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メルセデス・ベンツ E250 AVANTGARDE

くるまの状態:ディーラー試乗車
試乗コース:六本木界隈


内装・居住性
655万円。
この価格にしてこのインテリアあり。あたりまえのことなのだが、やっぱり「へへえ・・・」となってしまうところがどうしようもなく庶民だ。
恥ずかしい・・・。
で、高級か?それとも上質か?と問われれば、この内装は「上質」にあてはまると思う。
いま絶賛放映中の「あまちゃん」に例えれば、勉さんが磨く琥珀のようなものだ。
磨いて磨いて、さらに磨いているうちにとても美しい光沢が出てきた感じ。
それぞれの機能や材質の最適解を長い間探求しているうち、この回答になったのだろうと思える。すべてが適切にして快適。
「上質」ではなく「高級」をお求めになるならSクラスをどうぞ、ということか。
若干使いにくい部分はオーナーになってから覚えても遅くない機能ばかり。
「チョイ乗りではわかるまい」と挑まれているようで悔しい。

走行性能
本当に4気筒2Lエンジンなのか?と疑いたくなるほどスムースに回る。気持ちがいい!
おそらくエンジン音は実用的で、まったく楽しくないんだろうけれど、巧みに遮音を施しているせいか全く気にならない。
ステアリングは求めれば求めた通りに回る。そして車体も求めただけ曲がっていく。
ばかなのか?と思われるくらいとても当たり前のこと言ってるけれど、ホントにそうなのだから仕方ない。
要は軽やかなのだ。
サイズのわりに小回りが利くので狭い路地でも苦にならないし、もちろん速度高めのコーナーでもクイクイと鼻先が内側を向く。
パドルシフトを使って山道を走ったらさぞかし楽しいだろう。
動力性能もこれで十分。比べてないからわからないけれど、このぐらいがEクラスにはちょうどいいかもしれない。

総合評価
あらゆるモデルに乗れるような贅沢な自動車生活を送っていないので何とも言えないが「メルセデスってどんなクルマよ?」と現時点で聞かれたら躊躇なくこのモデルに乗せると思う。
実直、静粛、完成度、快適性、環境性能。どれをとっても高いバランスで成り立っている。
ひょっとしたらこのモデルは後世、ヴィンテージになのではないか?と思う。

唯一、現時点で邪魔なのは、社会的に成功した小金持ちが得意になって乗っているという現実と、そのオーナーたちのマナーの悪さから来る印象だろうか。
彼らは勘違いしている。高級車のつもりで乗っているかもしれないが、それはヤボというものだ。ダッセー、である。
あくまでもEクラスは「世界トップレベルの上質な実用車」なのだ。
全国を疲れ知らずで駆け巡り、そんなに崇め奉らずに普段使いとして距離を重ねることができる「相棒」的な使い方が一番カッチョイイと思う。
おそらくメルセデスとしても、世界中の人たちに対して徹底的に「優秀で上質な道具」として使い倒してほしいのではないだろうか?

作家・椎名誠氏は先々代のW210型Eクラスを所有し、ロクに洗車もせずキャンプや講演活動で全国を走り回り、10数万キロ走った末、オカマを掘られたので再び同じモデルを買い直し、さらに距離を重ねたという。
これが個人的に最もカッコイイと思えるEクラスの使い方だ。

「クルマなんて乗れればいいんだ」とよく言うオッサンがいるけれど、まあまあ収入があって社会的地位があるならば、敢えてこういうクルマをお勧めしたいものである。
その代わり、メルセデスに乗っているというプライドにかけて、マナーをきちんと守るという条件は付けさせてもらいたいが…