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『フォードvsフェラーリ』を観て

 週末の夜、映画でも観ようかと夫が選んだ『フォードvsフェラーリ』をAmazonプライムでレンタルした。2時間半もある。気合いにポップコーンを準備して観始めるも、早々に爆走シーンがあり興奮してしまう。こりゃ、車だいすきなこどもに観せないと、と考えると同時に、ほぼ毎日こどもと『カーズ』を観ているにも関わらずまだ車映画を観ている状況に気がつき、私もすでに車沼へ足を突っ込んでいる感が否めない。『フォードvsフェラーリ』、最初から最後までとてもいい映画だった。

 私はペーパードライバーだしフォードとフェラーリがどこの国の車なのかも車種ひとつさえもわからなかったのだけど、それでも2時間半夢中でたのしかったのは、戦後の時代に生きるレーサーの人生やその車の開発に込められたロマンだとかが未知の世界だからこそだったのかもしれない。レース中にほかのチームに嫌がらせをするシーンがあって、紳士的とは対称の野良な感じにも愛着がわいた。最近、ひとの人生を知るのがおもしろい。

 中心に描かれるのはフォードのテストドライバーを任されるケン・マイルズ。危うい挑戦心に始終不穏が漂う。彼と息子の関係も丁寧に描かれていて、息子が父へ向ける眼差しからは、夢に正直な姿を子に見せることは悪くないなと単純に感じた。もうひとりの主人公、マット・デイモン演じるカーデザイナーのキャロル・シェルビーが組織や企業イメージに抗う話でもあり『フォードvsフェラーリ』のタイトルには少し違和感だけど(むしろシェルビーvsフォード?)、終盤のフェラーリとの熱戦からは目が離せなかった。話が逸れるけれど私はマット・デイモンがすきです。

 ル・マンもおもしろそうで、実際に見てみたくなった。今年も9月にあるのね。一台の車を見ても、その車に心血注ぐおとなが様々存在するように、それはあらゆる物においておなじなのだよな、例えばこのジュースとかこの焼きそばとか……と、ジュースを飲んだり焼きそばを焼きながらつい考えてしまうほど、すっかり影響されている。でも、気兼ねなくル・マンや海外へ旅行できる日はいつになるのだろう。翌朝ぼんやり考えていたら、チェコで買ったお気に入りの皿を割ってしまった。帰りの飛行機で割れないように洋服をグルグル巻きにしたことが思い出される。まぁ、ほな、またチェコに買いに行こか。って、謎に前向きになれたのは映画のお陰かもしれない。車が走る映画って元気が出るよね。

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