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ポジティブ

1. 古本屋―店先(外)

長身の男が、本店先の郵便ポストに向かってブツブツ言いながら手紙を挿入している。
手紙には、雑誌の活字を切り取ったようなセックスピストルズ的なデザインで「L.O.V.E」と何枚も貼ってある

同じ店の前の道を、うつむき加減で足早に歩いてくる小太りの青年。
長身の男の様子を横目で見ながら、店に入る

2 .古本屋―店内

青年、店に入るなり入り口近くのコーナーへ直行する

店主 
「いらっしゃい」

店の奥、カウンターで釣りの本を読みながら、顔も上げずに声をかける店主

青年、あわてた様子で目の前の本をとり立ち読みをするフリをする。

青年、本に顔を隠しながら、店主のほうを確認する。
店主、読んでる本に熱中している

長身の男、店に入ってくる

長身の男
「よっ」

明るい態度

店主     
「ああ、いらっしゃい。最近どう?」

釣りのジェスチャーをする店主

長身の男
「いや。もう全然」

 長身の男、話しながら、店主のいるカウンターまで歩いていく
 青年の側を長身の男が通る
 青年、その気配を感じ息が荒くなる

 店主と長身の男、そのまま釣り談義に花を咲かせる

会話フェードアウト
***
青年の息遣いのみになる
視線が泳ぐ青年
本に顔を隠しながら、店主のほうを確認する。
店主と長身の男、話に夢中
店主の後ろに、「万引き禁止」ポスターが見える。
青年、本棚から一冊の本を手に取りカバンに入れ、足早に店を出る。
***
会話、フェードイン

青年の行動に気づかない(興味が無い)店主と長身の男

3.古本屋―店先(外)

青年、走り去る。
通りかかった警察官の男とすれ違う
訝しげに振り返る警察官

4.古本屋―店内


長身の男、後ろ(青年がいた位置)を気にする

店主
「だからね、そのとき、こう・・・来たわけよ。
こう・・・ね?聞いてる?こうよ。こう」

 店主、竿がしなってるジェスチャ
 長身の男、店主のほうに向き直って話を聞いてあげる。

5.人目のつかない場所


本屋から盗んだ本を広げて尻を出して座っている青年

警官(声)
「君、君!」

青年、少し反応するが、同じ姿勢のまま動かない

警官
「どうされましたか?」

 警官が駆け寄り、声をかける
 青年、そのままの体勢で答える。

青年
「あ、はい。大丈夫です。ちょっと転んじゃって」

警官
「いや・・・・・転んだって・・・。お尻、出てるよ」

青年
「あ、僕、転ぶと同時に尻が出てしまう体質なんです。気になさらないでください」

警官
「あそう・・・いや、まぁその、とにかく、、、、これ君のかい?かわいいなぁ。どこで買ったの?」

床に広げていた本をとりあげて眺める警官
青年、あわてた様子で起き上がり、半ば強引に本を奪い返す

青年
「そうです!ありがとうございます」

青年、まだブリーフやズボンを上げていない状態。

警官
「まったく・・・」

警官、それに気づきズボンをあげてやろうとする
青年、その手を振りほどく
警官、驚いた様子で顔を見上げる。

警官
「なっ・・・君・・・泣いてるじゃない。大丈夫か?」

青年
「あっ、すいません。大丈夫です。転んで目にゴミが入っちゃって。ありがとうございます。もうホントに大丈夫です」

警官
「そう?ならいいけど。とにかくズボンをあげて。まずはこの本をどこで買ったのかと、それと、身分証明書、もってるかな」

優しい態度から一変して事務的な態度になる警官
青年、おどおどとした様子でズボンをあげ、財布から身分証明書を出す

身分証明書と青年の顔を見比べ、訝しげな警官

青年
「あっ、すいません。この本ですよね。これはこの道の通り沿いにある本屋さんで随分前に買ったもので、ちょっと、いつだったかは覚えてません」

警官
「ああそうなの?さっき見かけたとき随分急いでお店から出てきた感じだっけど、まさか、万引きじゃないよね?」

青年
「あ、あはははは、まさかそんなわけないじゃないですか、あははは」

(少しの間)

警官
「じゃあ、まぁ、住所と名前だけ、控えさせてもらってもいい?」

青年
「ええ、もちろんです。僕、怪しいですもんね」

警官
「まぁ、そういうわけでもないけど、尻でてるからね」

青年
「あ、あはははは、まさかそんなわけないじゃないですか、あははは」

6.古本屋―店先(外)


(別の日)

青年、店の前に立っている。
店は閉まっていて、貼り紙に

本日休業
山田漁港で釣りしてマース♡ 
店主

とある。


青年
「山田漁港・・・・」

 青年、バッグから本を取り出し、入り口ドアにねじ込もうとするが、入らず。
 一息ついていると、万引き禁止ポスターが目に入る。

 本とポスターを見比べ、店先を去る。

7.道



 青年、スマホでマップを見ながら歩いている。
 青年、通りに立っていた若い女性に声をかける。

青年
「すいません、ここら辺、、、」

若い女性 
「(言葉をさえぎって)もういい加減やめてもらえませんか?」

青年
「・・・」

若い女性
「あなたのことは調べてあります。警察にもいきましたし」

青年
 「・・・」

若い女性
 「これも、これも、これも、これも、これも!!!迷惑なんです!!!」

カバンから手紙を何枚も出しながら、徐々にヒステリックになる女性。
最後にはその手紙を青年に叩きつけてしまう。

青年、その手紙を見る。
手紙には、雑誌の活字を切り取ったようなセックスピストルズ的なデザインで「L.O.V.E」と何枚も貼ってある

若い女性
「もう死んでください!!」

若い女性、逃げるように走り去る。

青年、あっけに取られた表情。
手紙をどうすればいいかわからず、右往左往した結果、すべて拾ってカバンにしまう。

8.道2

青年、向かい側から歩いてくる小型犬を散歩中のメガネをかけた中年女性と目が合う。

中年女性、青年に微笑みかける
青年、戸惑いつつも笑みを返す。

中年女性
 「(笑顔で)あなたのために、祈らせてください」

青年
「(意味を汲み取るのに時間がかかり笑顔のまま)・・・」

中年女性、祈り始める

(結構な間)

青年
「・・・あの、どれくらいかかりますか?」

中年女性
「(笑顔)ほんの4,50分です」

青年
「・・・いや、急いでますんで、もういいですか?」

中年女性
「(素の表情)まだ終わってませんが?」

青年
 「ごめんなさい。もう遠慮しておきます」

中年女性
 「(憤怒の顔に豹変し)地獄へ落ちるわよ!!」

青年
 「ごめんなさい!」

青年、走り去る

中年女性
「地獄へ落ちろ!!この雌ブタが!!!!」

走る青年
路地を曲がったところで、中年女性が追いかけてこないことを確かめ立ち止まる。

青年
「・・・・・メスじゃない」

青年、泣きそうな表情。

9. 道3(堤防)


 青年もくもくと捜し続ける。
 川原の遠く向こう岸、水辺に店主を見つける。

10.川原(水辺)


店主、タバコを吸って、一服
青年、(河を泳いで横断してきた様子で)河から這い出て、店主の元に歩み寄る。
水に濡れてびしょびしょな姿

青年
「(息切れしながら)この間は、、、(息切れしながら)すいませんでした」

 青年、頭を下げる
 店主、青年のほうを見る
 青年、バッグからびしょ濡れの本を取り出し、差し出す。


店主
 「・・・ぬれてるけど」

青年
「あっ、本当だ。・・・さっき川に入ったんです。それで・・・(やっちまった、という表情)」

(店主、リアクションしない)

青年
「確かに、濡れてしまいました。でもそこは、今の僕の心情だと汲み取って、許してもらえないでしょうか」

(店主、リアクションしない)

青年
「(笑みを浮かべて)いや、濡れてるって言ってもヤラしい意味じゃなくて・・・僕、メスじゃないんで、ははは。こう、ぼくの心が反映して、悲しいだとか、後悔だとか~」

 店主、青年の言葉をさえぎって、本を取る。
パラパラと中を見ると、「L.O.V.E」の手紙が挟まっている。
店主、黙って、そのページのまま青年に向ける。

青年、少しあわてるも、店主の顔色を見て、しばし考えた様子

青年
「やっぱりそうですか。・・・・僕は今まで、世の中に迫害されてきました。それは・・・それは!これからも!これから先も変わらないということでしょうか!!!?」

 青年、興奮した様子。
 店主、無視して傍らにあるクーラーボックスを開けビールを取り、本をそのクーラーボックスの横に投げる。

 店主、ビールを開けて飲む。

 青年がそのクーラーボックスの中身を覗き見ると、そこには、聖書のような厚い本、濡れてない「L.O.V.E」の手紙(罪シールが貼られている)、そして、長身の男の生首(罰シールが貼られている)が入っている。

青年
「うわぁ!おかぁ!!!」

 

青年、驚愕し、腰を抜かす。
店主、気にせずビールを飲み、持っていたタバコを投げ捨てた本で押し消す。
こげる「L.O.V.E」手紙

青年、しばし考え込んだ様子の後、すっと立ち上がる。

青年
「わかりました。これが僕の使命なんですね!!!」

青年、ニヤリと笑みを浮かべ走り去る。

店主、あくびをかみ締めながら、タバコに火をつける。

11.道4

若い女性と警察官が話しているところを青年が走り去る
警官が青年を追う

中年女性(と小型犬)が通りかかり、青年を見つけ、鬼の形相で追いかける

先に中年女性(小型犬は置いていかれている)が青年に追いつき、カバンを引っ張る

引っ張られて蓋の空いたカバンから「L.O.V.E」の手紙が飛び散る。

後ろから追いついた警官の前に、手紙が落ちる。

警官、それを読み、すべてを(ホントのホントは勘違いだが)察する。

警官、「キッサマー」と、青年を取り押さえようともみくちゃになる。

12.エンドロール

(主題歌が流れる)

13. 古本屋―店内


(別の日、おそらく青年が本屋に立ち寄る前の。あるいは、そのあとの。)


店主、立ち読みで積み上げられた本たちに気づき、整理しだす。
積み上げられた本に隠れていた本棚の枠には

処分品にて無料
ご自由にお持ち帰りください。
店主♡

とある。

(おわり)

主題歌



タイトル【ポピューンのテーマ】


「」=セリフ
()=合いの手

〜mihimaru GTばりの男性DJラップ〜
イェーイェー
みんな目は覚めたかい?
あたたかーい日差しに駆け出しsora見上げようぜ
ほら
見上げればあの子がやってくる
so
アンドロイドポピューン
チェゲラ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あんたのせいだからね!」

※サビ※
うつむいている、あなたのために
空見上げる時を大事に
明日に生きる小さな生命-いのち-守るため
考え方一つなのさ

ポジティブアンドロイド(ジャスティ)ポピューンっ!!

※Aメロ※
くじけそうになったとき、私を思い出してね
魔法の力で世界を変えるよ(ポピュン)
いつも×3、あなたを見てる

普通の女の子じゃなくてゴメンね
あなたのために変身するの(ポピュン)
いつも×3、私を見てて

※サビ※
くりかえし

※Bメロ※
ah
寂しいときは会いにきてね
あなたがいるだけで世界は変わるから

※サビ※
くりかえし

因果応報、世界の常識−セオリー-
ポジティブシンキング レディゴナウ
今日の自分は明日の自分
考え方一つなのさ

ポジティブアンドロイド(ジャスティ)ポピューンっ!!

あとがき

20代でアルバイトをしていたとき、同じ職場で映画監督を目指して勉強している同僚がいました。
この脚本は、当時、その映画監督志望の同僚が10分程度の映像になる脚本がほしいというので、案として出したものの、ボツになったものです。

chatGPTで、自作のkiyokawaモデルを作るにあたり、自分の書いた文章を大量に読ませる必要があると聞き、Google Driveに眠っているドキュメントを見ていたら発見したので、この際、ボツ原稿の墓標としてここに記しておこうと思います。

いま見ても、自分らしい適当な感じが出てて良い作品だと思います。

本note内に挿入した画像は、この脚本中の適当なセンテンスをもとにAIが作成した画像です。
いつかAIがすべてを自動化してくれたときに、映像化できることを夢見て。

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