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日銀の政策変更でリスクを避ける動きになりそう

12月20日に日銀が唐突な政策変更を行い、10年国債利回りの変動幅をプラスマイナス0.25パーセントから0.5パーセントに拡大しました。11月30日の投稿で年内にはないだろうと予想した変更ですが、くつがえされました。しかし可能性は高まっていたので、驚きは小さいです。

今年に入ってから0.25パーセントに張り付いていた10年国債利回りは、上昇した30年債の利回りと比べれば、インフレの進展に合わせて本来上昇すべきだったと言えそうです。しかし、黒田総裁は、日本の賃金が幅広く上がることを確認してからと市場に思わせてきたので、春闘の結果が見える春ごろの政策変更を想定していました。

そもそも、輸出高止まりとコロナ禍からの正常化による賃金の上昇でインフレが継続する可能性がこれまでより強まってきており、政策変更は時間の問題でした。

しかし唐突な変動幅拡大で市場は驚いてしまい、市場心理はリスクを避けがちになります。また今回の利回り変動幅の拡大は中心をゼロのままにして、「引き上げ」にしていないので、日銀のメッセージが分かりにくく、不安心理が高まりやすいです。さらに、今後長期金利が0.5パーセントに張り付けば、市場機能改善のためにレンジの再拡大が必要となり、政策変更が市場に引きずられることで日銀の信頼が低下しやすくなります。

今回の政策変更は、日本経済全体に大きな影響を与えるものではありませんが、今後しばらく不安心理の高まりと政策への不信から市場のブレがおおきくなりそうです。

〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
■KAMIYAMA Seconds! ~90秒でマーケットニュースをズバリ解説 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-seconds
■「投資ってなんだ!?」 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-investment
■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113 

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