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【書評】タバコ業界からの政治献金が受動喫煙防止の立法を妨げている -国民世論も国際的協定・趨勢も許すものではない-

野上浩志
「タバコ業界からの政治献金が受動喫煙防止の立法を妨げている -国民世論も国際的協定・趨勢も許すものではない-」 
担当:丸

[本書選択理由]
 先日の慶応大学との適地戦闘会で自分の研究を発表した際、たばこ産業と議員連盟の関係性をつかむと面白いかもねというご指摘を清水教授からいただき、少し調べた結果、これまで私が研究してきたような内容と類似する点が見つかり、これからの研究にも役立つのではないかと考えたため。

[要約]
 3.なぜタバコ議連は厚労省案に反対するのか?
(1)喫煙議員が多い、「どこでもタバコを吸いたい」から? 議連は、対案の理由として「飲食店などが潰れる、廃業に追い込まれる」などをあげているが、 厚労省の資料をはじめ、国内外の多くの調査文献 がこれを否定している。タバコ業界・飲食店業 界などからこれら議員に陳情があるようですが、議連の議員たちがこれを真に受け、これら虚偽情報を鵜呑みにしているとはとても思えない。それでもなお対案を出す形で厚労省案に反対する理由は、少なくとも理由があるようにしか思えない。その一つには、自らが喫煙者であって、どこでもタバコを吸いたい、制限を受けたくない、と考えているようである。自民党内の喫煙率は一般社会よりも断然高く、議連の役職者をはじめ、議連の議員の多くが喫煙者のようで、例えば3月7日の議連の臨 時総会での発言として「喫煙を愉しむことは幸福追求の権利、憲法で保障されている権利」との発言まであったと報じられています。議連幹事の竹下亘・国会対策委員長は「「全エリアで禁煙にすると言われたら、どうやって生きていけばいいのかという思いだ。できれば法案が出てきてほしくない」。 竹下氏は1日約60本を吸うヘビースモーカー。とはいえ、法案成立を左右する国会審議の司令塔という立場だけに、「実際に国会に(法案が)出てきて 法律ができれば、従わなければならんとも覚悟している」と漏らした。」と報じられている。 そのような重度のタバコ依存に陥っている議員には、タバコと受動喫煙の危害への無知や軽視があり、発言録を見ても「分煙で危害を防げる、世界に冠たる分煙先進国を目指すべき」との理解で、まして国民の84%ものタバコを吸わない国民の受動喫煙への健康影響など思い及ばないのであろう。

[批判・感想]
 議連の人のほうが一般の人よりも、たばこを吸う人が多いというのは初めて聞くことで、また今回の論文から読み取るに、議員は明らかにたばこ規制を煙たがっているように感じた。今回の論文が面白かったため、今後も議連と厚生労働省の対立構図見ていけたらと思う。

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