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過眠症の「超」重症例。瞬きをすると寝てしまう。MSLT0秒の患者さんについて

私は「瞬きをするだけでも寝てしまう」「運転中など命の危険がある状況でも気を失い居眠り込んでしまう」などの症状を訴え、MSLT0秒で特発性過眠症の診断を受けている患者さんを3人知っています。

MSLTは過眠症を診断するための検査です。
MSLTは2分以内でもかなり重症であると言われているため、0秒というのは本当にとてつもない重症です。私の経験上でもMSLT0秒というのはとても稀な症例で、そのような重症例の患者さんは過眠症の診断を受けている患者さんの100人に1人以下だと思います。

そのMSLT0秒の患者さんの中の1人の患者さんは道路で自転車に乗っていても倒れて寝てしまう症状を訴えていました。そして、他のもう1人の患者さんは車を運転していても眠いという感覚に襲われる前に寝落ちしてしまうため、車で事故を起こしそうになったことが幾度となくあるそうです。

それらの3人の患者さんは全員が1日の睡眠時間が週に3回以上3〜4時間だった時期を発症前に2~5年以上続けていて、今現在もその睡眠時間を頻繁にとっている患者さんでした。
しかし、前述の3人は3人とも睡眠時間のアンケートには「毎日8~12時間以上寝ている」と記載していました。

「MSLT0秒」「瞬きをすると寝てしまう」「運転中でも気を失い居眠り込む」など、一見、睡眠不足ではないように思える症状を訴える患者さんでも、まずはご本人の本当の睡眠時間を把握することから始めるべきであると思います。

ここでMSLTが0秒の患者さんは全員睡眠不足であると決めつけるものではありませんが、実際にそうだったというお話をしています。

繰り返しになりますが、過眠症の診断を受けている患者さんが主張をしたり、問診やアンケートで記入する普段の睡眠時間は実際の睡眠時間とかなりかけ離れたものであり、全く当てにならないのです。



私の経験上、普段1日3〜4時間睡眠で日中の眠気を訴える患者さんは発達障害の方が多いです。
実際、このMSLT0秒の患者さんのうち1人の患者さんは発達障害の患者さんでした。
発達障害は一つの感覚が普通の人よりも過敏だったり、逆に非常に鈍感だったり、睡眠スケジュールが管理できなかったり、衝動が管理できなかったり、過集中で徹夜をしてしまう症状を呈する患者さんが多くいらっしゃいます。
普通の人であれば1日3時間睡眠を繰り返していると睡眠不足であることや眠いという感覚を普通に感じることができます。
しかし、発達障害の患者さんは睡眠不足や眠いという感覚を感じることができずに、瞬きをするだけで寝てしまうMSLTの結果が0秒で寝てしまうほどの眠気の症状を呈するのでしょうか?

発達障害とこれらの症状の関連に関しては、ここでは結論をつけることが出来ないので、研究を待つべきだと思います。

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