日本株の何が楽観に過ぎたのか?
日経平均株価が4万円を超えた3月初めから7月上旬までと3万5~6000円台になった現在とでは、何が変わったのでしょうか。この間に日米の経済そのものが変化したとは言えません。変化したのは、楽観から悲観への市場参加者の気分です。
まず、半導体、AI関連の成長期待が過剰投資の懸念に変わったことは、楽観の修正の一つです。
次に、7月の米雇用統計での失業率の上昇で、それまで米連邦準備理事会(FRB)の政策金利引き下げはゆっくりで良いと見ていた市場心理が、マイナス成長を避けるために利下げを催促する心理に変わりました。
この二つは世界中の市場での悲観への変化です。
日本特有の変化は、これまでFRBの高金利維持でドル高が続くという期待がはげ落ちたことです。FRBの利下げは時間の問題なのに、これが先送りされて日本株は円安に支援されるとの楽観がありました。日本株市場は、いわば米利下げ期待と高金利継続によるドル高継続期待という矛盾する二つを好材料と見ていたのです。
米失業率の上昇をきっかけに、円で借り入れてドルに投資するキャリー取引が損失を限定するために急激にドルを売った結果、大幅な円高となったため、株式市場の楽観は消えました。
行き過ぎた楽観のなかった昨年12月の水準に一度戻ったことで、日経平均は落ち着きを取り戻し、11月ごろの半導体やAI関連銘柄の中間決算や、FRBの利下げによる緩やかな成長減速、年末のボーナスシーズンの消費拡大などを確認しながら、ゆっくりと上昇していくとみています。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
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