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金利が上がると株価が下がるという「理論」はない

最近しばしば金利が上がると理論株価は下がるという報道やコメントを見かけます。しかし、最近143ヵ月のうち日本で金利が上がった月は58回、そのうち日経平均株価が上昇した月は48回で8割以上でした。そもそもファイナンスの理論では、金利が上がると株価が下がるとは言っていません。配当割引モデルでは、分子に利益や配当、分母に「金利+株式リスク・プレミアム-成長率」と置きます。来年になってもらえる配当100円は今日もらえる100円より価値が低いので、例えば98円くらいになるように金利を使って「割り引く」から分母に金利があるのです。ここまでは正しいのですが、この式は長期的に正しい式ですから、金利、成長率、利益や配当はばらばらに独立してはいません。経済成長が続きインフレ気味であれば、金利とともに利益額や成長率も高くなりやすいのです。グリーンスパン議長時代に米連邦準備理事会(FRB)が論文を書いて以来、その趣旨に反して、この式で金利で株価を動かすという誤解が生まれました。しかし、現時点では、財政政策拡大や経済正常化でインフレと金利上昇とともに長期的に経済や利益成長率が高くなる「良い金利上昇」が想定されます。短期的には、市場はしばしば金利だけ上昇し利益成長は低いままではないかと不安を持ちます。しかし、利益成長は低いままだと景気は悪化して長期的に金利は低下せざるを得ません。


〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕

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