でいることに疑問を持たない」キャラクターに設定したいと思いました。
そのために改めてトランスジェンダーを調べていく中で「トランスジェンダーX」のことを知ったのです。
ネットで調べるうちに「私これだ!」と体の中で炭酸が弾けて脳までがクリアになるようなスカッとした感覚に包まれました。
私はこの「山下泰成」というキャラクターに自分が感じてきたものと逆のことを与えてゆきました。
彼を作り上げていくことで自分自身と向き合ってきたのです。
そして泰成には自分になかったイベントや人生を与えました。
出発点は毒親育ち、自分の中で芽生えたジェンダーの意識を早々に摘み取られる。これはモロに私の投影でした。
そして作り上げていく中で私が理想とする環境を彼に与えることに決めました。
彼は私の投影から生まれたキャラクターですが、今は勝手にパートナーの早瀬暁斗と二人の生活を守るために頑張っています。
彼らが目指す「ずっとどこまでも一緒に歩いていける世界。
それを見守る人たちがいる世界。
そしていつのひか現実世界でも彼らが生きているような環境がもっともっと広がっていけばいいな。
彼が暁斗のそばで幸せになることで私の「癒し」はどんどん進む。
「物を書くということは私にとって何?」
を考えた時、止めることのできない思い。
そして自分と目を逸らさず向き合う時間を持つこと。
けれどそれが私にとって何よりの「癒し」になっている。
あれ僕消えなかった不安な気持ちや、自信のなさ、何より「鬱」に付随する症状に襲われ亡くなった。
AD/HDによる持ち優位欠如による失敗に対してもパニックを起こさなくなった。必要以上に卑下しなくなった。
朝、ちゃんと起きられるようになった。
そしたら心身性ストレスで酷くなっていたアトピーが軽減し免疫力が上がった。
特にこれらはジェンダーの自認と受容を済ませてからの方がグッと良くなった。
物を書き続けるということが、「癒し」の次に私をどんな世界に導き、気づきを与えてくれるのだろうか?
まだまだ変わりゆく自分が楽しみなので、私は死ぬまで書くことをやめたくない。
きっと描くことが全くできなくなった時、それが私の世界の終わり。
最後までお付き合いありがとうございました。
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