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【読書日記】3/25 桜始開。「花暦/瀬尾英男・斎藤圭吾」

花暦 INTERVIEW WITH PLANTS
瀬尾 英男 (文) 齋藤 圭吾 (写真)

 月の満ち欠けの周期をひと月とする太陰暦では太陽の動きで変化する季節とずれが生じてしまうのでそれを補う二十四節気。
 立春を始めとして約半月ごとに変化し、大寒が最後です。
 それをさらに三つに分けたのが七十二候になります。

今は「春分」で第八候(3月26日から30日頃)「桜始開(さくらはじめてひらく)」にあたります。

本書は、この二十四節気七十二候の説明を添え、この時期に咲く花を擬人化したインタビュー形式でその生きざまを紹介しています。
美しい写真も併せて楽しめます。

「春分」では、「先を急ぐ男」。としてソメイヨシノが登場します。
 ソメイヨシノは、江戸時代に創り出された品種で、遺伝的には同じ性質を持っているため、同じ地域に植えられたソメイヨシノは一斉に花ひらくのです。だからこその春爛漫の風情が生まれます。人が愛し、人を必要とする花。 

駆け足で各地の宴を盛り上げて回る千両役者。その花は席の温まる暇もないまま、この春も桜吹雪と化して去る。

花暦「先を急ぐ男。」

次は、「清明」。「貢がせる女。」としてチューリップが17世紀のオランダでのチューリップ投機熱について誇らしげに語ります。

私は、このような季節の事々を知るのが好きです。先人たちが伝えてきた自然と共にありそれを愛でいつくしむ文化を守り、子供たちにも伝えていきたいと思うのです。

また、植物の生存戦略を人間に例えると、なかなかの曲者揃いなのが分かります。そんなところも魅力です。

<本書に取り上げられている花>
  立春 遅刻する女。フクジュソウ
  雨水 妬かれる男。ヒヤシンス
  啓蟄 薹の立った女。アブラナ
  春分 先を急ぐ男。サクラ
  清明 貢がせる女。チューリップ
  穀雨 結ばない女。ヤマブキ
  立夏 飼いならす女。ツツジ
  小満 染められる女。アジサイ
  芒種 匂い立つ女。クチナシ
  夏至 粧う女。ハンゲショウ
  小暑 したたかな女。ツユクサ
  大暑 吸い付く女。ノウゼンカズラ
  立秋 誤解される女。ヒマワリ
  処暑 振舞う男。サルスベリ
  白露 欲を張る女。オミナエシ
  秋分 やもめの男。キンモクセイ
  寒露 毒のある女。トリカブト
  霜降 騙される男。キク
  立冬 丸くなる女。ヒイラギ
  小雪 手のかかる女。ユズ
  大雪 耐え忍ぶ男。ヒメキンセンカ
  冬至 化身の女。スイセン
  小寒 見くだす女。カトレア
  大寒 選り好む女。ウメ