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世界株と米国株(S&P500)、どちらかで資産形成するのがいいの?


どちらか1つで資産形成するのがいいの?


まず、投資をする時には「どちらがいいか」ではなく「自分の投資の目的は何か」を先に考えることが好ましいです。あなたの目的が長期にわたる積立であり、世界の人間の努力と工夫が積み重なりもたらされる成長の果実に参画したいのであれば、世界株のように幅広い投資が適切と考えます。

アメリカについて特別な気持ちや分析があり、世界の成長をリードする産業を常に生み出してきた市場を選んで投資したいのであれば、米国株投資が適切と考えます。この場合は、世界株や債券へのバランスの良い長期投資をすでに行っていることが望ましいでしょう。

つまり、どちらがより儲かりそうかで選ぶのではなく、世界株のように広い投資でできるだけリスクを分散して安定した成長を選ぶか、アメリカ株のように狭い範囲の市場を選んでリスクはその国の政治・政策などに影響を受けるものの、個別で特定の成果を獲得することを選ぶか、という観点で考えましょう。そのため、結論は「人による」ので、詳しい人の意見を参考にするとしても、最後には自分の目的は自分で固めておく必要があります。


世界株と米国株(S&P500)、ところでどう違うの?

世界株に占める米国の比率はもともと大きいので、米国株のみの場合とリターンの方向が同じになりやすいです。

米国には時価総額の大きい米国企業が多いため、日本企業を除いても、日本企業を含めても世界株に占める米国の比率は6割ほど(2023年4月末時点)で高いといえます。ですから、目的によってどちらを選ぶべきかは異なるとは言いましたが、世界株のリターンのおおよそ6割は米国市場の行方と関連することは知っておいて良さそうです。

世界株のファンドは、米国株の影響を一定程度減らすことで、欧州の比較的安定した株式市場の高めの配当リターンを獲得すること、欧州の銀行や日本の自動車はじめとする製造業などにも幅広く投資した方が、分散効果でリスク(価格のブレ)を抑えた上で、アメリカの成長も追いかけることができることになります。

米国には大手IT企業が複数存在し、世界を引っ張る成長企業の多くはアメリカにあります。ITを中心とした成長でアメリカという国の進歩を信頼するならば、世界株の積み立てで長期の投資成果を追いかけながら、余裕資金でアメリカにさらに傾けておくこともできます。

また、新興国ファンドなども同じですが、どれか一つ選ぶのではなく、色々考えられる目的に合わせて資金を配分すること(アロケーション)を考えてみてください。


アメリカの重要性

正直なところ、世界の成長(人間の努力と工夫)に長期的に参画していこうという投資では、アメリカを外すことは考えられません。

例えば欧州が電気自動車だけを認める政策をとっても、電気自動車業界を引っ張ったのはアメリカの会社です。進化した人工知能が話題になっていますが、やはりアメリカ発です。中国などがたくさん作る半導体も、一番大事な部品はアメリカ企業が生産します。

アメリカは不思議なほど(おそらく軍事需要や人口流入などもあり)安定成熟国にならないビジネスアイデアとアントレプレナーシップ*の塊です。しかも、それを一気にたくさん供給するのです。
*新たな事業を創造し、リスクに立ち向かう精神・姿勢のこと

結果としてアメリカ経済は、世界の大きな部分を占め、これから未来を考える時にもアメリカを含めた投資は当然と言えます。世界で一番大きく政治、外交、社会問題などを抱えているのかもしれませんが、それは国力の裏腹と言えそうです。しかし、それらの理由でアメリカだけに投資しておけばいいとは言えません。欧州や日本にもそれぞれ異なるタイミングで良くなることがあります

日本のコロナ禍からの正常化のタイミングのずれ、欧州の天然ガスの不足や克服など、世界のさまざまなサイクル(タイミングのずれ)が、株式投資成果の一時的な上下動を抑え込んでくれるのが分散投資のメリットです。「一番儲かるものだけしか持ちたくない」という投資家の心理に従って狭い範囲の投資をすると、結局一時的な損失に耐えられなくて悪い時に投げて(売却して)しまい、その後の回復に参加できないことになりやすいです。

だからこそ長期投資はできるだけ幅広くです。お楽しみの余裕資金での投資は自分の考えにフィットしたものに限り、自分の考えが現実になるプロセスが違っていないか、株価や企業集計の推移をいつもみておく必要があると言えるでしょう。

日興アセットマネジメント 神山解説

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