見出し画像

朱色の子守唄①

十数年前...
それは咽せ返るような炎天下の昼間の出来事だった。父が突然、ハイキングに行くと行って家から何時間もかけて車を飛ばし、高速を降りると突然山道を突き進んだ。昼ぐらいだったか、そこへ着いたのは。そこは何もない高原であった。陽の光を遮る場所すらない暑い場所だった。父母は悲しそうな目で乗って来た車を見つめていた。私は母に手を引かれ、その場を離れた。しばらくして飼い犬のタロがいないことに気づいた。

「お父さん、お母さん...タロは?」

そういうと父は笑みを浮かべて、少ししたら戻ってくるよと言った。しかし、それ以来...タロの姿は見ることはなかった。代わりに気味の悪い黒い木箱が家へとやって来た。

心臓の弱い方
お一人で読まれる方はご遠慮下さい...。


「朱色の子守唄」 原作:上原正三

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?