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掌編小説『尊さときどき儚さ』

ある日のこと、街の喫茶店で私は偶然、エレガントなお爺さんとお婆さんに出会った。

お爺さんは白髪を横に流し、紳士的な佇まいで店内を見渡している。お婆さんは華やかなドレスを身に纏い、笑顔でお爺さんに話しかけている。

私は彼らの姿に惹かれ、思わず近くの席に座った。

お爺さんはお婆さんに対してとても優しく微笑んでいる。そして、お婆さんもまたお爺さんに対して愛情深いまなざしを向けている。その光景はまるで映画のワンシーンのようだった。

店内の賑やかな雑踏が周りに漂っている中、お爺さんとお婆さんの世界は静かで穏やかだった。彼らの存在がまるで音楽のように私の耳に響いてくる。

私は彼らの愛に触れながら、自分の心の中に眠っていた感情に気づいた。

老夫婦に会ってから、私は人を好きになっていった。私は愛とは何かを考え始めた。生まれて初めて不安を感じるようになった。今までが上手くできすぎた人生だからだ。

きっと愛する人ができたら私はもうおしまいだと思う。その人のことをきっと長生きしてほしいと願うだろう。そして私も長生きしたいと思うだろう。

あなたがいるのなら、私は傷ついてもいいと思う。あなたがいるのなら、あなたを守って自分を差し出すこともいとわない。

老夫婦に会って、私は私ではなくなった。今までの私は自分のことしか考えて来なかったが、私は老夫婦をみて考えを改めたのだ。

だから、私も愛する人ができたら会い続ける。一緒に笑い合い、泣き合い、支え合う。人生の先輩のようにずっと一緒にいたい。




そして、お爺さんとお婆さんのように、エレガントな愛の物語を紡いでいくのだ。

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