「朝まで生テレビ!」
(1)オープニング
私は、この番組を観て、この世界に入りたいと思ったようなもんです(笑)。他の偉い学者の先生からすれば、なんとも高尚さがないかもしれませんが、そんなもんです。
特に、このパネリスト登場の場面は、たまらなくかっこよかった。舛添要一、西部邁、大島渚、野坂昭如、小田実、そして田原総一朗、まさに知のプロレスという緊張感が凄かった。将来出たいと思ったんです。ただし、政治家として出るつもりでした。まさか、学者として出るとは思わなかった。
あれから年月が過ぎ、朝生など忘れかけていた頃に、突然の出演依頼でした。
やはりこのパネリスト登場はアドレナリンが上がる。緊張などありません。すぐに戦闘態勢に入りました。あとは、真ん中に落とされた肉の塊を奪い合う猛獣のように、マイクを奪い合うだけでした。
(2) 安倍元首相の評価:外交
安倍元首相の功罪は、よくも悪くも首相しての在任期間が長かったということだと思います。特に外交においては、長かったことで、安倍元首相が世界から慕われた。顔も名前も人柄もよく知られたことで、日本外交のよさが発揮されたということです。
ここで言えなかったことは、賛否あると思うが、消費増税を2度も実行した。これも長かったからできたこと。
一方、モリカケサクラ、さまざまな腐敗が起きたことが問題であることが言うまでもない。
(3)安倍元首相の評価:安全保障政策
安全保障政策。必要なことを最低限は実行したということは評価すべき。
違憲であるとか、強行採決など手続きを問題とする議論があったが、ここでは結果がどうかが問われるべきと思いました。
時間があれば言いたかったこと。
また、当時国会で衆参共に会期延長し、数百時間の審議を行い、野党も違憲論を十分に訴えることができた。多数派の与党が法案を可決するのは当然。国会外のデモの主張を聞くべきだというが、そんなことをしたら少数派の横暴で議会制民主主義を破壊する。
そして、法案成立後の選挙で与党は勝利した。だから、手続上問題はないでしょう。
(4)安倍元首相の評価:アベノミクス
アベノミクスの評価は全て言えましたね。
雇用が増えたという主張がありますが、それは派遣労働が増えたこと。日本型雇用システムでは、派遣労働が増える(正社員が減る)は、実質失業者が増えたと同じことだと思いますね。
(5)旧統一教会と政治:まともな宗教団体に
旧統一教会が異様に落ち着き払っているのが気になります。政治家が逃げ回っている一方、統一教会は堂々と出てきている。そもそも、安倍暗殺直後に記者会見をしたのが衝撃だったが、その後も実に堂々としている。統一教会は、チャンスだと思っているようにみる。霊感商法などもうない、まっとうな団体だとアピールし、信者をむしろ増やそうという戦略にみえます。
「反共」というスローガンを強調しているのも気になります。反共を強く社会にアピールできれば、統一教会だけでなく、自民党に取っても長い目で悪いことではない。憲法改正には強い味方になり得る。旧統一教会は自信を持っているのではないでしょうか。
私は、政治と旧統一教会の関係を切るのは無理だと思う。これだけ複雑な多岐に渡った関係がある以上。そうすると、今できることは、旧統一教会にもともな宗教団体になってもらうしかないのではないでしょうか。
(6)旧統一教会と政治:宗教法人法の現行法は機能しない
最後の締めの議論。少し失敗もあったなと思います。
宗教法人法の現行法は機能しないと考えます。宗教法人法は「信教の自由」を守るためのもの。権力が宗教に罰則を与えるためのものではない。解散命令など出せないでしょう。
霊感商法など違法な活動は巧妙化していて、現行法をすり抜けるでしょう。
フランスの反セクト法のようなものを導入しても、解散命令は出せないし、むしろ政治に対する宗教団体のロビイング活動は増える。宗教と政治の関係はむしろ深まってしまう可能性があります。
(7)最後に。
やはり、朝生は唯一無二のコンテンツだと実感しました。番組開始当初から、田原さんが「長時間はごまかしがきかない、そこがおもしろい」と言っておられますが、実際出てみて、その通りだと思いました。他の番組はテーマが与えられ、発言機会が守られ、時間が決まっている。おそらく、今後それは楽に感じると思います。でも、朝生はそうはいかない。その厳しさとスリルこそが、最大の魅力であり、価値だとあらためて思いました。
田原さんがご高齢で、いつかご引退される時がきても、このコンテンツがずっと続いていくことを願います。繰り返しですが、論壇では唯一無二のコンテンツだと思います。
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