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佐藤寿人

『佐藤寿人、ラララララーラー、佐藤寿人、ラララララーラー、佐藤寿人、ララーラ―ララーラー』

サンフレッチェ広島に在籍したときのプロサッカー選手の佐藤寿人選手のチャント(応援歌)だ。

今日、ジェフユナイテッド市原・千葉に在籍しているプロサッカー選手である佐藤寿人選手が現役引退を発表。

このニュースをYahoo!ニュースアプリで見たとき、ついにこの日が来てしまったんだなと思った。確か1982年生まれのこのJリーグ歴代得点数2位のこの男も引退するのだと。現役最後のチームは彼が最初にプロになったチームであるジェフだった。サンフレッチェ広島時代の同世代、森崎和幸・浩司兄弟は既に現役を引退。かつての広島がリーグを3回制覇した当時を知る選手は今の広島には青山敏弘選手くらいんだろうか。駒野友一、林卓人、李漢宰、サンフレッチェ広島がリーグを優勝する前に在籍していた選手たちは、いまだ現役を続けていることを考えると、寿人選手の引退はとても惜しい。

高校まで山口で過ごし、大学を広島、社会人をまた山口で過ごしたサッカーファンの僕にとって、サンフレッチェ広島というのは大きな存在だった。

J2に落ちたとき当時選手として油が乗り始めていた寿人選手は他のクラブに引き抜かれるだろうと思っていた。しかし、あのとき寿人選手がサポーターに向けて叫んだ光景は忘れられない。

『絶対に1年で戻ってくるから』

来季も広島で戦うこと決意し、1年でJ1の舞台に再び広島を戻すという覚悟を感じる言葉だった。胸が熱くなるほど、頼もしい言葉だった。これは映像で確認してもらいたいが、寿人選手はゴールを決めたあとに、広島のエンブレムを握っていたような記憶がある。広島というチームへの想いを感じられる瞬間だ。

そして、思い返せば2012年、僕は当時の広島ビックアーチにいた。広島の優勝が決まる瞬間だ。確かセレッソ大阪戦だった。アウェイチーム側のバックスタンド席、電光掲示板に近い席だった記憶がある。4-1で勝利を収めて、試合終了のホイッスルが鳴った。そこには寿人がいた。歓喜の瞬間だった。

まだ大学生だった僕も、あの姿を見て素直に感動した。念願の初優勝だったのだ。寿人がチームに残ることを決意してくれて、それから積み上げてきたチームとしての強さ。戦術的にも、パフォーマンスでも有名になった。本当に素晴らしい瞬間に立ち会えたことは8年たった今でも忘れない。

あれから広島の絶対的なエースとして活躍し続けた。右サイドのミキッチからの高速クロスにニアでチョコンと足を当ててゴールを決める。あの一瞬のスピードは歴代日本人どの選手にもない武器だった。めちゃくちゃ好きだったな、ゴールを決めて、そのままコーナーフラッグまで行って、ジャンプしてピッチの中を向いて仲間を迎える。それが佐藤寿人だった。

引退を惜しむ声は沢山あるだろうが、次のステージが気になる。

これから先、どこかのクラブの中の人として関わっていくのかも知れないし、また違うところで活躍するかもしれない。サッカーとも繋がりを続けていくのかも知れない。

どんな場所で輝くかは分からないが、僕らサッカーファンの目に素晴らしい光景を焼き付けてくれた佐藤寿人。どこの場所でも、どんな逆境でもまたあのコーナーフラッグで見せてくれた笑顔で僕らを迎えいれてくれるだろう。

そんな日が楽しみだ。

~fin~

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