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「TTPSマネジメント」のその先に!

中尾隆一郎・鈴木利和・肘岡優美子著『学びを最大化するTTPS(徹底的にパクって進化させる)マネジメント』の読書会をしました。著者の中尾隆一郎さんも参加です。折角なので「反転授業」(基本を宿題で学んでから、授業で応用力を身につける)の考え方で学習デザインしました。

(1)読書会(10時~12時)は(原則)本を読んで参加します。
(2)事前学習として、グループ(オンライン)に本文中の「ピンときた箇所」あるいは「もやもやした箇所」の引用+簡単な理由をアップします。
(3)当日は、①自己紹介(各1分)、②話題提供者(中尾さん)から5~10分のスピーチ、③リレー質問方式で中尾さんに質問してもらいます。④チェックアウト。
(4)事後はグループ(オンライン)にふりかえりを書きます。

20人弱の教員が集まりました。限られた時間の中、質問の原則を「場に貢献すること」としました。自分の事情は一端置いて、参加している人たちの「TTPSマネジメント」の理解に貢献することを心がけます。ただし著者や事例の背景を質問することは理解につながるとして推奨しました。

本の帯文には「リクルートで教え継がれている秘伝の仕組みを大公開」とあります。著者の中尾さんと当時の仲間たちが、6年間で、スーモカウンターの売上30倍、店舗数12倍、従業員数5倍にしたという実績のベースになる「学習し続ける組織」をつくり上げた仕組みを整理しています。

ちなみにわたしたち(教員)も同じころに「教育技術の法則化運動」という「追試論(上手に真似して上達するための方法論)」に基づく大運動に巻き込まれます。わたしも仲間の教師たちと追試論に基づく本を量産しました。作文教育やディベート教育を中心にして100冊近く書きました。

ここでは20人弱で「TTPSマネジメント」の読書会をした後の「ふり返り」で出てきたポイント(着眼点)を2つ取り出して考察を加えたいです。「TTPS」をするためにはTTPSのコツをマネージャーがよく知っていて、そのコツを押さえながらプロジェクトを動かしていく必要があるからです。

(1)真似る事例をどこから探し出すか。本書には「手近な人」や「真似のしやすさ」を選ばないこととあります。同じ職場の先輩から学ぶ、レシピ情報を摘まみ食い的に学ぶ。確かにそうした視野による真似では問題解決につながる真似になりません。ふだん自分が仕事をしている周縁エリアに意識的に目を懲らすこと。そこがコツです。

(2)属人性の壁をどう突破するか。その人にしかやり方が分からない状態をどのように技化していくか。そもそも技化できるのか。中尾さんは「真似のできる領域」と「真似のできない領域」を分けていました。「真似の原理」だけですべて学ぶことはできませんが、
かなりのところまで技化が可能です。技化のコツを学ぶ必要があります。

組織として「TTPS」するには、「周縁エリアに目を懲らす」「無意識の仕事を技化する」。この2つのコツをマネージャーが体得しておく必要があります。そのためには「真似の原理」とはことなる「省察の原理」によって真似の原理をもう一段深める必要があります。このレベルの違いを意識することが「その先」に進むための指針です。

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