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『トップガン マーヴェリック』

※旧ブログからサルベージ:2022/7/23分

『トップガン マーヴェリック』をIMAXで見た。
今回は五月以来、二回目の鑑賞であった。
以下、ネタバレを含む感想である。

今までトム・クルーズが出演している映画をきちんと見たことがなかったこともあり(彼の話題作の多くは私が子どもの頃に公開されている)、一回目は前作を予習してから臨んだが、この選択は正解だった。
一作目を踏まえた展開やセリフがふんだんに散りばめられており、終盤は感動のあまり泣き通しであった。
本作でマーヴェリックの教え子であるルースター(マイルズ・テラー)は映画『セッション』の主役であることに鑑賞後のサーチでようやく気が付いた。
新作に関してはできるだけ情報を仕入れずに映画館へ向かうことにしている。
そのため、あまりの役者の雰囲気の違いに驚かされた。
『セッション』では恐ろしいバンマスの圧政下であらゆる意味で傷つきながらも音楽と向き合う姿を見せていた。
それは演奏に関わったことのある人間のトラウマを刺激するのに十分だった。つまり当時から演技力が高かったのだと思う。
今後は彼が出ている作品をチェックしていきたいと思わされた。

キャスティングの都合もあってか、ルースターのエピソードはマーヴェリックとの関係にスポットが当てられていた(今作の主人公はマーヴェリックなので当然ではある)。
そのため、前作の展開を踏まえているとはいえ、終盤でルースターが亡き父を心の拠り所として覚醒する展開がいささか突拍子もないもののようにも思えた。

二回の鑑賞を経て分かったこともある。
それはマーヴェリックとアイスマンの友情に関することだ。
一度目に見た時はマーヴェリックとアイスマンがなぜそれほどまでに熱く篤い友情を結んでいるのか全く理解できなかった。
アイスマンはマーヴェリックの守護天使であるらしいが(‘Top Gun: Maverick’ Director Joseph Kosinski Answers All Our Burning Questions)、順調にキャリア重ねた彼がそこまでしてマーヴェリックに肩入れする理由がわからなかった。
"I need to see you"というメッセージまで送るなんて、どうしたことだろう。
二人は単に友達というより盟友であるというのは理解できるのだが、"そういう"かたちの友情があることが腑に落ちるまでずいぶん時間がかかった。
アイスマンはきっとこれまでなにくれとなくマーヴェリックを助けただろうが、マーヴェリックからそれを返すことはあったんだろうか。
あるいはアイスマンにとって、マーヴェリックとはキャリアを重ねることと引き換えに失った自由の象徴なのかもしれない。
この辺りはサイクロンとマーヴェリックの関係から窺うことができる。
いずれにせよ、この物語のアイスマンは前作と比べて随分と献身的である印象だ。
この点があまりにも腑に落ちなかったので鑑賞に同行した方々に疑問をぶつけたところ、「男の友情というのはそういうものだ」という回答を得た。
疑問は解消されなかったが、"そういうもの"は確かに存在しているらしい。
今の立場が違っても、会えば当時に戻る。
余命わずかであっても冗談を交わし合い、爽やかに別れる。
静かにその死を悼み、思い出を胸に生きていく。
そういう態度、そういう生き方、そういう美学。
アイスマンとマーヴェリックの関係は"そういうもの"なのであり、前作と本作の間に積み重ねられた時間が"そういうもの"を作ったということを示しているのだろう。

作品名:トップガン マーヴェリック
監督:ジョセフ・コシンスキー
鑑賞日:2022/7/23
場所:グランドシネマサンシャイン池袋(IMAX)


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