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権限移譲と創業者の役割とCEO室

諸岡 裕人(カミナシCEO | SaaS)

※上の画像は創業当初に借りた最初のオフィスの表札です。当時の社名を適当な紙に書いて貼ってました。

2022年、新しい年が始まりました。

よく見たら昨年書いたnoteはたったの2本だけ(少なっ...)。今年はもっとたくさん自分の言葉で発信していきたいと思います。

今回は創業者の役割の変遷について書いてみたいと思います。5年間SaaSスタートアップを経営して、シード期間3.5年、シリーズA以降1.5年が経過した創業者の視点から見た話です。

スタートアップのFounderや、社長に権限移譲して欲しいと思っている人、カミナシの今に興味ある方に読んでもらえればと思います。

役割の変遷

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※最初のオフィスです。寒かったので地面にこたつを置いて仕事をしていました。

創業時からの2年ほどは、全てが自分の仕事でした。プロダクト、営業、CS、採用、広報、総務、経理、資金調達など、文字通り全部自分がやっていました。

3年目になると、徐々にメンバーが増えていき、少しずつ役割分担が進んできましたが、まだまだメンバーと一緒に営業に出たり、機能開発についてエンジニアチームと一緒に議論したりしながら一喜一憂して仕事をしていました。

そこから徐々に役割が減っていき、最後に残ったものがMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と広報です。資金調達も自分の仕事ですが、日常的な仕事ではありません。昨年の10月以降はビジネスサイドについても完全に意思決定はCOOやVPに任せて、自らがトップダウンで何かを決めるということは、まずありません。

権限移譲が進む時

徐々に創業者のやることがなくなっていく、または限定されていくというのはとても自然なことだと感じています。感覚で言えば、自分がどんどん渡していったというよりは、気づけば剥がれていたという感覚が強いです。

当初は「なんでも屋」状態ですが、それぞれの業務に使える時間は限られます。自分が20%使っている間に、相手は100%コミットしているわけです。しかも、その方は自分よりもセールスやプロダクト、CSに専門性があるわけです。黙っていても、そのうち自分よりも高いアウトプットを出すようになり、思考の量や深さでも勝てなくなっていきます。

※こんなことを考えながらやっていました。

更には、シリーズA以降、どんどん人数が増え組織が拡大していくと、3ヶ月に一度何か大きめの問題が勃発します。自分の時間は、そうした非定形の重要で緊急性の高い課題に取られていきます。そうなると、これまでの業務なんてやってる場合じゃない!という感じになってくるので、どんどん任せる必要が出てきます。

もしそれでも権限移譲が進まないとすれば、2つのうちのいずれかです。創業者の能力が全てにおいて圧倒的に秀でているか、ある分野で自分より優れている人を採用できていないか。

加えて、noteを書いて、社内に対して「自分たちより優秀な人材だけを採用しよう!」「権限はどんどん渡していきたい!」というメッセージを社内外に伝えました。

そんなこんなで、どんどん自分の役割を渡していくことに成功しました。

モヤモヤがやって来る

では、その過程は創業者にとってハッピーなのか?

そうでもありませんw。

正直に言えば、権限を渡していく過程は痛みも伴いました。「最前線で戦って勝ち取った受注の喜び」や「仕事がどんどん降ってくるランナーズハイ」などは全く味わえなくなります(別に味わいたくないという人もいると思いますが...)。

やはり、CEOとしては重大な決断を下したり、自分が会社や事業を引っ張っているという実感が欲しくなります。過去は全てにおいて会社の中心だったはずが、気づいたら外れてしまっている。

そして、だんだんと「俺って会社に価値貢献しているんだっけ!?」という猜疑心が襲ってきます。会社の象徴、神輿のお飾りのような存在になった気がして、一時モヤモヤしてました。

ある月末に、遂にセールスの数値の達成について口出しをしてしまいました。最後の数十万で未達成になりそうなタイミングで、「達成できるのか?出来ないのか?」と確認したところ、「難しい」という返答。

待ってましたとばかりに、自分で持っていた案件を受注をして達成するという、個人的にはカタルシスに浸れるような月末があったんです。

ですが、これは自分だけの自己満足でした。

実は、セールスチームではQでの達成にコミットしていました。その計画をもとに商談先ともコミュニケーションを取っていました。それに対して諸岡が、「月次で何が何でも達成しろ」というプレッシャーを掛けてしまっていたのです。

自分以上に考え抜いて、現場で戦っているメンバーの意思を無視した最悪なスタンドプレーだったわけです。この時にCOOの河内から「よくないです」と怒られましてw。

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この時に「自分は徹底して口を出さない」ということを誓ったのであります。この指摘は本当にありがたかったです。自分の至らないところをハッキリ言ってくれるCOOがいることに恵まれています。

じゃあ、自分は何をするのか?ということを考える旅はまだ続いていました...。

創業者として自分がやること

そんな感じで昨年12月頃からグルグルと考えて、やっと答えを出しました。

自分は「目には見えにくいけど会社にとっては大事なこと」に注力することにしました。

事業成長などの目に見えるはっきりとした具体的な成果は、メンバー全員が実現しようと努力してくれています。

であれば、自分自身はT2D3の成長曲線を追いかけた時に、皆がそれに必死になればなるほど、こぼれ落ちるコトに力を注ぐのが良いのではないか?

そう思うようになりました。

そして、それは何かといえばMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)です。

早い成長を目指せば目指すほど、会社や個人に「歪み」が出てくるはずです。「最近、数字のことばかり...」「顧客に向き合えていない」「人が増えて文化が薄まった」など、成長痛がやってくる。

そんな時に立ち戻れる原点として、休める宿り木として、MVVがあるんだろうなと考えるようになりました。

事業成長へのとてつもない力が加わる一年になるはずなので、そのカウンターとして逆方向に思いっきり引っぱる役割こそが、創業者である自分の仕事です。

CEO室を作りました!

よし!やることは決まった!

ということで、動こうとしたのですが、いくら注力するとは言っても、自分一人の力なんて知れています。そこで、力を貸そうと立ち上がってくれたのが、コーポーレートの野崎(中央)、広報の宮地(右)です。

※CEO室発足の記念に「C・E・O」の人文字を撮りました。

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二人は社内でも古株のメンバー(既に!)であり、組織の体温変化によく気づき、行動力もあります。最高のメンバーとCEO室を始動しました。

CEO室のミッションも以下のように言語化しました。「MVVのの実現と高い成長性を両立する」「会社や個々人の成長過程で発生する歪みをケアする」これら2つを掲げました。

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この先は組織やチーム、個人のコンディションや会社の空気感など、目に見えにくい要素の重要性が上がっていくと思っています。

よくよく考えたら、自分はスタートアップ1周目なんですよね。COOの河内も1周目。つまり、この先起きることは全てが「初体験」なわけです。これまでも、素直にちゃんと落とし穴にはまって、改善して乗り越えてきました。

しかし、50人を超えた先は、そうした落とし穴から這い上がる時間や労力が以前と比べ物にならないくらいかかってくるはずです。

今回改めて考えたら、社内には既に、数社経験して、良いことも、悪いことも経験済みな人材がいてくれます。彼らは僕らの未来からやってきた未来人とも言えます。

そんなメンバーと協力しながら、必ず訪れるであろう成長痛に向き合いながら、カミナシを良い会社にしていきたいと考えています。

具体的な活動として色々やっていくので、ぜひ注目していただければ嬉しいです。

ということで次回のCEO室のnoteは「カミナシに起こる成長痛を予想してシミュレーションしてみた」です!

お楽しみに!

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諸岡 裕人(カミナシCEO | SaaS)
起業家(SaaS)|株式会社カミナシCEO |2020年6月リリースhttp://kaminashi.jp|シリーズA 11億円調達🚀||IVS Launchpad SaaS優勝|現場DX SaaSでシリーズAからの上場までのグロースを目指すアカウントです