50歳超えの大学院留学‥コロナと、日英の老人ホームの面会事情

新型コロナが始まって、老人ホームにいる母親に会えなくなったのが納得いかないし、老人ホームの感染対策にも納得いかなかった。

母親はもう80歳を越えてるのだ。80歳以上の人は、コロナが流行る前から多分30人に1人以上が毎年亡くなっていた筈だ。
身体を動かさなければすぐ体力が落ちるし、生きがいが無くなればすぐ気力を失うし、世話に不足があればすぐ心身の調子を崩す。ガラス細工みたいに壊れやすいのだ。
コロナ対策で部屋にこもっていたらすぐ体力が落ちる、家族と会えなければ生きがいを失う、感染対策に追われて介護の質が落ちれば心身の状態を保つのは難しい。
コロナ対策をするのと、しないのと、どちらが長生きできるか、賭けのようなものなのだ。

でも自分一人の力では、もちろんどうする事も出来ない。
他の家族はどうしているんだろうと思った‥老人ホームの感染対策への反対運動をしてくれる家族はいないかな、とも。
老人ホーム入所者の家族を心理学的に調べて修士論文にまとめようと思った。

修論研究の学期が始まり、各自がやりたいテーマを申告して、担当教官が決まった。
コロナと老人ホームの面会について、家族の心理を調べるというテーマは、それでいいよと。
方法は質的研究で、インタビューをすることになった。

ここで大問題があった。
英語でインタビューしないといけないけど日本人でインタビューに応じてくれる人は見つからないんじゃないかと言われて、でもイギリス人に知り合いはいないし‥結局は対象者の国籍・居住地を限定しないことになった。
しかし老人ホーム事情があまりバラバラだといろいろ困るがなぁと思いつつ。

だから一貫しないのだけど、日本とイギリスの老人ホーム面会事情を中心に調べた。

日本ではコロナが始まってすぐ、厚労省が老人ホームに面会の禁止を指示していた。見直されたのは、2021年11月になってからで、やはり厚労省から老人ホームに、可能な限り安全に実施できる方法を検討すること、となっていた。
対して入所者・家族の面会に関しての動きは、インターネット上では一つも見つからなかった。せいぜい、当ホームでは面会していただけます!って広告(有料老人ホーム)がたくさん見つかるぐらいだった‥ということは、コロナが流行っていようとも入所してる家族に会いたい人は多いと思うのだけど。

イギリスでは2020年10月に、老人ホーム入所者の家族が「入所者の権利」というグループを立ち上げて、面会を認めさせる活動を始めた。
そして2020年11月には政府が、老人ホーム、家族と地方自治体は面会の良い面と危険性のバランスをとって解決策を見つけるようにとの声明を出した。
>> 日本政府が2021年11月に老人ホームに出した通達とほぼ同じ意味かと。日本は1年遅れだ! 人口当たりのコロナ陽性死者は1桁少なかったのに‼︎

2020年暮れのロックダウンを挟んで、2021年3月にイギリスの国会では老人ホームの質を監視する民間団体に、老人ホームの面会を進めているか調査するよう要請を出し、翌月には多くの老人ホームが政府の声明通りに動いていないことが発覚した。
2021年9月に「入所者の権利」グループが首相官邸前でデモ行進をし、老人ホームへの面会許可を求める27万筆の署名を提出した。
2022年10月に「入所者の権利」グループは、多くの老人ホームが面会にあたって制限事項を設けていることを公表した。

そして2022年11月にイギリス政府は、老人ホーム入所者の面会を受ける権利を法制化すると宣言した!

うー! イギリス、羨ましすぎる‼︎
老人ホームに入ってる家族と会いたいのは日本でもイギリスでも同じだと思うのだけど、そしてどちらの国でもコロナは流行ったのに、何故こんなに両国の家族の行動は違うの⁉︎

どのように老人ホーム入所者の家族が、面会への態度を決めるかを調べたい!と思ったのだけど、でも難問山積なのだった。

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