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これからの投資環境を考える

2022年に神山が印象に残った3大金融・経済ニュース

  1. アメリカFRB*が6月の利上げ加速時に「長期インフレ率予想」の上昇を理由にしたこと
    ミシガン大学消費者態度指数の長期インフレ率予想が上昇したことを理由にした利上げを行いました。市場関係者があまり見ていなかったような指標で説明した点が印象的でした。 *FRB:連邦準備制度理事会

  2. 日本銀行が12月に何の経済的理由もなく、長期金利の幅を拡大
    市場機能低下が理由ですが、介入はそもそも市場機能低下を意味します。FRBのような経済的理由(期待インフレ率上昇)でもないのが驚きでした。

  3. ロシアのウクライナ侵攻で、世界中の光熱費が上昇
    インフレになる国は消費者がお金を持っていましたが、財政がさほど出ていない国や地域ではインフレというより、消費の落ち込みにつながりました。

2023年はいろいろな正常化の年

世界的なインフレ率の落ち着き、日本のデフレ懸念からの正常化、巣篭もり需要の一巡、中国のゼロコロナ政策の緩和など、正常化と低成長の年となるでしょう。

アメリカでは、2023年2月ごろからの急激なインフレはすでに落ち着く気配を示しており、2023年前半にはさらにインフレが加速すると考える人が減るでしょう。FRBはそれでも「インフレ再燃リスク」を警戒して政策金利を下げないままにするかもしれないです。しかし、メイン・シナリオでは、2023年末までに利下げもあり、先回りしてアメリカの長期金利は低下傾向になると見ています。

日本では、3%を超えるインフレ率は落ち着く方向と予想されますが、「余剰」から「不足」への変化に注目しています。外需はリーマン・ショック前のピークを越える輸出数量となって1年以上経ち、キャパシティが余剰から不足に変わっているはずです。売上は横ばいでも設備の増設や従業員増が必要となるでしょう。内需はコロナ禍による一時的な従業員な設備の余剰がありましたが、コロナ禍からの正常化で一気に不足に変わりそうです。従業員の取り合いになれば賃金は上昇すると考えられます。日本銀行も来年中には経済状態に合わせて政策の正常化に進む可能性が高まっています。

その他の国では、中国のゼロコロナ政策が緩和され、習政権が民間経済への配慮も高めると見ており、成長率は高まる方向と見ています。一方、欧州は残念ながら当面光熱費などが高いままで厳しい状態が続きそうです。世界経済の成長は、中国の成長が欧州の厳しさで相殺されるなどして総じて低くなると考えています。

株式市場と世界経済をどう見て資産形成していくか ~神山解説

資産形成を考える時には、世界の全ての人を合わせれば、努力と工夫を積み上げて成長すると想定し、それに資金を出すことで分配に参加することをまず考えてほしいです。戦争などが経済のあり方を変えることもありますが、長い目で見ればそれも世界の叡智を傾けての努力と工夫で次の成長につながることが歴史上多かったからです。

「不確実性が高まる」「世界同時株安の懸念が強まる」などと言われていますが、毎年似たような言葉が市場では囁かれます。「難しい相場になりましたね」は単なる挨拶程度と考える方が適切です。

不確実性、懸念、予測の困難は今年が特別ではないでしょう。特に資産形成世代は、長い目で見れば、世界経済が人々の努力と工夫で成長することを疑う必要ないと思います。いつも投資は難しいとすれば、世界に幅広く投資することが適切で、この国が良い、悪いなどと考えすぎなくて良いと思います。
かつてBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)などともてはやされたロシアが投資不能状態なることはあっても、世界全体に投資していれば、数年後のポートフォリオからのリターンに与える影響は小さいはずです。

また、日本の個人投資家は、長期投資にこれまで以上の税の優遇が期待されます。少額投資非課税制度(NISA)の抜本的な拡充がなされます。政府・与党が12月16日にまとめた23年度税制改正大綱では、時限措置となっていたNISAを2024年に恒久化し、非課税で投資できる期間を無期限にすることを盛り込みました。

資産取り崩し世代も人生100年を想定してまだ成長投資部分を持っておくことが望まれます。非課税枠も利用しながら、取り崩しながらも残る資産をうまく成長機会に振り向けてほしいと考えています。

日興アセットマネジメント 神山解説


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