冷えた土の中の小指
膝おり屈むと血も降りて、ぼうっと頭が軽くなる。
地面の色は白く光り、つぶさに見れば黒と緑も。
砂、石ころのツブは厚く、薄く、鋭く、鈍い。
右てのひらで粒を感じて、
細かなトゲが幽かに触れて、その心地よさが癖になる。
雲が陽を隠し、白に影がさすと粒たちは一層冷えて頬がゆるむ。
ずぅっと右手をワイパーみたいに右に左に動かしていた。
するり。
一際大きな粒は、まるで岩のような存在感。
するりするりと撫でていて、ただ触感を楽しんでいた。
冷えたまぁるい石は小指の第二関節に見える。
埋まっているのは誰か。
彼か彼女は、冷えた細かい心地よい砂つぶにぴったりおさまっている。
小指のこの関節だけが寂しく、気持ちの悪い空間に締め出されている。
僕は砂を集めて盛って弔った。
強い風が吹くと砂が舞い、指も墓標も消えていた。
散文詩自注:小学生の頃、校庭で時間を持て余すと地面を弄っていました。別に楽しかったわけではないですが、何故か弄っていました。人が地面の中に埋まっているわけはないだろうと思いながら詩を考えていたのですが、必ずしもそう言い切れないな、とも思います。推理小説やホラー、サスペンスだとありがちで、退屈な設定です。
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