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『太陽の夢』(UN RÊVE SOLAIRE)
※旧ブログからサルベージ:2022/8/2分
パトリック・ボカノウスキーの『太陽の夢』をシアター・イメージフォーラムで見た。
以下、ネタバレを含んだ感想である。
『天使/L'ANGE』は昨年の夏に鑑賞し、困惑した。次いで衝撃を受けた。
連続するシーンがあれば関連づけて物語を作ろうとしてしまう態度を拒否するかのように次々と展開される映像をどのように扱うべきか。
ただ享受すればいいと開き直れたのは上映開始からしばらく経ってからだった。
ボカノウスキー監督の長編二作目でもその姿勢は健在で、しかし今度はこちらも心構えができていたので流れてくるイメージに身を委ねればいいだけだった。
波、人の影、列車の車窓から見える太陽、花火、演劇のワンシーン。途中でアニメーションになるシーンもあった。
それらが意味しているものを説明せよと言われても私には答えられない。
様々な素材が重ね合わされ、再構築され、観客は提示されたものを享受する。
その実、私たちの認識は視覚ではなく完璧とも言えるミシェール・ボカノウスキーによる劇伴、つまり聴覚によって支配されていたようにも感じられた。
特に途中で挟まれる打楽器によるリズムだけが淡々と刻まれるシーンは映像と相まってミュージックビデオのような心地よさがあった。
原題にある《solaire》は形容詞で、《système solaire》(太陽系)だとか、《cadran solaire》(日時計)だとか、用例としてはそんなところである。
天体としての太陽の夢ではなく、太陽に関する夢あるいは太陽光線や太陽熱を用いた夢といったあたりが直訳だろうか。
言われてみれば常に太陽の存在を感じるように撮られていたようにも思える。
あるいは太陽から常に監視されていたとも言える。
作品名:太陽の夢
監督:パトリック・ボカノウスキー
鑑賞日:2022/8/1
場所:シアター・イメージフォーラム
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