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聞いてはいけない?!2つの質問

当連載では、これから投資を始めようと考えている資産形成世代のみなさまのお悩みや投資のギモンについて、日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト神山直樹がお答えしていきます。
今回は、「聞いてはいけない?!2つの質問」を取り上げます。投資を始めようとすると、投資のプロに聞いてみたい質問があれこれと出てきますよね。神山自身が投資家の方によく聞かれる2つの質問に、これからのみなさまの投資のヒントになるような考えを交えてご回答します。

その1:今、何が一番儲かりそうですか?                                         この質問の問題点は、そもそも一番儲かるものがわかっているはずという前提がありますが、普通はわかりません。さらに、「一番」と聞いていますが、いつごろまでの話なのか、投資家自身の投資の目的や投資期間を棚上げにしてしまっています。投資の目的は「儲けたい」ということだと考える人は多いと思いますが、これだけでは目的として不足しています。投資の目的や期間については、棚上げにせず、ご自身でしっかり考えてほしいポイントなのです。
投資の目的は、資産形成層であれば「引退後の潤いのある生活」のために、ですし、引退後の投資家でも、長生きに備えて取り崩しながらも残りをできるだけ減らないようにすること、でしょう。このことから、債券、REIT、株式などを組み合わせて投資をするようにしていきたいわけです。
一番儲かるのは何か、と金融機関などに尋ねれば、お勧めの商品を紹介してくれるかもしれません。しかし、自分と合っているのかは棚上げのままです。いかに良いかを説明してもらったとしても、投資をする前には、まず投資の目的、期間、リスクを考慮して、投資対象が目的に合っているかを質問してはどうでしょうか。 

その2:今、売れていて人気の投資商品はどれですか?                               この質問も、その1の質問と同様に、自分の投資の目的と関係なく、他人の行動を参考にしようとするものですから、自分の目的に合致しない恐れが高くなります。
投資信託では、ファンドの運用規模を表す「純資産総額」があり、投資信託の人気を示す指標のひとつとされています。ある程度の純資産総額があるほうが運用しやすいなどの観点があるのですが、一番人気である必要はないです。純資産総額が少額の投信の場合は、繰り上げ償還されることも考えられるため注意が必要ですが、普通は人気度を問題にする必要はないでしょう。
この質問の悪いところは、他の人を気にする程度にしか投資を考えていないことです。どうしても、人気の商品や他の人が何を買っているのかが気になるかもしれません。ですが、自分の投資の目的をできる限り何度も思い起こしてください。たとえば、遠い将来の生活のためであれば、リスクを高くしても高いリターンを求める部分があってもよいでしょう。さらに、余裕の資金があるのであれば、自分が確かだと思う投資テーマを選ぶこともできます。いま世の中で売れているから買うことが適切であるケースはほとんどないと思います。
では、どんな質問をしたらよいでしょうか?
『私には何が合うでしょうか』からはじめることを提案します。
みなさんは、家族構成、年齢、仕事の将来などさまざまな状況を背景にして投資をします。余裕資金が多い人もいれば少ない人もいます。それぞれの状況に合致した投資をするためには、「何を考えるべきか」から投資を考えるのがよいと思います。もしそのような手順がすでに終わっているという人であれば、上の2つような質問は出てこないでしょう。「何が一番儲かるか」は楽しい会話としてはできますが、それだけで投資先を決めるということではないことも知っていることでしょう。
もうひとつの良い質問の例は、『なぜ投資してよいのか、リスクを取ってよいのか』と問うことです。個別の国や業種はわかりませんが、世界全体は長い目で見て成長すると考えています。ですから、十分に世界に分散されたポートフォリオであれば、長い目で見れば、世界の人々の努力と工夫の成果を分けてもらうことができるはずです。このためには、投資をするのは債券よりもREIT、さらに株式のほうがよいことがわかります。株式の特長については、「そろそろ投資先について教えてください~株式ってなんですか?」で以前お話させていただきました。
一方、引退後で資産をだんだん取り崩す年代になってくれば、株式よりも仕組みとして分配を重視するREITや債券で元本保全や取り崩しを優先することが大事になって来るでしょう。REITや債券の特長は、「そろそろ投資先について教えてください~REITってなんですか?」や、「そろそろ投資先について教えてください~債券ってなんですか?」を合わせてご確認ください。
このような質問をもとに専門家と相談してみてください。

まとめ                                                                                                                私には何が合うか、なぜ投資してよいのか、リスクを取ってよいのか、を改めて考えてみましょう。

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