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マーケ主導で導入された『メール発射台』のMAは屍になるしかないのか?

たった数年で3,926社。

日本におけるMAの導入社数※1。MAは完全に市民権を得ましたね。
けれど、識者からはこんな意見が出ています。

『私の肌感覚では日本のMAの9割は屍。特にメールの発射台としてしか使っていないならそれは明確に屍です。』
by シンフォニーマーケティング庭山先生 @'19/7/12 Pardotお客さま感謝祭 
『自動化させるべきセールスプロセスが決まってないのにMA買っちゃうから、単なるメール配信システムになっちゃうんすよ』
by ビズリーチ茂野さん @'19/12/5 InsideSales Conference winter

MAは営業と一緒に使ってこそ。
マーケではなく営業プロセスを自動化させるもの。
売上に貢献しないと単なるマーケ部のおもちゃ。

その意見には、僕も一理あると思っています。

けれど。
3,926社の多くはマーケ部門での導入のように思います。

通常、マーケ部門には"営業"にPardotを使わせる権限などなく、
マーケ主導で「MAを営業に使わせる」のはほぼ不可能です。

営業はおろかインサイドセールスすら。
下手するとWebサイトの改修すら権限が及ぶか怪しい。

この仮説を検証するべくPardotユーザ分科会で登壇した時にアンケート取ってみました。

Q.ご自身が担当しているマーケティング業務範囲について教えてください(複数回答可)
・メール配信
・セミナー開催/展示会出展
・Webサイト改修/広告出稿
・インサイドセールス
・営業

当日の参加者131人に回答を得た結果はこちら。

やっぱり。メール配信システムの延長でMA担当している人の多いこと。。

だとしたら。
マーケ主導でMAを導入してしまったら、屍になるしかないのか??

そんな不条理に真っ向から対抗してみたいと思います。

※1
FORCASを使ってPardot・Marketo・Hubspotのいずれかを入れているB to B企業の社数で算出。2020年5月16日時点。

3回目のPardotユーザ分科会に出た理由

こんにちは、カミムラです。2020年4月16日、Pardotユーザ分科会にて3回目の登壇をしてきました。

Pardotユーザ分科会には2018年に2回登壇しています。超具体的な実務の話に踏み込んで話したことも良かったのか、満足度も高く翌年にSalesforceから表彰頂いたりしました。

年々レベルが高くなっていくPardotユーザ会の事例紹介に今更出る必要もないかな、、、と思ってしばらくは参加側で見ていたのですが、ある日ふと気づきます。

「あれ、2018年にMAを使いこなすのは難しい。営業と一緒に使えてない。9割は屍なんて話をしていたけど、2020年になっても周りのMAユーザが抱えている悩みは変わらないままだ。。。」

この数年間、識者は言い続けています。営業と一緒に使うべき、最初に活用シナリオを立ててからMAを導入すべき、自動化したい営業シナリオが確立されてからMAを導入すべき。それは至極まっとうで正しいと思う。正しい。

けれど、実際にはそんな体制構築や計画を立てる前にやってくる。鍛え抜かれた営業スキルを持つ営業マン。そして、導入した後に途方に暮れてユーザ会にヒントを求めてくる。こんな構図が2年前から変わっていないように思います。残念ながら。

別にMAツールが悪いわけではなく、仕事熱心な営業マンが悪いわけでもなく、期待して導入したユーザが悪いわけでもなく。ただ、MAという新しいツールを使いこなすための新たな業務が回ってきたという事実があるだけで。

というわけで、『MAを使いこなす業務というバトン』を運良く(運悪く?)渡されてしまったマーケの方への処方箋って何かないかな、と思って自分の過去の取り組みの中から「マーケの権限内で取り組めること」を集めて発表してみよう、と思って登壇に至りました。

メールも極めれば「究極のメール発射台」として、MAのコストをペイできるかもしれないと思っています。

『メール発射台』としてのMAを極めてみる

ユーザ会に参加する人のうち80%が自分の役割範囲と答えたメール配信。これを最大限に活用する方法をピックアップしてみます。

前提として、デマンドウォーターフォールの考え方を抑えておきます。このステップに沿って下へ下へとリードを送っていく施策を考えていきます。

資料のフルバージョンはSalesforceのユーザコミュニティにアップしてあるのでそちらにて。ここでは3つの施策について紹介します。

>> Pardotが墓場に行かないための日本で一番 具体的な活用話(後編)
※Salesforceのユーザコミュニティへのログインが必要です

1.メール×メルマガ広告

通常、メールはハウスリストにしか送らないので新たなリードを獲得してくることはできません。けれど、外部の広告媒体にはメルマガ広告という広告メニューが存在します。良いコンテンツと魅力的なメールライティングさえあれば、数千円のCPAで新規リードを獲得することも可能です。直接的なリードジェネレーションです。

媒体ごとにオーディエンスの属性や興味関心が異なるので、そのコンテキストに合わせた切り口が大切です。「なんでこの媒体からこの内容?」と違和感のあるような切り口だとCTRが下がります。

2.メール×A/Bテスト

いきなり1.からMA関係ないじゃないか!というツッコミを受けそうですが、1.を実施するためには「メールライティング」を磨かなければなりません。書籍などでライティング技術を学ぶことももちろんですが、ハウスリストでテストマーケをしてみるのが一番です。MAのA/Bテスト機能が活用できます。

勉強して仮説を持ってテストをします。だんだん勘が養われてきます。これはうちの当時の月例メルマガの開封率(赤)とクリック率(青)ですが、クリック率の伸び方が半端ないです。ハウスリスト全件に送るような一斉メールですが7-9%をコンスタントに出せるようになりました。

メールライティングの勝ちパターンは、昔からFAX・DMの世界で研究しつくされています。DMもメールも大差はありません。先人の研究を吸収しつくしましょう。たくさんの書籍があります。

3.メール × YCBM

有望なリードであるならば、メールクリックとか資料ダウンロードなどと言わず、直接営業と接点を取るアポイントが取れればウォーターフォールの下へ進めることができます。そんな時に便利なのがyou can book meというクラウドサービスです。

これを使うと画面の右側のような予約画面を作ることができます。Googleカレンダーと連携できるので、ここに予約が入ると双方のGoogleカレンダーに予定が入ります。予約確認メールやリマインドメールもWeb管理画面から細かく設定できます。

価格はたったの1000円/月。世の中便利なサービスがたくさんですね。

MAを使ってシナリオを組めば、特定のアクションをしたリードや、特定スコアに到達したリードにこのリンクを埋めたメールを送ってアポ打診することができます。

※フルバージョンの資料には以下のメール施策と、そもそものマーケ目標設計に関する話が載っています。

4.メール × Zoom でWebinarから新たな接点創出
5.メール × FORCAS/Grading で反応率を高める
6.メール × Salesforce でファクトベースのPDCAを回す

MAが墓場に行かないためにできること

実際問題、MAを役立てるにはインサイドや営業と一緒に使った方が良い、というのは事実だと思ってます。そのためにまず、こういった「今の権限範囲でできること」で成果を出していき、上層部に「お、こいつに任せていると成果出してくれそうだ」という認識を持ってもらうことが現実的な第一歩のように思っています。

「できること」が広がっていくと「任せてもらえること」が増えます。社内で成果を出していくことで活躍するMAとMAの使い手が増えていってくれたらいいなと願っています。

『MAが簡単なのは操作であり、難しいのはこれで売上に貢献することです。となると、あとは皆さんの腕を磨くしかない。だからこそマーケティングを学んで欲しいのです。
BtoBマーケティングは、科学と感性が微妙なバランスで調和した、最高に面白い仕事です。ぜひ一緒に学び、その道のプロになり、日本のマーケティングをトップレベルにしていただきたいと思います。』

by シンフォニーマーケティング庭山先生 @'18/7/18 Pardotお客さま感謝祭