まえがき

 このたびは当団体の仮面浪人体験記第4弾をご購入いただき、誠にありがとうございます。京都大学元仮面浪人交流会会長(設立者)の294と申します。
 
 われわれ京都大学元仮面浪人交流会は、仮面浪人を経て京大に合格した京大生による受験支援団体・交流コミュニティです(2019年6月発足)。現在の主な活動内容は、仮面浪人体験記の作成・販売、noteでの無料記事「春から仮面浪人を始める君へ」の公開、対面・オンラインでの交流会実施です。今年度も多くの新入生が入会し、会員数は60名近くになりました。
 
 自分が仮面浪人をした際に強く感じたのは、仮面浪人生が参考にできる情報源の少なさでした。京都大学入学後、「仮面を経験した身として何か自分に出来ることはないだろうか」と考え続ける中、仮面経験のある京大生の数自体は案外多いということに気づきます。
「情報が不足する現状を変えるために、先人の経験を先行例として積み上げていけるような仕組みを作りたい。そのためには体系的で組織的な情報発信活動が必要だ!」――と私が1回生のときに設立したのが当団体です。交流会や体験記の存在が、仮面浪人生の皆さまにとってほんの少しでも励みになっていれば嬉しい限りです。
 
 “偽りの仮面”というネガティブな言葉をその名に冠する仮面浪人は情報不足も相まって、実状に即した形ではなくどこか否定的なイメージのまま、その行為の是非のみについて表面的に語られがちな気がします。しかし、その仮面の中身を覗いてみると様々な覚悟や苦悩、後悔があり、一人の学生が人生の大きな舵取りを本気でしている場面でも当然あるわけです。「仮面浪人という選択をした者が何を思い、何を目掛け、何をしてきたのか。」――その実情を知ることは、自身の経験に基づいた体験談としての受験戦略だけでなく、大学受験や進路選択、そして人生設計そのものの在り方を考えるきっかけも与えてくれるはずでしょう。
 
 この体験記が皆さまの受験、大きく言えば人生において何かしらの糧になれば幸いです。
 
2022年11月19日 京都大学元仮面浪人交流会会長 294

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