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背中 1   憑 狂 ~ツキクルウ~

背中 1   憑 狂 ~ツキクルウ~

 硝子扉が開く音に、私は顔を上げた。

「いらっしゃいませ」

 画廊に入って来たのはショートボブで、ベージュのパンツスーツ姿の女性だった。私の声が耳に入らなかったかのように、引き寄せられるように、奥の壁に掛けてある絵に近づいていく。

 他のものは目に映っていないだろう。まっすぐに絵に向けられた瞳はどこか遠くをみているようだった。

 女性はそこから右にさかのぼって、一枚ずつ丹念に絵を見つめてい

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