50歳超えの大学院留学(オンライン)‥コロナで老人ホームが面会禁止になった

3年間で終わるコースを選んで、最後の1年は修士論文を作ると分かっていたけど、何をテーマにするかは決めていなかった。
それが、幸か不幸か途中で新型コロナが始まって、自分が絶対にやりたいテーマが出来てしまった。

母親が数年前に脳出血で寝たきりになり、特別養護老人ホームに入っていた。
コロナが始まって、母親に面会するのは禁止になった。
‥時期によって決まりがかわり、ホームのある県内に在住で同居者全員が県外と2週間以内に行き来がなかった人のみ可だったり、県外在住者もホームの玄関ホールで3分間だけ可だったり。

何だかとても人手が足りないようで、ホームの代表電話にかけると看護師が出てきた。
許可が出たときには、その看護師が玄関ホールまで母親をむりやり車椅子に乗せて、連れてきた。
コロナになってから、母親はホームで小さな怪我をよくした。

もちろんホームの状況は実際に見られないので、推測するしかない。
元々、厚労省の決めた配置基準が低すぎるので、特別養護老人ホームの人手はてんで足りない。
母親のホームでは夜間は入所者20人に対して職員1人だった‥他もそんなものではないか、配置基準は全国一律だから。
コロナの前から、いつも面会に行くと職員がてんてこ舞いしていた。
付き添ってトイレに座らせないといけない人がいる、しょっちゅう職員を呼ぶ人がいる、ときには体調を崩していて再々見に行かないといけない人もいる。
そしてオムツ替えの必要な人が幾人もいるのだ。
夜勤だと休憩どころじゃないだろうなと思っていた。

そこにコロナだ。
感染予防対策として手袋、マスク、防護衣を一人入所者を介助する毎に付け替えて(?)、手やあちこちを消毒して‥と考えると、肝心の介護にはますます手が回りきらないだろうなと思った。
そして入所者の感染が疑われたら検査したり、嘱託医を呼んだりして手間がかかる。
職員が検査で陽性になったり、濃厚接触者になって欠勤して、ますます人手が足りなくなる。
コロナを恐れて、職員には禁足令が出て、休日でも気晴らしに出られなくなったらしい。
仕事はめちゃくちゃ大変、いつもに増して人手は足りない、休日の過ごし方まで制限されて、辞める人もいつもよりもっと増えただろう。
新しい職員が来て不慣れな人に介護されるか、人手が足りないままか、いずれにせよ入所者の介護に多少なりとも影響が出たのでないか。

入所者家族の私としても、面会は禁止されているし、母親の状態や介護の状況が心配で、母親を家に引き取ることも考えた。
近くの包括支援センターに教えて貰いに行った‥要介護5の人が介護保険をめいっぱい使うと、どんなサービスが受けられるのかと。
母には可哀想だけど、私が家で母を介護しながら生活するのに充分なレベルではなかった。

もううろ覚えだけど、平日昼間に3回オムツを替えに来て、週1回訪問看護が来て、月1回訪問診療が来て、あと訪問入浴が週2回ぐらい含まれていたか、どうか。それで、めいっぱいだと。
平日夜間や週末はどうするのかと聞くと、それはご家族がガンバってくださいと返ってきた。

ということは、平日昼間も時々様子を見ないといけないから、母を置いて仕事には出られない。夜間は時々様子をうかがい、出たと言われたらオムツ替え。週末はつきっきりで介護することになる。
介護保険で足りない部分を自費で賄ったら、いくらかかるか、、平日夜間と週末2日の24時間にいて貰って、平日昼間に時々訪問して貰うと‥もう想像もつかないが月100万を大きく超えるのでないか。
それを‥予想は出来ないが、10年超か‥払う資力は母親にもないし、私たちきょうだいにもない。

だから介護離職も相次ぐ訳だ。
私は介護離職したら、自分の生活費に困るので、その選択肢もないけれど。

こういう不条理に対して、老人ホーム入所者の家族は一体どうしているのか?
どう感じ、考え、行動しているのか⁇

私としてはテーマにするべきことは、これ以外になかった。

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