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ワイとかんぽと、ポスくまと⑤

さて、新人同行研修の話を書こう。

新人は新採時についてはゼロ、2年目は半額、3年目から一人前の予算がついていた。

そのため、2年目まではフル稼働してもらう必要が局の推進上あったのだが、
当然研修期間中に判定されるポテンシャルに応じて、テコ入れ具合も変わってきていた。

育成側としても百人将レベルにも到達しないようなポンコツを育てても仕方がないのだから、
トレーナーからの評価に従い、露骨に差がついてくる。

これは新人は新人で新人賞とかいうタイトルを目指すように言い含められていたし、
トレーナーもどれだけ輩出するかによって評価が変わってきたのであろうから、
当たり前ではあるのだが、管理者側からすれば
ガチャ失敗とばかりに新人を責め立てる
ケースもあった。

なおワイちゃんは、督促業務やら、
怪しい代理店業務などで培った、
丁稚スキルで、大して営業センスを感じさせない
にも関わらず、トレーナーから気に入られていた
様子でとても優しく扱われていた。
募集人としての限界を感じた今を思えば
ここでかち割られていた方が
大成できたのではないかとも思うが
人生万事塞翁が馬である。
人付き合いが今でも続いていることを考えれば
幸せなこととも思う。

話を本筋に戻すと、行き過ぎた局では、
新人が同行指導で挙げる数字が
全体の推進で一定のウエートを占めるように
なっていった。

問題なのはトレーナーが皆、キレイな募集人ばかりではなかったことである。
つまり、九州の何某ほどではないにせよ
その日の数字があればいい、というかんぽの
営業イズムの体現のような人物も
各地でトレーナーになっていた。

そのため、同行指導の日は、日進2%達成です!
と言った翌週に、クーリングオフです!、
短期失解です!といった原因で、
挙げた数字がそのまま剥げるようなことも
末期では珍しくなくなっていた。

こうなると最早チャリンカーと同じで
ますます深みにはまっていったのである。

繰り返すが、これはかんぽ営業における
雇用の歪みも大きな原因である。

過大な営業目標とマスコミでも散々叩かれていたが
他社を経験した今ならはっきりと分かる。

決して過大ではなかったのだ。

単に現場の力が足りなすぎた結果である。

本来なら引導を渡されているはずの募集人が
ゾンビの如く生き残っているがために
目標が肥大化していただけであり、
筋肉質なプレイヤー構成であれば
こなせない数字ではなかったのではないか?

民間と公務員の悪いところを煮詰めた職場、
とよく評されるが、郵便局の金融渉外は
まさしく沈みゆく日本の縮図であった。
高齢者の扶養と介護に忙殺され、
耐えきれずに他所に行くものと、
ポンコツ同士で相互依存になるものたち。

この世の地獄である。

続く

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