50歳超えの大学院留学(オンライン)‥コロナと、老人ホームの面会についての質的研究‥結果がバラバラ

母親の入ってる特別養護老人ホームで、面会がちっとも許可されないが?
検索すると、面会制限をしてる老人ホームが多いし、政府や自治体も初期に面会制限の通達を出してから動きがないが?
老人ホームの家族に会わせろと運動してる人も見かけないが?

そういう老人ホーム入所者の家族としての思いから、研究を始めた。
では research question = 研究課題(?)は、どうするか?

一体、老人ホームへの面会を、家族や他の人はどう考えてるのだろう?
(何故、面会が許可されないのだろう⁇)

これが修士論文の表題にもなり、本文の中で研究課題であるとしたのだけど、採点者の評価で何が研究課題なのかハッキリしないと書かれた。

うん、そりゃまぁそうだよね。
老人ホームへの面会に抱く思いって、人によっていろいろあって広すぎる。どういう面に着目するのかを絞る必要があるのかも。
それに新型コロナ流行下という条件を加えたら、範囲が狭くなるかってそうとも言えないし。

そして、それよりも何よりも、大問題があった。
質的研究をするのは、全くの初めてなのだ。
‥以前の科目に、指定されたインタビュー動画について thematic analysis をしなさいという課題があった。
けど文献リストにあった解説を読んでも、サッパリ要領を得なかった。
どういう方向性で分析するべきなのかが分からなくて、思った通りにやったら大外れだった。
そんな私が自分で質問項目を作って、インタビューするのか‥。

しかしやるか、やらないかなので、ともかくやった。
やって損することは、とりあえず無いので。

しかし被験者集めに苦労して、バラバラな条件の人が集まった。
結果もバラバラだ。
分析に頭をかかえた。
考えて、考えて、期限ギリギリにまとめて‥予期してなかった分析結果が出た。

質的研究って、こういう結果を産み出す手法なんだと、本当にビックリした。
しかしまぁそれは最後に気づいたことで、インタビューを終わったときには thematic analysis のやり方もどうも理解してなかったし、頻出する発言を集めてきて、まとめたって一体なんの役に立つんだろうとしか思っていなかった。

しかし論文を提出するには、分析をやらねばならぬので、やった。

日本に住む人のご意見(インタビュー 2022年8月)

・新型コロナのワクチンは(感染防止に?)有用だと思う、自分も接種した。自分は老人病院に母親が入院していて、コロナの波が来てるので面会させて貰えないが、当然だと思う。自分自身も出来るだけ外出しないようにしている。

・新型コロナのワクチンは(感染防止に?)有用だと思う、自分も接種した。自分も家族ぐるみで付き合っていた人が老人ホームに入っているが、教会の仲間から面会は家族限定だと聞いている。老人ホームには高齢で身体の弱い人がたくさんいるので、面会の制限は当然だと思う。

・新型コロナのワクチンは(感染防止に?)有用だと思う、自分も接種した。自分も知り合いに老人ホームに入っている人がいるが、コロナの波がまた来てるから面会を許可したら危険だと思う。何故、イギリスでは老人ホームの面会が許可されてるかって?‥イギリスでは地域の感染状況に応じて行動制限がちゃんとされてるから安全だけど、日本では出来るだけ外出は控えましょうって個人の判断に任されていて、行動制限に実効性がないから危険だと思う。

・新型コロナのワクチンは(感染防止に?)有用だと思う、自分も接種した。
故国では、皆がさっさとワクチンを打って、さっさと面会制限も解除したし、もう日本よりも死亡者が少なくなった(事実ではない)。日本は何でも遅いのだ、接種を強制にしてもいいし、早く打てばいいのに。

・新型コロナのワクチンなんて要らない、自分は打ってない。
新型コロナのニュースを初めて聞いたとき、こりゃ社会がパニックになるなと思った。老人ホームの入所者が家族にずっと会えないなんて、嘆かわしいことだ。日本ではまだパニックが続いているから、面会禁止が解けないのだろう。何故、日本では入所者家族が面会を求めて運動しないのかって?‥日本では元々家族同士が会う習慣がないからだ、日本に住む外国人には常識だ、だから老人ホームに会いに行きたいとも思わないのだろう。

・新型コロナのワクチンなんて要らない、自分は打ってない。
ワクチンは人口削減のための陰謀なのだ。高齢者は医療費をたくさんつかうから、政府が経費を節約しようと思って、企んだのだ。自分には老人ホームに母親がいるが、会えてない。兄が面会は禁止だと言っていた。自分に出来ることはない、コロナは茶番だという情報を広めるように頑張ってはいるけれど。

外国に住む人のご意見(インタビューは同時期)

・ワクチンは強制だ、自分も家族も打った。新型コロナのワクチンが感染防止に有用かって?‥自分は専門家ではないから分からないけど、ワクチンを打って接種証明を見せれば、教会も役所も病院にも入れるし、ワクチンを打ったことで自分も皆も自信がついた。以前と違うのは、同僚とハグしたり、握手したりしないことだ。
老人ホームは自分の国では一般的ではない。別の家に住む高齢の母親に会いに行くときは、検査して陰性かを確かめてからにしている。

・ワクチンは、自分は介護士の免許を維持するために必要なので打ったけど、打った人がたくさんコロナになっているので、感染防止の役には立たないと思う。
ワクチン接種が進んでから、病院も老人ホームも面会できるようになった。面会時にはワクチン接種証明が必要で、どこも玄関に大きなお知らせが貼ってある。反対する人はいないのかって?(入所者・入院者本人や家族でなく、他の人が反対しないのかとの問いが、なかなか理解して貰えなかった)‥皆、ワクチンが感染防止に有効だと思ってるから、反対する人なんて滅多にいないと思う。

・ワクチンは通常の手順を踏まずに慌てて作ったもので、信用がおけないから、自分も家族も打ってない。そもそもマスコミは騒いでるけど、周囲の人は皆、マスコミよりクチコミを信頼していて、自分たちも知り合いの医師たちに聞いて、新型コロナがこれまでの呼吸器感染症より大変な病気とはいえないと知っている。
旅行や公共施設に入るとき等にワクチンの接種証明を求められるから打っている人はいるけど、それだけのことで、ワクチンの有効性を信じている訳ではない。
自分の国では高齢者は家族が世話をするので、老人ホームに入るのはよほどの理由がある人だけで、面会については知らない。

これらのインタビューの回答から、テーマを拾い出さないといけないのだけど、、、しばらくの間、ひたすら困っていた。
私が聞いてもいないのに、皆ワクチンについて口にした。
ワクチンを打てば、老人ホームの面会OKな人も、そうでない人もいた。
面会制限と、ワクチン接種証明というのも頻出した。
‥しかし、どう論理を展開して考察して行けばいいのか、ホント途方にくれていた。

ていうか、思い出した‥今こうやって書いているのは、もちろん論文が出来上がった後で、ワクチンやワクチン証明書をテーマに決めたから、拾った発言もこうなったのだけど、途中の締切に担当の先生に草稿を提出したときには、何でコロナだから老人ホームの面会を怖がるかについて、災害時の恐怖心を起こす心理学的トリガーとかいう論文を見つけてそれに沿ってテーマを拾って、まとめた。
理由は忘れたけど、それじゃ駄目と言われて、分析をやり直したのだった。

‥長くなって疲れたので、結論は次回にします。
読んでくださった方、お疲れさまでした、有難うございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?