特急やくもと木次線に乗る旅【2024.2山陰遠征記】
乗るか。やくも。
行くか。出雲。
ふと思い立って特急やくもに乗る。
これはそんな休日の記録である。
0. なんで行ったの
きっかけは勤務先での会話です。
上司「いやー、特急やくも乗りたいよね~381系もうあそこしかいないし」
ワイ「いいですね~~」
(数週間後)
上司「やくも乗ってきたよ~~それと境港線も」
ワイ「いいな~~~~」
(数週間後)
上司「そろそろやくも乗らないとヤバいんじゃない?もうダイ改で新車入るんだっけ」
ワイ「ああ~~~~~~」
というわけでやくもに乗ることにしました。
上司とはいつもこんな会話をしてます。最近は「北陸新幹線の一番列車乗らないの?」と煽られました。
381系というのは、旧国鉄時代に作られた特急車両です。カーブの多い線区を高速で走り抜けるために設計された自然振り子式台車を採用し、かつては「しなの」や「くろしお」などの特急で使われていましたが、現在は岡山~松江~出雲市を走る特急「やくも」に残るのみです。
私は以前「こうのとり」が381系で運行されているころに乗ったのがおそらく唯一の乗車歴です。
しかしただやくもに乗るだけでは、片道でやることが終わってしまうので、「出雲大社参拝」と「木次線乗車」を目的に追加しました。
出雲大社については説明は不要でしょう。木次線は宍道~備後落合をつなぐ路線です。山間部を走るローカル線であり、廃止も検討されている程度には利用客が少ないので、無くなってしまう前に乗りました。
このnoteではあまり書いていませんでしたが、こんな風に一人のんびりと列車に乗る旅が好きです。また、何より「行ったことのない場所」に行くのが好きなのです。今回、出雲大社もなんだかんだ行ったことがなかったので行くことにしました。
1. 旅程概要
前述の通り、特急やくもで出雲に行き、木次線と芸備線で広島まで行って帰ってくるという旅程です。
以下、詳細です。
●2024年2月24日(土) Day 1
名古屋
ㇾ のぞみ109号(7109A) 博多行き
岡山
ㇾ 特急やくも9号(1009M) 出雲市行き
出雲市
電鉄出雲市
ㇾ 一畑電車 特急 出雲大社前行き
出雲大社前
・出雲大社参拝、大社前駅参拝
出雲大社前
ㇾ 一畑電車 普通 川跡行き
川跡
ㇾ 一畑電車 普通 松江しんじ湖温泉行き
松江しんじ湖温泉
・夕食、松江市内ホテル泊
●2024年2月25日(日) Day 2
松江
ㇾ 普通(135K) 出雲市行き
宍道
ㇾ 普通(1449D) 備後落合行き
備後落合
ㇾ 普通(359D) 三次行き
三次
ㇾ 快速みよしライナー(5861D) 広島行き
広島
ㇾ 普通
瀬野
・スカイレール往復
瀬野
ㇾ 普通
広島
ㇾ のぞみ272号(272A) 名古屋行き
名古屋
2. Day 1;特急やくもで出雲へ
やくもに乗る
さあやって参りました岡山。新幹線を降りて駅弁とあるものを調達し、特急やくもの待つホームへ。
すると現れるのが381系国鉄色編成です。毎時1本運行されるやくものうち、この9号は国鉄色の編成が原則割り当てられるので、この列車を選択しました。いいですねえ国鉄色。塗装だけでなく、JNRのロゴマークまで再現されているとは恐れ入った。もうここまで来た甲斐があった。
そして乗車します。車内はほぼ満席。3連休というのと、そもそも松江方面への需要が高いのと、私のような「乗車すること」が目的の人々が結構いるからでしょうか。
しかし、ここで懸念していたことが起こります。
電車酔い。
381系は少し触れたように、自然振り子式台車を採用しているため、カーブの通過時に車体が傾き、左右に揺れるという動きをします。そのため、もともと車酔いしやすい質の私は、軽い車酔いに襲われるのでした。
吐き気を催すほどではなく、なんとなく体調が悪いという程度でしたが、食欲がなく、身動きをするとわずかにめまいが。隣の席に別の乗客が座っていたこともあり、伯備線内ではほとんど寝てました。岡山で買った駅弁もしばらくは封印です。
しかしやはり、山の中を駆け抜けていく特急はいいですね。振り子式台車を存分に活用し、遅すぎず速すぎずなスピードを維持して走り続ける特急はとてもいいものです。山陰新幹線ができない限りはこの特急が今後も主要な特急としてこの伯備線を駆け抜け続けるというのは、趣深いものがあります。
列車は伯耆大山駅を通過し、伯備線から山陰本線に入ると、カーブも少なくなり酔いも治ってきました。逆に一気に100km/hくらいまでスピードアップする上にロングレールじゃないので、列車は小刻みに揺れるようになりましたが、特に問題ありません。
隣の乗客も松江で降りたので、ようやく岡山で購入したものを解放します。
突然のキモ・オタクムーブで申し訳ありません。岡山駅前のドン・キホーテでロナちゃんを手に入れたので連れてきました。なぜか名古屋で売ってないからここで手に入れるしかなかったんや許してくれ…。
というわけでお昼ご飯はままかり寿司です。おいしかったですが、前日の晩にイワシの煮つけを調理して食べたばかりだったので、同じ味になってしまったのは私の失策です。
そんなこんなで出雲市駅に到着。どんな駅かと思ったら4面4線の高架駅で、周囲の景色といい、同じくサンライズがやってくる坂出駅を思い出しました。
一畑電車で出雲大社へ行く
出雲市駅と同じ高架上にある電鉄出雲市駅に行くと、元京王車がお出迎え。それはさておき7000系の特急で出雲大社前へ向かいます。特急なのでちゃんと通過駅たくさんあるんですね。単に支線と直通してるだけかと思っていました。
いい駅ですね。ホームにいるオレンジのデハニも気になりますが、まずは出雲大社へ。
でっけ~~~~。
三重県で育ったので伊勢神系の神社を多く見てきたのですが、出雲となるとやはり伊勢とは異なる設計思想を感じました。伊勢だと建造物は案外こじんまりとしてたりします。
しかし古代の建立当初はもっと大きかったという説があるのですごいものです。日本を支配した天津神(伊勢・天皇系)と、「国造り」により文明を築いたという国津神(出雲系)との関係性に思いを馳せつつお参りしました。
なお一番気に入った建物は彰古館です。こちらは近代に建てられたものですが、かっこいいです。
ちなみに、非常に巨大なしめ縄が飾られていることで有名な神楽殿は、その存在を忘れていたために見逃しました。本殿とかから少し外れたところにあるので気付かなかった。あーあ。
出雲大社を後にし、もう1か所行きたい場所があったので歩いて南へ。
鉄道旅といえば、そう、国鉄旧大社駅跡ですね。
………工事中でした。2025年の12月までかかる予定です。そんな…。こんなことなら出雲歴史博物館行っておけばよかった。
旧大社駅を後にし、出雲大社前駅から再び一畑電車で松江しんじ湖温泉駅へ。すっかり日も暮れたので、松江市内で晩飯を食べて市内のホテルに1泊。1日目はここまで。お疲れ様でした。
3. Day 2;木次線と芸備線で広島へ
おはようございます。
松江散歩
松江城が現存天守なのを思い出したので、せっかくなので松江城へ。やはりかっこいいですね。
それと、運河がある街っていいですよね。運河とか、水路とか、こういうの大好物です。
ちなみに宍道湖大橋は聖地巡礼目的で来ました。ネタバレになってしまいますが、結城友奈は勇者である 大満開の章の最終話に登場します。この日のために、前々日にBDを見てから来ました。
さて、松江市内をのんびり散歩していたら、危うく木次線の列車に接続する松江駅発の山陰本線の列車の発車時刻ギリギリになってしまいました。無計画散歩はこれだからよくない。
木次線・芸備線に乗る
まずは木次線へ。区間によっては1日2~3往復しかない路線を、宍道から備後落合まで3時間かけてゆーーっくり走っていきます。さすがはJR西日本、制限速度25km/hの区間が断続的にたくさんあるのと、かなりの急勾配なので、本当に時間がかかっている感じがします。
季節は18きっぷシーズンではないものの、明らかに木次線に「乗る」ことを目的に来たと思しき人々がそれなりに。まあ18きっぷシーズンはもっと混んでそう。
沿線は田舎とはいえ、それなりに人が住んでいるような感じ。名松線の松阪~家城のような感じですね。しかしそれも出雲横田まで。その先はどんどんと人里も離れていきます。
そして、宍道から2時間、列車は木次線のクライマックスである、出雲坂根駅にたどり着きます。
出雲坂根駅に着くと、列車はしばらく停車。駅前に屋台が出ていて、おでんをいただきました。標高564mと、けっこう標高も高いゆえに気温も低く、とても沁み入りました。松江駅で時間がなくて食料を確保できなかったので、とてもありがたかったです。
さて、出雲坂根駅といえば。スイッチバックです。
まずは下の地形図をご覧ください。
出雲坂根付近で線路が折れ曲がっているのがおわかりいただけますでしょうか。そう。ここで列車は2回も方向を変えながら進んでいきます。これは、隣の三井野原駅との間に標高差が162mもあるので、斜面を縫うように走っていく必要があるのです。
さらにはその先にはΩカーブが待ち受けていたりと、ここは非常にエキサイティングな区間であります。そこをキハ120系はうなりを上げながらゆっくりと坂を上っていきます。
いやー、来てよかった。路線図にスイッチバックがあるのを見つけて、「え?こんなスイッチバックまだ残ってたの??」と気付いた時以来、ずっと来たかった夢がようやく叶いました。JRのスイッチバック駅はまだほかにもありますが、停車列車だけが折り返しを行うものがほとんどだったりするので、とても貴重です。
そんなスイッチバックを過ぎた三井野原駅は標高726mでJR西日本最高の駅。ここを過ぎると一気に山を下り、木次線の終点であり芸備線との接続駅である備後落合駅に到着します。
備後落合駅ですが、本当に周りに何もないですね…。乗換駅だから何かしらあると思いきや何もない。木次線が広島~島根のメインルートの一つだった頃はもう少し賑わいがあったのでしょうが、それはもはや昔の話。それを物語るのは、広い駅構内と転車台の跡ぐらいでしょうか。
芸備線のこのあたりは利用客がJR西日本の中でも特に少なく、存廃が議論されているので、廃止が勧告されて人が多くなる前に来たかったこともあり、今回来ました。
ここから芸備線に乗り換えます。乗るのは三次行き。木次線の乗客の多くは反対方向の新見行きに乗り換えていきました。新見方面もまだ乗ったことないので、おそらくまたここに来ます。
芸備線も、木次線と同じく山間部をゆっくりと走っていきます。木次線より徐行区間多いような?
約1時間かけて三次駅に到着。ここからは快速みよしライナーに乗り換え。キハ40形だ!函館以外にまだ生きてたのか!(上記写真中央と同形式)
三次以東の芸備線普通列車は非常にゆっくり走っていきましたが、三次からは一気にスピードアップ。速度計は見ていませんが80~90km/hくらい出てたのでは?つまりはここから広島までかなりの需要があるとのことでしょう。そんなこんなで広島に到着。松江からここまでおよそ6時間半。ローカル線の旅はここで終わりです。お疲れさまでした。
スカイレールに乗る
旅は終わりと言ったな。あれは嘘だ。
山陽本線で瀬野駅にやってきました。
なぜか?それは、ここには廃止が予定されている鉄道路線があるからです。
そう、スカイレールサービスです。
瀬野駅前にあるみどり口から、丘の上にあるスカイランド スカイレールタウンみどり坂を結ぶ鉄道で、通常の列車ではなくロープウェイのようなゴンドラが走行しています。しかし、2024年4月に廃止される予定となりました。
名古屋のゆとりーとラインに並ぶ不思議な鉄道ということで、乗りたかったのでやってきました。
駅に来ると、私のような乗車だけが目的の乗客に対して、写真撮影などで地元住民に迷惑をかけないよう忠告する張り紙が。加えて、列車内は狭く、先客がいると写真撮影がどうにもできないので、それと同乗した乗客に発車直前に逃げられたりしたくらいなので、あまり写真はありません。
とはいえ楽しかったです。ロープウェイとも異なる不思議な揺れで、一気に斜面を駆け上がるのはとても面白かったです。こんな高低差、バスでも登れるんだろうか?というくらいな感じです。とにかく来てよかった。
ということで、今度こそ旅は終わりです。広島駅で飯食って名古屋行き最終のぞみで帰りました。お疲れ様でした。
4. おわりに
以上、2日間の旅の様子をお送りしました。
やはり、知らないところに、知らない路線に行くのはいいですね。普段のあれこれを忘れられるのと、知らない景色が見られるのでとても良いものです。
そしてなにより、381系と、木次線・芸備線という近い将来無くなってしまうかもしれないものに乗れたのが大きな収穫です。
芸備線はまだ乗れてない区間があるのと、また、特急やくもは新型車両にも乗りたいので、また来たいと思います。あと姫新線とか因美線とか福塩線とか、あと(以下略)。
そして次の遠征予定ですが、現在計画中です。5月連休は混むので、6月末くらいにどこか行こうかと画策中です。乞うご期待。
それでは、また。