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てるてる坊主のラブレター(#毎週ショートショートnote)

「マスター、いつものモーニング、お願い」

土曜の朝のルーティン、行きつけの喫茶店でのモーニング。マスターは白髪頭でいつも穏やかだ。

「マスター、何?あのてるてる坊主?」
窓辺に少し大きめのてるてる坊主。

「孫が明後日、遠足なんだよね。天気予報わるいでしょ。だから店にてるてる坊主つるせって」

「懐かしいね、私も昔よくつくった」
マスターが淹れてくれた珈琲を一口、いつもの苦みだ。

「さっちゃん、落ち着いたかい?」

「やっとね。あの人が突然の事故で亡くなるなんて、想像もしていなかったから」
3か月前、夫を交通事故で亡くし、ずっとバタバタしていた。

「この間まで二人で来ていたなんて、今じゃウソみたい。マスターの珈琲が一人ルーティンになっちゃったもんね。あとさ、事故の前からだけどあの人の髪の毛がなくなるなんて結婚した時は想像もしてなかったんだよね」

財布にあるそっと夫の写真を眺める。本当に突然だった。

「さっちゃん、実は預かってたものがあってさ、なんで僕に預けたかはわからないけどね」
マスターの手には封筒。中には夫からのラブレター。

結婚して25年経ったね、いつもありがとう・・・・・

今じゃ隣にいないツルツルのてるてる坊主からのラブレター。


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