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趣味がほしいと思っている方へ

趣味が無い、趣味が欲しい、とよく相談?される。そんなときに、決まって話すことがある。

前提として、私は趣味があっても無くてもどちらでも良いと思っている。
私も趣味は無かったが今思い返すと漫画を読むとかひたすらキャベツの千切りをするとか謎の制作物を量産して狭い部屋を更に狭くするとか夫にいきなりネットで探してきた数学の難問を見せて『説いて』と言って1時間費やさせたりとか多々趣味があるが、それ以外のことでもう一つ趣味がある。

私はお風呂が好きだ。
日本人ならまぁ大体の人はお風呂が好きだと思う。だからこれは特別なことじゃない。

だからこそ自分ではまったく意識していなかったのだが、私には一ヶ月に一回くらいお風呂dayがあった。学生時代によくやっていた気がするのだが、昼くらいから自宅のお風呂を丹念に掃除し、お風呂で読んでシナシナになっても構わない漫画雑誌を2冊程用意し、ちょっと高い入浴剤を浴槽に入れ、全身を丹念に洗い、浴槽に浸かり漫画を読む。約一時間。飲み物も持ち込んだらもう最高。
お風呂掃除〜お風呂からあがるまで約3時間。
頻度の高いときは週一回だった。

周囲に無趣味を公言しており、ならば休日何していると聞かれ、以上のことを回答すると『それ趣味だわ』と言われた。
びっくりである。
私は好きなお風呂を完璧な状態で入りたかっただけで、趣味のつもりはなかった。単なる『入浴』である。入浴は日本人であれば大体の人が一日一回は行うものだ。一日の汚れを落とす実益のある作業だ。あんまり連日入らない人は本人は分からないかもしれないが臭いから入ってほしい。
それくらい生活に根ざした単なる人間の習慣だ。それを趣味と言われた。
でも確かに、日々の単なる汚れ落としの入浴では3時間もかけない。
なるほどこのご褒美入浴タイムは趣味だった。まさか、自分では気づいていなかったこの『お風呂好き』が趣味と呼べる程になっていたとは!
つまりあなたにも自分では気づいていない趣味があるかもしれない。と、無趣味が悩みな人にこのエピソードを伝える。すると面白いことに、相手は必ずと言って良いほど『……え、じゃあ、これも趣味…?』と私の極楽お風呂日和に似た楽しく興味深いエピソードを話してくれる。


一つ面白いと思った話がある。

私の友人に面白さのメーターを振り切った40代イケメン独身男性がいるのだが、彼はヒドイ社畜で、と言うか強烈なブラック企業に勤めていて、その中でもブラック部署に配属されているのだが、彼はオフィスを出るのはだいたい深夜0時。愛車で退勤する。朝の6時に出勤したのだ、誰しも真っ直ぐ家に帰りすぐにでも眠りたい。だが彼は絶対にそれをしない。必ず、必ず、国道沿いの駐車場が広大なコンビニに寄る。
コカ・コーラ0、クーリッシュを買い車に戻り飲食し全力でシートを倒しyoutubeを見る。
そして当然疲労は限界だから寝落ちする。そして明け方4時に目を覚まし慌てて帰宅する。

ここでポイントなのは、駐車場の傾斜だ。コンビニの駐車場は入り口に向かい少しだけ、上り坂になっている所が多い。高くなる方向に車の鼻先を向けると、シートを倒したときに頭の方にわずかに重力がかかって気持ちいい。
そして、コンビニ傾斜は強いところもあれば弱いところもある。私が好きなのは傾斜強めだ。

そしてこの話を聞くと大体の人が言う。
『コンビニ寄らないで帰りなよ』

私も彼のこの生態を知ったときは勿論言った。それを5日連続でやったと聞いたときは強めに言った。しかし彼は物凄く彫りの深いたまにイタリアとかとのハーフですか?と言われる彫りの深い顔立ちなのに間の抜けた表情をして『だってそこで真っ直ぐ帰ったら今日の俺、仕事しかしてないことになりますよね。それは嫌だしかっこ悪いんで絶対にどこかに寄りたいんですよ。』

驚いた。
なるほど、一日のうちに自分のプライベートな行動を刻みたいのか。理由があった。医者にもうそろそろ糖尿になるから暴飲暴食をやめろと言われてもアイスを食べ続け、気持ち程度にコカ・コーラ0を飲んでいて本当にしょうもないなと思っていたが、その行動には理由があったのだ。

私はそれ以来、彼のコンビニ寄りタイムを称賛している。これは彼の素敵な趣味の時間だからだ。

そしてたまに一緒に遊び、知らないコンビニに寄ると『ここの傾斜キツめで良いんですよ』と紹介され、彼は趣味の時間を更により良いものにするために色々なコンビニの傾斜を吟味しているのかと思うともう爆笑が止まらない。

もしあなたがこのnoteを読んでくださっているのが夜中なら彼はいま必ずコンビニで寝ていて、たまにお巡りさんに職質されています。

無趣味とお嘆きのみなさん、何気なくしている自分の好きやこだわりの行動、振り返ってみてください……。そして『まさかこれも……!?』と思うことあればぜひ教えてくださいませ……。

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