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漂う編集者

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千倉書房という地道(地味?)な出版社のお世話になっている編集者が、本と編集にまつわるエピソードを紹介します。普段は鍵のかかった別ブログのエントリから、差し障りの少なそうなモノをア…
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#千倉書房

『国際経済と冷戦の変容』の読みかた

(2024/05/28記)  いまどき「カーター・ドクトリン」と言われて「あぁ、アレね!」と膝を打…

三つの叢書

(2023/11/24記)  2000年代の終わり頃、NTT出版に叢書「世界認識の最前線」というシリーズ…

二度とこんな本は作れない

(2021/06/30記)  明日7月1日に結党100周年を迎え、ここしばらくは「神話作り」に力を入れ…

写真集『MINAMATA NOTE』について05

(2012/09/17記)  石川武志さんの写真集『MINAMATA NOTE 1971~2012』(千倉書房)には、い…

写真集『MINAMATA NOTE』について04

(2012/09/16記)  水産加工場、干された漁具、珍しくもない日本の漁師町の風景だ。しかし、…

写真集『MINAMATA NOTE』について03

(2012/09/15記)  水俣訪問初日の夜、石川武志さんの被写体である患者さんたちが集まり、地…

写真集『MINAMATA NOTE』について02

(2012/09/14記)  漁師町をうろついていた猫たちが、あるとき腰を抜かしたようにフラフラしだしたかと思ったら、突如、狂ったように駆けだし、海に落ちて溺死したり、かまどへ飛び込んで焼け死んだり……。  それが、後に水俣病と呼ばれることになる悪夢の前兆だった。  現在でも水俣市内には猫が多い。魚屋も多い。そして病院や診療所のたぐいがやたらと多い。いま猫たちは楽しげに飲み屋街を闊歩し、魚屋には不知火海で水揚げされる旬の幸が並ぶ。あじ、スズキ、石垣貝……。  じつは現

写真集『MINAMATA NOTE』について01

(2012/09/13記)  いま熊本空港で著者待ちをしている。私の乗ってきたANAを追いかけるよう…

世界政治研究会30周年

(2023/12/10記)  千葉大学の石田憲さんが主催する世界政治研究会が創設30周年を迎え、駒澤…

世にも奇妙な光景

(2009/11/06記)  神戸国際会議場で開かれた日本国際政治学会。  大会初日の一一月六日、…

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サブスクの話 後編

(2023/04/30記)  アプリ・ソフトの類いから情報媒体に目を移すと、建値であっても雑誌各誌…

サブスクの話 前編

(2023/04/29記)  各種サービスや情報の提供を受けるのにサブスクリプションでの支払を求め…

お祝いの電話

(2015/12/10記)  毎日出版文化賞受賞作が発表された十一月三日、紀伊國屋書店で大手町店、…

書棚の片隅のミステリ

(2022/10/01記)  入居していたテナントビルの建て替えが決まり、この春、やや慌ただしくオフィスを移転した。社員十人にも満たない小さな所帯とはいえ、創業九十三年を迎える出版社がためこんだ書籍はただならぬ数にのぼり、運搬と再収納にはえらく難渋した。  その整理中のことだ。戦前期の当社を代表するベストセラーのひとつ、高橋是清(TAKAHASHI Korekiyo)『随想録』(昭和十一[一九三六]年刊)の函入り本を手に取ったところ、函の裏に墨文字で名前が書かれているのを