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【クリスティを当時の刊行順に読む16】『シタフォードの秘密』

雪に覆われる山村で資産家の老大佐が殺された。関係者たちは現場から10kmも離れた館におり全員にアリバイがある。フーダニット?ホワイダニット?といった話。 1931年刊行。 前作がミステリなしの大河小説だったから、『シタフォード〜』のミステリらしいミステリの雰囲気にほっとしてしまう。 肌寒い日に帰宅して入る風呂のような安心感というか…いや殺人が起きているのだから安心もなにもないのだけれど。 そんな風にぬくぬくと読んでしまっていた。 ※以下ネタバレ有り そのせいで痛い目を見

    • 【クリスティを当時の刊行順に読む15】『愛の旋律』

      クリスティが「メアリ・ウエストマコット」名義で書いた初めての著作。1930年刊行。音楽の天才の生涯を描いた大河小説。 別名義にした理由はミステリ作品を読みたい読者の期待を裏切らないようにとの配慮らしいのだが、それがなんだというくらいしっかりクリスティ要素の詰まっている作品だ。 情緒をしっかり打ちのめされているので今回の感想文は長い。 ・『愛の旋律』なのか なにが『愛の旋律』だよ!というのが読了の瞬間の率直な感想である。確かに音楽の天才が主人公だし様々なかたちの愛が描かれて

      • 【クリスティを当時の刊行順に読む14】『ブラック・コーヒー』(戯曲)/『評決』

        ・ブラック・コーヒー(戯曲) 「(戯曲)」と付けているのは後に小説版も出しているため。クリスティが初めて書いた戯曲。 ト書きが細かいため実際の舞台をみていないのに登場人物の動きが想像しやすい。 照明を落とし一度舞台を真っ暗にさせて物音や少ないセリフだけにして、次に照明がついたときには1人死んでいる。たぶんこれをやりたかったんでしょ! ポワロも出てくる、ヘイスティングスもいる、ジャップ警部も来る。観客が見たいと思う登場人物を出してくれるサービスぶり。 クリスティはスパイ

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