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北辰テスト国語:作文の事前準備

国語100点満点のうち12点を占める作文。以前は16点じゃったから、その重要度は少し下がったが、出来ることなら満点を取りたいのう。また、もしも時間が足りなくなった場合や、条件から外れて書いた場合には12点が丸丸吹っ飛ぶリスクもある。それを避けるためには、試験の前に自分の鉄板パターンや「ネタ」を準備しておくことじゃ。

なお、このポストでは北辰テストの後半や埼玉県の公立入試に出題される、マルチデータの読み取り問題には対応しきれていない。これはまた別途の機会に解説するとして、まずは北辰テストの前半(概ね9月回までかな)を想定したヒントになる。むろん、グラフやデータ読み取りの問題に発展してからも使えるフレームワークが含まれているので、しっかり体得して欲しい。


1.問題の傾向

作文のお題は、ほぼほぼ2択問題と考えてもらって良い。典型的な例を示そう。
(1)2つのお題から共感する方を選んで回答
あなたは次のことわざのうち、どちらにより共感しますか?
・果報は寝て待て
・急がば回れ
(2)意見に賛成か反対か
「小学生がスマホを使うべきかどうか」について反対か賛成の立場で記述
(3)異なる意見から立場を選ぶ
AIは人間の職業を奪うという見解があるが、あなたはそう思いますか、それともそんなことはないと思いますか
(4)自由出題
あなたは郷土の何を外国人に見せたいか?どんな高校生になりたいか?等

ただし、2択といいつつ、他者を比較したりする必要はない(スペースもない)ので、実質的には単独の意見や格言に対して記述することになる。(1)の場合はシンプルに(自分の実体験を踏まえて)書きやすい方を選ぶ。(2)は基本的に賛成の立場が書きやすいが、すぐに論理的な展開が思い浮かぶなら否定側でも良い(例えば、朝ご飯は抜かない方がよい。何故なら脳が活性化されず、学校の試験で集中力を欠いて失敗した、というストーリーが見えてくるような状況)。(3)は(2)の派生形じゃ。(4)は最初から単独のお題と言う感じじゃな。

2.立ち位置を決める

最初のポイントは、全ての作文が「あなたの経験を踏まえて」書くという条件付けにある。これを真面目に受けて、自分が経験していないことは書けない、と思ったら大変じゃ。人から聞いた体でも良い、ニュースに言わせても良い、架空の自分の想像した経験に基づいてもいい。つまりなんでもいいので、最も典型的で書きやすい体験談をイメージして、それがすんなり当てはまる方の2択のお題を決めるのじゃ。この間、約30秒、笑

そして、ここで重要なのは、ワシが良く口にする

「高校入試では子羊さん達の意見など誰も求めていない!」

じゃ。つまり、スマホは子供にも必要だよ!と思っていても、
小学生⇒スマホ⇒寝不足⇒学業に影響⇒失敗⇒だからよくない
の方が書きやすいし、早いじゃろ?
この「書きやすい」題材や立ち位置(肯定・否定)を即座に決めること。これが作文の肝になる。自分の(架空の)経験でシナリオが見えたら、一気に書き始める。これで作文は5分くらいで書けるようになるぞ。

3.具体的な書き方

構成は2段落じゃな。まず第一段落は定型文じゃ。
私は「●●●●●●●」に共感した。私は「●●●●●●●●」という意見に賛成する。
で終了。場合によっては、この第一段落で理由に触れても良いが、結局、第二段落で実体験を踏まえた理由に触れるのでダブりを起こす。これだけ短い作文で同じことを繰り返すと採点者の印象は下がるので、第一段落はバランス的に少なくなるが、まずは自分の立ち位置を宣言するだけ(アメリカ式に結論を明示して、後半で理由を述べるスタイル)と考えて欲しい。

そして、例えば「どんな高校生になりたいか?」というお題と仮定して、第二段落は次のようになる。
①あれは私が小学生の頃だった。(背景説明。なるべく短く。次の問題発生と繋げて1文でも良い)
②横断歩道を渡ろうとしたら大きな荷物を持って困っているおとり寄りがいた。(小さな問題を発生させる)
③どうしようかと悩んだら、高校生がさっと手を差し伸べて一緒にわたった(問題解決)
④勇気をもって人に声をかける高校生に憧れた(教訓・立ち位置への理由、つまるり伏線回収)
⑤私も困っている人に迷わずに行動できる高校生になりたい(将来への願望)

簡単じゃな。大昔の埼玉県公立入試では、本番もこんな感じだったので、各塾は何が出ても「英語の先生になりたい!」に繋がる作文にさせていたという。効率的じゃな。将来の夢、あなたの好きな教科、コミュニケーション能力、いろんなお題から「英語の先生になって~したい」に持ち込める。これも手持にしていると強いし、実は英語の作文にも応用できる。

①昨年、地元の駅で外国人から話しかけられた。(背景)
②私のヒヤリング能力では全てを聞き取れなかった。(問題発生)
③しかし、学校で勉強したばかりの library という言葉に気づいた(解決:英語の重要性)ので、図書館まで一緒に行くと、大変喜んでくれた(解決!)
④私はこれからも英語を勉強して将来は英語の先生になりたい(どうだ)!

同じように、困っているお年寄りのストーリーは、「親切とは?」「あなたが出来る地域への貢献とは?」いろんな作文のテーマを持ち込める。さすがに強引すぎるなと思う場合には別のネタを使う。ということで、例えば、

・横断歩道の親切や電車での席譲り
・部活で出来なかったことができた(吹奏楽の楽器、テニスのバックハンド、、、)

の2種類を持っているだけで、ほとんどの作文に対応できる。部活の方は、
①トランペットが上手く吹けなかった(問題発生)
②仲間で一緒に練習したら改善方法がわかって先生に褒められる(解決)
③一人ではなく、みんなで協力して励まし合うことの重要性(伏線回収)
④これからの高校生活でも、仲間の力を信じて自分を高めたい
で終了じゃ。ちなみに、このネタは「仲間」「助け合い」少し書き方を変えると「努力・諦めない(少し自分で努力したらできたという感じに書く)」「部活に入るべきか否か」など、かなりの分野に応用が出来る。

4.注意

上記の2種類のパターンは、実際の解答用紙のマス目に書いて暗記するくらい準備をして欲しい。その際に、どうしても自分が書きやすいところが長くなる。特に最初の背景紹介。だれも子羊さんの個人的な情報など欲しくない。例えば、

私は3歳からバレエを習っていて、小3では地元の教室で1等をとり、中学生になってからは東京のコンテストに出場するなど、たくさんの経験を積んできた、、、

イラン、笑

私は幼少からバレエを習ってきた。終わり。

大事なのはその先で、問題発生(小学生までは一心不乱に努力してきたが、中学生になって勉強との両立で行き詰まり、バレエをやめたいと思うようになった)に文字数を割いて欲しい。

それから、今回のポストでは当たり前すぎて触れていないが、作文の基本的な作法や、です・ますの統一などは確実に。そして実は恐ろしい漢字や助詞の抜け。採点者によって甘くしてくれる場合もあるが、基本的には間違えるたびに1点引かれる。極端な話、同じ漢字を12回間違いて書くと、それだけで作文が0点になる恐れがある。

そう、最後に大事なことを言うが、作文は引き算の世界「減点法」で採点される。どんなに高度な表現を使っても加点はされず、あまり調子に乗ると減点のリスクがある。しがたって、英語で言うところのSVO、SVCのような、短い文章を羅列して、主述のねじれなどを起こさないようにして欲しい。定型文を短く切って、全体を8文で完成させると決めておけば、こうした毎回、流動的になって混乱する事態は回避される。

・私は学校でバレー部に所属している。(背景)
・私は部活でサーブがどうしてもうまくいかなかった。(問題発生)
・すると先輩がジャンプのタイミングについてアドバイスをくれた。(解決)
・他人から見た指摘は自分で悩むよりも効果的だった。(伏線回収)
・私も後輩が困っていたら、優しくアドバイスのできる先輩になりたい。(未来への肯定的な意気込み)

これでもさらにシンプルにできそうじゃが、これ以上やると小学生の日記になるな、笑。でも減点されるくらいなら、少し幼稚なくらいの「ツッコミどころがない(減点しようが無い)」文章を書く方が良い。

同じような話はドラゴン桜の東大英語の英作文でも出てくるがな。

さて、まずは自分なりの手持ネタを2,3作って、できれば親や先生に感想ももらい、次回の北辰で試してみよう。12点満点を祈るぞ。

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